験をご紹介します。
最初に「波」について考えてみます。水を張った水槽があると
します。この水槽は2つの穴の空いた板で真ん中が仕切られてい
ます。この状態で、左側にコインを落としたとします。そうする
と、仕切り板に向って波が発生します。
穴に到着すると、波は二つに分かれ、仕切り板の右側で相互作
用を起こします。相互作用とは、2つの山が重なり合うと、山は
大きくなり、波の強度が増し、逆に山と谷が重なると、お互いに
打ち消し合う、そのさまをいうのです。その結果、「干渉パター
ン(干渉縞)」という模様ができ上がります。これは「波」の存
在を示す証拠といえます。これについては、添付ファイルを参照
してください。
続いて「粒子」の実験です。仕切り板で仕切られた2つの部屋
があります。仕切り板には2つの丸い穴が空いていますが、現在
は左の穴は塞がっており、右の穴だけ空いています。なお、右の
部屋の正面には、スクリーンが張ってあるとします。
この状態において、左の部屋から仕切り板に対して光を当てま
す。そうすると、光は空いている右の穴を通ってスクリーンの右
側に丸い像を結びます。続いて、今度は右の穴を塞いで左の穴を
空けます。そうすると、光は左の穴を通して、スクリーンの左側
に丸い像を結びます。当たり前ですが、これは光が「粒子」であ
ることを示しています。
問題は次です。今度は仕切り板の左右の穴を両方とも空けて、
左側の部屋から光を当てます。通常であれば、右の部屋のスクリ
ーンの左右に2つの丸い像が映し出させるはずです。しかし、実
際にはスクリーンには、干渉縞が映し出されるのです。これは光
が「波」であることを示しています。
これは、英国の物理学者、トマス・ヤングが行った実験なので
「ヤングの実験」と呼ばれています。これについて、竹内薫氏は
次のように述べています。
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これはヤングの実験と同じである。ヤングの実験は、光の干渉
作用を確認するための有名な実験だ。一つの光源から照射されて
二つのスリット(隙間)を通った光が、濃淡の縞をつくるという
実験である。波が干渉して、強め合ったり弱め合ったりしたわけ
だ。電子ビームも同じで、金属分子の隙間を通ったとき、まるで
波のように干渉したのである。
粒子だと思っていた電子にも、波の性質があったわけだ。もち
ろん、電子より大きな粒子でも、原理的には同じだ。ようするに
極端な話、僕らも量子なのだ。粒子性が大きく、波動性が小さい
だけで、粒と波、両方の性質を持っているのである。
──竹内薫著/丸山篤史構成
『量子コンピュータが本当にすごい/グーグル、NASAで実
用が始まった“夢の”計算機』/PHP新書
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驚くのはこれからです。物理学者たちは、どうしてこんな現象
が起きるのか、不思議でならなかったのです。粒子であるはずの
光(光量子/光子)がスクリーン上に干渉縞を作るには、光子が
スリットを抜ける直前に2つに分かれ、それぞれ左右のスリット
を抜けたのではないかと考えて、とくにスリットを抜ける瞬間を
観察しようとして、いろいろな仕掛けを施したのです。
そして、実際に光を発射したのです。その結果は驚くべきもの
だったのです。何と、2つのスリットを抜けた光子は、スクリー
ンに干渉縞を作らず、左右に2つの丸い像を表示したのです。何
ということでしょうか。物理学者たちが観察しようとしていろい
ろな仕掛けを施していることを知って、光子は振る舞いを変更し
たかのように常識的な結果をもたらしたのです。
冒頭に「誰も見ていない『月』は存在するか?」というテーマ
を出しましたが、人が見ていると、光子はその振る舞いを変更し
たのです。これについては、納得できないと思うので、次のユー
チューブ動画を見ていただきたいと思います。
動画は次の2種類があり、最初の動画が終わると、続いて次の
動画が始まります。最初の動画はマンガの老人が英語で話し、日
本語のスーパーは出るものの、読みにくいです。しかし、後の動
画は日本語に吹き替えてあるので、分かりやすいと思います。動
画の内容は、道具立てこそ変えてはいますが、同じことをいって
います。ぜひ、2つとも連続してご覧ください。きわめて興味深
い内容です。
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◎二重スリットによるヤングの実験の再現
第1の動画:マンガによる2重スリットの実験
5分23秒
第2の動画:ピッチングマシンを利用する実験
4分14秒
http://bit.ly/2BCaoGt
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光子について、米国の著名な物理学者であるE・Hウォーカー
は、1968年発刊の自著で「光子は意識を持っている」といっ
ています。
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意識というものが量子現象のすべての過程と関連しているかも
しれない。何であれ実際に起きる物ごとは究極的には量子力学的
な出来事の結果なのだから。たいていは思考力を持たないにして
もはっきりとした意識を持ち、宇宙の隅々まで影響を行きわたら
せているような存在がほぼ限りなく宇宙の中に生きている。
──コンノケンイチ著
『死後の世界を突きとめた量子力学』/徳間書店
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──[次世代テクノロジー論/61]
≪画像および関連情報≫
●「非実在性」は巨視的世界にも当てはめる事が実証される
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電子や光子などの極めて小さい素粒子は、その振る舞いが
量子力学で記述される。そして、量子力学によれば、これら
の素粒子は、普段は確率としてぼんやりとした霧の塊のよう
に存在しており、観測を行なうまではその厳密な位置や速度
などの状態を確定できない。つまり、見ていない(観測して
いない)素粒子は見るまでは、存在していないとも表現でき
る。この非実在性(見るまでは存在しない)は素粒子のよう
な微視的世界では厳密な実験で実証されているが、人間スケ
ールの巨視的世界では、例えば月の非実在性(誰も見ていな
い間は月は存在していない)というのは、通常の常識的には
あり得ないと考えられる。だが、本当に巨視的世界にも物理
学的見地から量子力学的非実在性が当てはまらないのかどう
かは、これまで未解決だった。
具体的には、ある物理系で実在性の破れを確認するために
は実在性が満たすレゲット・ガーグ不等式と呼ばれる条件が
その物理系で破れることを示す必要がある。この不等式は実
在性が成り立てば必ず満たされるが、量子力学のように実在
性が成り立たない系では満たされない場合がある。しかし、
実験で直接レゲット・ガーグ不等式の破れを示すためには、
量子性が保たれる時間内に3回の高精度な測定が必要などの
厳しい条件があり実証が困難だった。
http://bit.ly/2B3u599
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ヤングの実験/干渉縞