2017年12月21日

●「ヤングの実験でできる『干渉縞』」(EJ第4671号)

 「誰も見ていない『月』は存在するか?」に関する興味ある実
験をご紹介します。
 最初に「波」について考えてみます。水を張った水槽があると
します。この水槽は2つの穴の空いた板で真ん中が仕切られてい
ます。この状態で、左側にコインを落としたとします。そうする
と、仕切り板に向って波が発生します。
 穴に到着すると、波は二つに分かれ、仕切り板の右側で相互作
用を起こします。相互作用とは、2つの山が重なり合うと、山は
大きくなり、波の強度が増し、逆に山と谷が重なると、お互いに
打ち消し合う、そのさまをいうのです。その結果、「干渉パター
ン(干渉縞)」という模様ができ上がります。これは「波」の存
在を示す証拠といえます。これについては、添付ファイルを参照
してください。
 続いて「粒子」の実験です。仕切り板で仕切られた2つの部屋
があります。仕切り板には2つの丸い穴が空いていますが、現在
は左の穴は塞がっており、右の穴だけ空いています。なお、右の
部屋の正面には、スクリーンが張ってあるとします。
 この状態において、左の部屋から仕切り板に対して光を当てま
す。そうすると、光は空いている右の穴を通ってスクリーンの右
側に丸い像を結びます。続いて、今度は右の穴を塞いで左の穴を
空けます。そうすると、光は左の穴を通して、スクリーンの左側
に丸い像を結びます。当たり前ですが、これは光が「粒子」であ
ることを示しています。
 問題は次です。今度は仕切り板の左右の穴を両方とも空けて、
左側の部屋から光を当てます。通常であれば、右の部屋のスクリ
ーンの左右に2つの丸い像が映し出させるはずです。しかし、実
際にはスクリーンには、干渉縞が映し出されるのです。これは光
が「波」であることを示しています。
 これは、英国の物理学者、トマス・ヤングが行った実験なので
「ヤングの実験」と呼ばれています。これについて、竹内薫氏は
次のように述べています。
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 これはヤングの実験と同じである。ヤングの実験は、光の干渉
作用を確認するための有名な実験だ。一つの光源から照射されて
二つのスリット(隙間)を通った光が、濃淡の縞をつくるという
実験である。波が干渉して、強め合ったり弱め合ったりしたわけ
だ。電子ビームも同じで、金属分子の隙間を通ったとき、まるで
波のように干渉したのである。
 粒子だと思っていた電子にも、波の性質があったわけだ。もち
ろん、電子より大きな粒子でも、原理的には同じだ。ようするに
極端な話、僕らも量子なのだ。粒子性が大きく、波動性が小さい
だけで、粒と波、両方の性質を持っているのである。
                ──竹内薫著/丸山篤史構成
 『量子コンピュータが本当にすごい/グーグル、NASAで実
         用が始まった“夢の”計算機』/PHP新書
─────────────────────────────
 驚くのはこれからです。物理学者たちは、どうしてこんな現象
が起きるのか、不思議でならなかったのです。粒子であるはずの
光(光量子/光子)がスクリーン上に干渉縞を作るには、光子が
スリットを抜ける直前に2つに分かれ、それぞれ左右のスリット
を抜けたのではないかと考えて、とくにスリットを抜ける瞬間を
観察しようとして、いろいろな仕掛けを施したのです。
 そして、実際に光を発射したのです。その結果は驚くべきもの
だったのです。何と、2つのスリットを抜けた光子は、スクリー
ンに干渉縞を作らず、左右に2つの丸い像を表示したのです。何
ということでしょうか。物理学者たちが観察しようとしていろい
ろな仕掛けを施していることを知って、光子は振る舞いを変更し
たかのように常識的な結果をもたらしたのです。
 冒頭に「誰も見ていない『月』は存在するか?」というテーマ
を出しましたが、人が見ていると、光子はその振る舞いを変更し
たのです。これについては、納得できないと思うので、次のユー
チューブ動画を見ていただきたいと思います。
 動画は次の2種類があり、最初の動画が終わると、続いて次の
動画が始まります。最初の動画はマンガの老人が英語で話し、日
本語のスーパーは出るものの、読みにくいです。しかし、後の動
画は日本語に吹き替えてあるので、分かりやすいと思います。動
画の内容は、道具立てこそ変えてはいますが、同じことをいって
います。ぜひ、2つとも連続してご覧ください。きわめて興味深
い内容です。
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    ◎二重スリットによるヤングの実験の再現
    第1の動画:マンガによる2重スリットの実験
                    5分23秒
    第2の動画:ピッチングマシンを利用する実験
                    4分14秒
               http://bit.ly/2BCaoGt
─────────────────────────────
 光子について、米国の著名な物理学者であるE・Hウォーカー
は、1968年発刊の自著で「光子は意識を持っている」といっ
ています。
─────────────────────────────
 意識というものが量子現象のすべての過程と関連しているかも
しれない。何であれ実際に起きる物ごとは究極的には量子力学的
な出来事の結果なのだから。たいていは思考力を持たないにして
もはっきりとした意識を持ち、宇宙の隅々まで影響を行きわたら
せているような存在がほぼ限りなく宇宙の中に生きている。
                   ──コンノケンイチ著
       『死後の世界を突きとめた量子力学』/徳間書店
─────────────────────────────
            ──[次世代テクノロジー論/61]

≪画像および関連情報≫
 ●「非実在性」は巨視的世界にも当てはめる事が実証される
  ───────────────────────────
   電子や光子などの極めて小さい素粒子は、その振る舞いが
  量子力学で記述される。そして、量子力学によれば、これら
  の素粒子は、普段は確率としてぼんやりとした霧の塊のよう
  に存在しており、観測を行なうまではその厳密な位置や速度
  などの状態を確定できない。つまり、見ていない(観測して
  いない)素粒子は見るまでは、存在していないとも表現でき
  る。この非実在性(見るまでは存在しない)は素粒子のよう
  な微視的世界では厳密な実験で実証されているが、人間スケ
  ールの巨視的世界では、例えば月の非実在性(誰も見ていな
  い間は月は存在していない)というのは、通常の常識的には
  あり得ないと考えられる。だが、本当に巨視的世界にも物理
  学的見地から量子力学的非実在性が当てはまらないのかどう
  かは、これまで未解決だった。
   具体的には、ある物理系で実在性の破れを確認するために
  は実在性が満たすレゲット・ガーグ不等式と呼ばれる条件が
  その物理系で破れることを示す必要がある。この不等式は実
  在性が成り立てば必ず満たされるが、量子力学のように実在
  性が成り立たない系では満たされない場合がある。しかし、
  実験で直接レゲット・ガーグ不等式の破れを示すためには、
  量子性が保たれる時間内に3回の高精度な測定が必要などの
  厳しい条件があり実証が困難だった。
                   http://bit.ly/2B3u599
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ヤングの実験/干渉縞.jpg
ヤングの実験/干渉縞
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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