2017年12月19日

●「光量子の発見/アインシュタイン」(EJ第4669号)

 「量子」とは何かを見ていくことにします。竹内薫氏によると
量子とは「量の最小単位である」と述べています。
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 量子とは、その名の通り、「量の最小単位」である。それって
何の量だろう?まずは、エネルギーの量なのだ。この世の物質を
どこまでも細かく分解していくと、分子から原子、電子、陽子、
中性子、果ては素粒子と呼ばれるモノにまで行き着く。そんな極
小の世界では、エネルギーも分割不能な小さなカタマリなのであ
る。              ──竹内薫著/丸山篤史構成
 『量子コンピュータが本当にすごい/グーグル、NASAで実
         用が始まった“夢の”計算機』/PHP新書
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 上記の発言で重要なのは、「分割不能のカタマリ」という部分
です。それが量子ということになります。まず、「光」について
考えてみることにします。
 光とは何でしょうか。このテーマは大昔からさんざん議論され
てきています。今から300年から400年前、日本では江戸時
代の初め頃のことですが、ヨーロッパでは、光の正体について2
つの説が対立していたのです。
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    1.光は「粒子」である ・・・ ニュートン
    2. 光は「波」である ・・・ ホイヘンス
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 1の「光は粒子である」という説は、英国の科学者、ニュート
ンが唱えたもので、その根拠は「光は直進する」という光の性質
です。光は、他から力が加わらない限り、直進する性質を持って
います。例えば、雲のない晴れた日に飛行中の飛行機から地上を
見ると、くっきりとした飛行機の影が地上を動いているのが確認
できます。これは、光はなにか軽い「粒子」であることを表して
いるといえます。
 2の「光は波である」という説は、オランダの科学者、ホイヘ
ンスが唱えたものです。2つの部屋を仕切る壁に丸い穴をあけて
一方の部屋から光を当て、その穴から出た光をレンズを使ってス
クリーンに結像させると、明るい像が現れます。しかし、この穴
を小さくしていくと、スクリーンには波のような縞々の模様が現
れるのです。この現象は「光は粒子である」という説では説明す
ることは困難です。
 プールの中で波を起こし、それを手のひらで遮断しようとした
とします。そうすると、波は手の甲にぶつかるとともに、手のひ
らの内側の部分にも回り込んできます。これは、波の性質であり
光粒子説では説明がつかないのです。
 このようなわけで、19世紀になって「光は波である」という
ことでほぼ決着がついたのです。しかし、それから20年後、今
から120年ほど前に、再びこの論争が再現されるようになりま
す。アインシュタインの「光電効果の原理」の発表です。
 「光電効果」というのは、金属に光を当てたときに、金属の表
面から電子が飛び出す現象のことです。その性質は現在でも非常
に微弱な光を検出する装置に応用されているのです。ノーベル受
賞者の小柴昌俊氏がニュートリノ実験に使った「光電子倍増管」
という超高感度の光検出器もこの原理を応用しています。
 しかし、金属に光を当てたとき、単に電子が飛び出すというだ
けでは、光は波ではないとはいえないのです。光が波であっても
説明がつくからです。問題は、電子の飛び出し方にあります。そ
れを箇条書きにすると、次のようになります。
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 1.光の波長を赤から黄色、緑、青とだんだん短くしていく
   と、ある波長で突然電子が飛び出し始めた。
 2.電子が飛び出すかどうかは、光の強さにはよらず、波長
   (色)だけで決まった。ただ、光を強くすると、それに
   応じて飛び出す電子の数が増えたのである。
 3.飛び出した電子のエネルギーを測定すると、光の強さに
   はよらず、波長(色)だけで決まっていた。
                      ──竹内繁樹著
         『量子コンピュータ/並列計算のからくり』
                      ブルーバックス
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 アインシュタインは、光エネルギーの基本単位として、「光量
子」というものを仮定したのです。光量子のエネルギーは光の振
幅に比例し、波長に反比例します。光量子の波長を短くするとそ
のエネルギーは波長に反比例して大きくなっていきます。そして
そのエネルギーが、電子が金属のなかから飛び出すのに必要なエ
ネルギー量を超えると、突然電子が飛び出すとアインシュタイン
は考えたのです。これが光量子仮説です。ちなみに、光電子はそ
の後、「光子」(フォトン)と呼ばれるようになります。
 要するに、光量子仮説は「光は粒子である」ことを裏付けてい
るのです。光電効果の現象は、かなり前から知られていたのです
が、19世紀の物理学では説明ができなかったのです。「光は粒
子か波か」の決着がつかなかったからです。しかし、光電子仮設
は、その後の量子力学に発展するのです。
 アインシュタインは、ノーベル賞を受賞していますが、その受
賞理由は、有名な相対性理論ではなく、この「光電効果の発見」
だったのです。アインシュタインのノーベル賞受賞を記念して発
行された切手には、光電効果をイメージするデザインが使われて
います。(添付ファイル参照)なぜ、相対性理論にノーベル賞が
与えられなかったのかというと、それが当時何の役に立つかわか
らなかったのが原因であるといわれています。
 さて、これで「光は粒子である」ということにはなったのです
が、波の要素も否定できないのです。すべての物質には波の性質
があると考えられるのです。実際に「物質波」という言葉も存在
します。        ──[次世代テクノロジー論/59]

≪画像および関連情報≫
 ●物質波としての私たちはリズム天国を踊る
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   わけのわからないことを調べるのが好きだ。意味不明の単
  語の羅列でしかなかった本が、あるとき急に意味を帯びる。
  その瞬間が好きだ。何度もこんなことをやっていると、何が
  重要で何が重要でないかがすぐに分かるようになる。この話
  はやめよう。今日は物質波の話だ。
   量子力学は二つのアプローチがあり、それは次第に同じと
  ころを目指すようになる。ひとつは先日述べたハイゼンベル
  クの行列力学だ。彼は電子の軌道運動を捨て、ボーアの理論
  を書き換えた。もうひとつが、ドブロイが考えシュレーディ
  ンガーが定式化した物質波である。
   物質波とは物の波のことで、全てのものはゆらゆらとうご
  めいているんだよ、という観念である。ハイゼンベルクは光
  が粒であり波でもあるという矛盾には触れずに、数学をして
  いったが、ドブロイは違った。彼はその矛盾を解決するため
  に、「波だと思ってた光がやっぱり粒だった。ということは
  粒だと思っている電子はもしかしたら波ということがいえる
  かも」と考えた。何を言っているんだ。粒と波が共存すると
  いうのも不思議な話だ。実験結果の都合のいいように、粒子
  性と波動性を使い分けるのはナンセンス。それらの否定的統
  一を目指さなくてはいけない。ドブロイは自由な粒子はめい
  めいが時計をもっているとした。固有のリズム、振動をもつ
  らしい。このリズムは質量が十分軽くないとつかめない。今
  まで物質が波動性を示すような実験結果がなかったのはその
  せいだ。             http://bit.ly/2kBDjCB
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「光電効果」切手/アインシュタイン.jpg
「光電効果」切手/アインシュタイン
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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