2018年01月09日

●「安倍政権がメディアにかけた規制」(EJ第4678号)

 安倍政権はメディアに対して何をしたのでしょうか。この政権
によるメディア規制をまとめると、次の3つになります。
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 1.政権を批判するジャーナリスト、政治評論家、テレビコ
   メンテーターなどをテレビに出さないようにする。
 2.テレビから、政治番組、とくに視聴率の高い土日祝日に
   政治テーマを取り上げる番組を大幅に縮小させる。
 3.よく読まれている週刊誌、夕刊紙などの諸雑誌から、政
   治記事をメイン記事から外し、拡散を防止させる。
─────────────────────────────
 こうしたメディア規制は、必ずしも安倍政権の専売特許ではな
く、自民党の勢いが明らかに落ちた時期から、自民党政権が苦し
まぎれに始めたものであるということです。
 いま考えるとその時期は、第1次安倍政権(2006年9月〜
2007年9月)の頃からなのです。第1次安倍政権は1年で挫
折し、その後の自民党は、福田政権、麻生政権とその勢いは衰え
ていき、2009年に民主党に政権を奪われるのです。
 第1次安倍政権の発足当時の支持率は70%を超えるすこぶる
高いものだったのです。その高支持率を一挙に下げたのは、安倍
首相が、郵政国会において、郵政民営化法案に反対して党を除名
された議員の復党を許したことです。
 さらに、閣僚の不祥事・失言が相次ぎ、2006年に佐田玄一
郎国・地方行政改革担当大臣の事務所費問題を皮切りに、農林水
産大臣(松岡利勝、赤城徳彦)の事務所費問題、久間防衛大臣の
「原爆投下はしょうがない」発言などにより、閣僚計4人が次々
に交代するなどして、支持率は24%まで下落したのです。
 当時メディアは、政治をテーマに取り上げて討論する番組が多
く、第1次安倍政権の不祥事がそういう番組で連日取り上げられ
たことが安倍政権にとって大きなダメージとなったことは確かで
す。そのときのトラウマが、第2次安倍内閣において「メディア
は何とかしないといけない」と安倍首相に考えさせたとしても不
思議はないのです。
 安倍政権が誕生して5年間になります。その結果、何が起こっ
たでしょうか。まず、いえることは、休日のテレビが非常につま
らなくなったことです。お笑い芸人たちによる長時間のお笑い番
組、各種クイズ番組など、はっきりいって大量の時間を使ってや
るほどの番組ではなく、愚民化番組です。
 思い出して欲しいのは、以前の土曜、日曜の休日は、もっと政
治番組が多かったはずです。最も国民がテレビを見る機会の多い
休日だからこそ、国民全体が関心を持つべき政治のテーマについ
て、考えるべきなのです。
 漫画家の小林よしのり氏は、沖縄での「朝まで生テレビ」の出
演をきついので断ったとの話のなかで、政治番組の司会者の中心
であった田原総一朗氏の政治番組について、ブログで次のように
述べています。
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 田原総一朗氏がよくあの歳で、あんな不自然な生活(「朝まで
生テレビ」のこと)が続けられるものだ。田原氏は日曜の朝の政
治報道番組を持つべきなのだ。昔は、日曜の朝から政治家を呼ん
で、ガンガン討論していたから、国民への政治への関心もなんと
か維持できていた。
 最近はテレ朝が「報道ステーション・サンデー」すら消滅させ
TBSの関口宏の番組(「サンデーモーニング」)と、NHKの
物静かな討論番組しかなくなってしまった。
 今の日曜朝は酷い!
 どのチャンネルもバラエティ番組ばっかりで、世の中、深刻な
ことは何もないように、ヘラヘラ、ギャーギャー騒いでいる。あ
れを見ていると、さっさと北朝鮮あたりがテレビ局にミサイルぶ
ち込んでくれんかなと思ってしまう。
 昔、田原総一郎がやっていたような、政治家を呼んでガンガン
討論させる番組が、日曜朝にないと、国民の政治への関心が消滅
してしまう。今のテレビの政治報道番組の熱気のなさは、ジャー
ナリズムの退廃であり、民主主義の危機だと思う。テレビ局は、
もっと政治と国民を繋ぐ使命感を持ってほしい!
         ──小林よしのり氏 http://bit.ly/2E1Kw72
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 小林よしのり氏は、あえて言及していませんが、これは自民党
によるメディア規制の結果であり、そのことについて暗に批判し
ています。このテーマでこれから明らかにする安倍政権による露
骨なメディア規制がもたらしたものです。この国ほど、テレビで
政治が議論されない国はないと思います。
 テレビでの政治討論といえば、NHKの「日曜討論」が一番古
いはずです。1957年10月からスタートし、現在も続いてい
ます。しかし、主催がNHKであり、内容がいまひとつピリッと
しません。小林よしのり氏がいうように「物静かな討論番組」に
なってしまっています。少なくとも本音がガンガン語られる番組
ではないのです。
 1987年に現在も続いている政治番組が誕生しています。そ
れは次の2つです。
─────────────────────────────
      ◎「朝まで生テレビ」
       1987年 4月/ テレビ朝日
      ◎「サンデーモーニング」
       1987年10月/TBSテレビ
─────────────────────────────
 1987年といえば、竹下政権の時代です。その後、宇野政権
海部政権、宮沢政権と続き、いろいろな政治スキャンダルも生ま
れた時代です。1988年には「リクルート事件」が起こってい
ます。テレビで取り上げるには格好な政治的テーマが数多くあっ
たのです。       ──[メディア規制の実態/002]

≪画像および関連情報≫
 ●「対案出せ」にしどろもどろの青木理/1日の政治討論番組
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   作家の室井佑月が1日の討論番組『いま、日本を考える/
  2018』(BSテレビ朝日)で、「頭おかしい」とヒステ
  リックに司会者に噛み付く様子が放送され、SNS上で話題
  となっている。
   同番組はBSテレビ朝日が放送する新春恒例の討論番組で
  田原総一朗がパネラーで登場するほか、井上達夫(東京大学
  大学院教授)や三浦瑠麗(国際政治学者)ら、保守・リベラ
  ル両陣営の論客らが参加する、裏『朝生』というべき番組。
  司会が田原ではなく、”テレ朝唯一の常識人”と評判の小松
  靖アナが、思想の左右にとらわれず是々非々で討論を仕切る
  という点で、放送前から「期待できる」という声が飛び交っ
  ていた。
   「青木さんは番組冒頭で安倍政権は戦後最低最悪』と切っ
  て捨てて批判したのですが、これに対し小松アナが中盤に田
  原の制止を無視して、『ボクは青木さんに聞きたい。そこま
  で安倍政権を戦後最悪だと言うなら対案を出すべきでは?』
  と正論をぶつけた。そこで青木さんは『ボクはジャーナリス
  トだから対案を出す立場にない』と即答して議論を避けたん
  ですが、小松アナはさらに畳み掛けて、『そこまで言うなら
  対案がないと説得力がない』。『その話をするとワタシは社
  会部だとかおっしゃるんですが、そんなの関係ない』と青木
  さんを追い込んでしまった。すると、いつもは切れ味鋭い青
  木さんが小松アナとは目を合わせず、『あの、いや・・』と
  しどろもどろになってしまいました」(週刊誌記者)
                   http://bit.ly/2CQz9iM
  ───────────────────────────

小林よしのり氏.jpg
小林 よしのり氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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