2018年01月22日

●「都合よく解釈されている/放送法」(EJ第4687号)

 放送法第4条を再現します。安倍政権は、この法律をタテにし
てメディアに圧力をかけています。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
   度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 安倍政権は「2項」を金科玉条にして「公平に報道しろ!」と
圧力をかけています。テレビ局がある政治的テーマについて50
人の国民に対して街頭インタビューをしたとします。そのとき、
ほとんどの国民が否定的意見だったと仮定します。そのテレビ局
はそのビデオを報道するでしょうか。
 現在の日本のテレビ局は報道しないと思います。なぜかという
と、報道すれば確実に官邸からクレームがくるからです。これが
「忖度」です。官邸が放送法をタテにして嫌がらせをしてくると
考えるからです
 2014年11月18日の「ニュース23」では、安倍首相出
演の場で、そのビデオをあえて流したのです。当時の岸井成格メ
インキャスターの判断です。インタビューをして出た結果につい
て、報道するのは報道機関としての使命と考えたからです。もち
ろん、50人からのインタビューの結果であると断る必要があり
ます。これは、放送法第4条第3項にしたがっています。
 しかし、安倍首相はその場で不満を表明し、「故意に政権に不
利に編集されている」といい張ったのです。もちろん放送法第4
条第2項でいう「政治的に公平であること」に反しているという
ことがバックにあります。
 ところで、日本の放送免許は「更新」ではなく、「再免許」制
であることをご存知ですか。
 米国などでの放送免許は、とくに違反がなければ、運転免許と
同様に「更新」されますが、日本の場合は、制度上は競合他社が
名乗りを上げれば「競願」審査ができる仕組みになっています。
つまり、すべての審査を一からやり直すことのできる「再免許」
方式をとっているからです。
 もし「再免許」になると、放送局の免許は、親局、中継局、中
継用の無線局など、膨大な数の申請書類が必要になります。中継
局ひとつとっても在京キー局で191局もあるからです。こうい
う状況では官邸の恫喝はテレビ局に対してきわめて効果的です。
そのため、どうしても「触らぬ神に祟りなし」ということで、政
権に忖度してしまうのです。
 その後も「ニュース23」のアンカーである岸井成格氏は政府
批判の報道を続けたので、TBSは2016年3月いっぱいで、
岸井成格氏の「ニュース23」アンカー降板を決めています。明
らかなテレビ局の過剰反応といえます。
 そもそも放送法は、「放送の自由」を守るために存在している
のです。したがって、政権に批判的な報道に対し、放送法をたて
に攻撃するなど、本末転倒です。放送法の第1条は、次のように
書かれています。
─────────────────────────────
(目的)
第1条 この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福
    祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること
    を目的とする。
  一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらす
    ことを保障すること。
  二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって
    放送による表現の自由を確保すること。
  三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放
    送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
─────────────────────────────
 放送法第1条第2項に「表現の自由」の確保があります。この
第2項の主語は、行政行為を規定するものであり、行政を管理監
督する「政府」ということになります。つまり、政府が「放送の
不偏不党、真実及び自律を保障する」ことになるのです。
 「放送法には不偏不党と書いてある」──よく政治家が使う言
葉ですが、「不偏不党」は放送業者に対するものではなく、政府
に対するものです。政府が、不偏不党、真実及び自律を保障しな
ければならないのです。
 したがって、自民党による報道機関への不当な政治介入は「放
送の不偏不党、真実及び自律」を妨げる行為であり、放送を所管
する総務省は自民党に対して行政指導をしなければならないので
す。なぜなら、そういう行政指導が「放送による表現の自由を確
保する」ことにつながるからです。
 菅官房長官は、昼夜を問わずテレビのコメンテーターや有識者
と会食し、彼らを懐柔しているといわれます。しかし、岸井成格
氏だけは、その懐柔に一切応じなかったといわれています。
─────────────────────────────
 一強多弱の政治状況が続き、圧倒的優位を保つ安倍政権の官房
長官に食事に呼ばれれば、悪い気はしない。そして、いろいろ面
白い情報を教えてもらえれば、自分の仕事上、大きなプラスにな
る。そういう計算で、誰もが菅官房長官の軍門に降り、会食後は
あからさまな政権批判をしなくなったそうだ。民主党のプレーン
として有名だった政治学者なども、いとも簡単に寝返っていく様
を見ながら、菅官房長官の秘書官も、その手練手管に舌を巻いた
という。   ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/011]

≪画像および関連情報≫
 ●古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力/狡猾なやり口
  ───────────────────────────
   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが、次々と降板
  に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
  こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力
  だが、その実行犯といえば、やはり、安倍政権のゲッベルス
  菅義偉官房長官をおいていないだろう。
   本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには
  週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、つい
  にあの人が菅氏の"やり口"について語った。あの人とは、昨
  年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧
  力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い
  込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀氏が菅官房長官に
  ついて語ったのは「週刊金曜日」(金曜日)2015年12
  月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この
  鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授
  の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵
  守を求める視聴者の会」による「ニュース23」(TBS)
  のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが
  まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなとい
  う感じです」と驚嘆し、このように述べている。「賛同人の
  名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。安倍政
  権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に国家統
  制の時代に入りますね」。     http://bit.ly/2DoLxGf
  ───────────────────────────

安倍政権に厳しい岸井成格氏.jpg
安倍政権に厳しい岸井 成格氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

RDF Site Summary