なのでしょうか。また、それはなぜ必要なのでしょうか。
5Gの特徴については、日立システムズネットワークスによる
と、次の4つにまとめられます。
─────────────────────────────
1. エンドツーエンドアーキテクチャの変革
2. 従来の無線技術の進化を超えた変革
3.これまでの世代の技術を総合した通信方式
4. 本格的なIoT向けのネットワーク
http://bit.ly/2hGTilD
─────────────────────────────
「1」について考えます。
「エンドツーエンドアーキテクチャ」をもっと具体的にいうと
5Gを実現する次の4つの要求条件のことです。これについては
17日のEJでも、概略は述べていますが、もう少し、詳しく説
明します。
─────────────────────────────
@ 超高速 A超大容量
B超大量接続 C超低遅延
─────────────────────────────
@の「超高速」とAの「超大容量」が実現すると、大容量の映
像配信──例えば、「4K映像」や「8K映像」の配信が可能に
なるというのです。
ここで、テレビの解像度について知る必要があります。現在の
地上デジタル放送は「ハイビジョン」と呼ばれています。この上
のクラスは「フルハイビジョン」(ブルーレイ)です。ここまで
は多く人が通常見ているテレビの解像度です。ハイビジョンとフ
ルハイビジョンを画素であらわすと、次のようになります。
─────────────────────────────
◎ ハイビジョンの解像度 ・・ 1440×1080画素
◎フルハイビジョン解像度 ・・ 1920×1080画素
─────────────────────────────
はじめてデジタルテレビを見たとき、その美しさに目を見張っ
たものです。ましてフルハイビジョン(ブルーレイ)にいたって
は、さらにその上を行く画面の細密さです。
しかし、人間の欲望はキリがないもので、少しでも大きな画面
で見たいと考えるものです。テレビは大画面になるほど1画素あ
たりの面積が大きくなり、画素の粗さが目立つことになります。
つまり、同じ画素数でも画面サイズが大きくなればなるほど粗く
見えます。そういうわけで、4Kと8Kが出てきます。4Kと8
Kの画素は次の通りです。
─────────────────────────────
◎4Kの解像度 ・・・ 3840×2160画素
◎8Kの解像度 ・・・ 7680×4320画素
─────────────────────────────
4Kテレビは既に発売されていますが、8Kテレビの発売はこ
れからです。NHKは、2016年に8K放送の実験をはじめて
います。放送開始は2018年を予定しており、2020年の東
京五輪は8Kで放送を行う予定といわれています。
このようにテレビの画質はどんどん向上していきますが、4K
や8Kの画像を伝送するには大きなハードルがあります。そのた
めには5Gが必要になるのです。5Gでは通信速度を大幅に引き
上げる方向で検討されています。詳細はまだ判明していませんが
情報では次の速度が想定されています。
─────────────────────────────
5G ・・・ 100Mbps〜10Gbps
─────────────────────────────
4K画像と8K画像の伝送について、オーディオ・ビジュアル
の理論家として知られる鴻池賢三氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
現在、4K映像の伝送には20Mbps 前後の帯域が必要とされて
いる。これが、8Kではさらに2倍程度が必要であると見込まれ
ており、放送衛星を用いたブロードキャスト等は多チャンネル化
が難しくなる。そこで、5Gで平均100Mbps(最大10Gbps) の通
信が実現すれば、8K伝送の普及に貢献しそうだ。さらにその先
として、ホログラム立体化、オーディオのハイレゾ多チャンネル
化など、コンテンツのリッチ化をめざす場合も、5Gに期待がか
かる。こうした映像の高精細化、情報量の増大は、上記のすべて
の分野をより高度化するのにも役立つのだ。
http://bit.ly/2yOR1rH
─────────────────────────────
Bの「超大量接続」は明らかにIoT対策です。これからは、
すべてのモノがインターネットにつながる「モノインターネット
(IoT/インターネット・シングス)」の時代です。そのつな
がるモノのひとつに、スマートメーターがあります。
スマートメーターとは、従来のアナログ式誘導型電力量計と異
なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせ
た次世代電力量計のことです。日本政府は、電力需要の安定化を
はかるために、2014年4月1日施行の「エネルギーの使用の
合理化等に関する法律」の改正で、電力会社によるスマートメー
ターの導入が開始されており、2017年1月現在、29・7%
の設置が完了しています。
スマートメーターでは、各家庭の電力使用量を30分ごとに自
動計測して、無線ネットワークで電力会社のシステムにデータを
送るようになっており、まさにIoTそのものです。今後100
%に向けて設置が進むことに加えて、家電などのあらゆるモノの
スマート化が進むので、5Gが不可欠なのです。
もうひとつのCの「超低遅延」については、明日のEJにおい
て、詳しく述べることにします。
──[次世代テクノロジー論/39]
≪画像および関連情報≫
●アイドルへ自在に接近5Gが開く映像配信の新世界
───────────────────────────
2020年をメドに実用化される次世代通信規格「第5世
代(5G)」の商用サービスをにらみ、通信大手やテレビ局
などがコンテンツ開発に動き始めた。超高速・大容量通信が
可能な5Gでは配信できる映像コンテンツがより立体的で仮
想現実的となり、従来のテレビ放送とは異次元の楽しみを利
用者に与える。5G時代には通信と放送の垣根が崩れるとさ
れ、コンテンツを巡る競争が早くも過熱している。
神奈川県横須賀市にあるNTTドコモの研究施設では世界
に先行して5G時代を見据えたコンテンツ開発が進められて
いる。VR(仮想現実)映像技術に強いクレッセント(東京
・墨田)がドコモとともに開発するコンテンツは5Gの特性
を最大限に生かしている。
クレッセントの技術スタッフが詰めているのは研究所内の
スタジオだ。中央ステージには男性ダンサーが登場し「聞こ
えてますか」と語りかけた。その映像と音声は離れた部屋で
専用のVRヘッドセットを取り付けたデモ見学者にリアルタ
イムで送られる。「はい、聞こえてます」と答えれば、ダン
サーはうなずいてダンスを始める。隣にいる2人の女性ダン
サーも一緒に歌って踊る。これは現在の第4世代(4G)時
代の常識では考えられない世界だ。男性ダンサーの周囲に、
16台設置されたカメラで360度から撮影して人物の動き
だけを切り出して3次元映像化する。あらかじめ製作してい
た2人の女性ダンサーのVR映像と一緒にリアルタイムで離
れた部屋に5G技術で伝送する。 http://bit.ly/2jAGHAE
───────────────────────────
スマートメーター