2017年11月17日

●「なぜ、5G通信網が必要になるか」(EJ第4648号)

 スマホの現在のG(ジェネレーション)は「4G」ということ
になっています。しかし、実際には、まだ「4GLTE(3・9
G)」であるともいわれます。これは、スマホの存在する場所に
よって異なると考えればわかりやすいと思います。
 4Gで通信ができるようになるためには、基地局など、それが
実現できる条件が整っている必要がありますが、全国的にはまだ
整っていないところがあるのです。それに加えて、2020年に
は「5G」の時代になるともいわれています。
 なぜ、5Gが必要なのでしょうか。その背景を探ってみる必要
があります。昨日のEJで、その根拠を示す一文をご紹介してい
ますが、それを再現します。
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 2015年に通信されたデータ量はおよそ6ZB(1ゼタバイ
ト=2の70乗バイト)。それが2020年には7倍の44ZB
になるといわれている。7倍もの量のデータが通信されるわけで
当然それだけ高速なデータ通信、インフラが必要になる。さらに
IoTでいろいろなものがつながってくる。
 米シスコが出している予測では、全世界のモバイル端末の数は
2020年までに116億まで増加するという。
                   http://bit.ly/2zCQ3Qs
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 上記文中には「ZB(ゼタバイト)」という単位が登場します
が、この単位について説明します。大きな単位をあらわす接頭辞
は量が1000倍されるとに変わります。「キロ」から上の単位
について示すと、次のようになります。なお、1バイトは8ビッ
トです。
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    K ・・・・  キロ (千)/10の 3乗
    M ・・・・  メガ(百万)/10の 6乗
    G ・・・・  ギガ(十億)/10の 9乗
    T ・・・・  テラ (兆)/10の12乗
    P ・・・・  ぺタ(千兆)/10の15乗
    E ・・・・ エクサ(百京)/10の18乗
    Z ・・・・  ゼタ(十垓)/10の21乗
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 現在はデジタルの世界です。文書や書籍、映像、音楽などのあ
らゆるものがデジタル化され、年間のデジタル量は毎年増える一
方です。毎年生成されるこうしたデジタルデータをカウントして
いる「デジタル・ユニバース・スタディ」という調査報告サイト
があります。
 これによると、2005年に世界中で生成または複製された情
報量は「0・1兆GB」であったのに対し、2011年における
それは「1・8兆ZB」になっているといいます。ギガ、テラ、
ペタ、エクサときて、単位はゼタになっています。
 これについて、既出のNTTデータ社長の岩本敏男氏は、デジ
タル情報量の伸長を情報爆発と呼び、次のように述べています。
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 2005年の0・1兆GBというのは、0・1ZBのことだか
ら、2011年の1・8ZBというのは、2005年の情報量の
18倍ということになる。この1・8ZBを仮にDVDに1枚ず
つ記録していくとすると、DVDの標準的な容量は4・7GBで
あり、約3800億枚が必要ということになる。このDVDを厚
さ5ミリのケースに入れて積み上げて行くと、190万キロメー
トルという距離になる。これは、地球と月との距離約38万40
00キロメートルを2往復するほどの距離である。
                      ──岩本敏男著
              『IT幸福論』/東洋経済新報社
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 冒頭記事によると、通信された情報量に絞ってみても2015
年はおよそ6ZBであるが、それが2020年には、7倍の44
ZBになるというのです。これは、まさに「情報爆発」といって
も過言ではない状況です。
 なぜ、5Gが必要なのかについては、基本的には次の3つの理
由があります。
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   1.コンテンツのリッチ化への対応が求められる
   2.IoTの普及拡大でトラフィックが急増する
   3.ネットワークの多接続と低遅延が求められる
─────────────────────────────
 「1」について考えます。
 これまでもそうであったように、時代が進むにつれて、コンテ
ンツのリッチ化は、単に個人が楽しむだけでなく、今後ますます
強く求められるようになります。とくに映像の8K化や立体化は
衛星放送や光ケーブルによる伝送ではコスト面に限界があるので
5G通信ネットワークの実現が期待されています。これにより、
遠隔手術などの遠隔医療に貢献することができます。
 「2」について考えます。
 あらゆるものがネットにつながると、トラフィック──通信回
線を利用するデータ量が激増するのことは必至になるので、新し
い通信方式での対応である5Gが求められます。5Gになるとい
うことは、4Gをそこに取り込むことになるので、それによって
ネットワークは強靭化されます。
 「3」について考えます。
 IoT時代のネットワークは、多接続性はもちろんのこと、と
くに「低遅延」の実現が求められます。IoTが本格化すると、
身の回りのデバイスに加えて、目に見えないセンサーも加わるの
で、数兆個の機器がネットに繋がることになります。自動運転車
や遠隔手術などの分野では、機器同士間の数ミリ秒以内の低遅延
性が求められます。4Gでは0・01秒の遅延を0・001秒ま
短縮する必要があります。──[次世代テクノロジー論/38]

≪画像および関連情報≫
 ●5Gはどれくらい速いの?/ITpro
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   第5世代移動通信システム(5G)の利用者が体感できる
  実効速度は、現行の4G(LTE)の100倍に当たる毎秒
  数百メガ〜数ギガビット。携帯最大手のNTTドコモはそう
  想定する。通信条件の良いピーク時の実効速度は、サービス
  開始当初は毎秒数ギガビットにとどまるが、その後毎秒10
  ギガビット以上へと段階的に速まりそうだ。
   毎秒10ギガビットを実現できると、1つの基地局に接続
  した数百人のユーザーが同時に、4K映像を快適に視聴でき
  る。基地局をうまく配備すれば、五輪会場やコンサート会場
  など利用者が密集する環境でも通信しやすくなる。
   なお、国際電気通信連合(ITU)の技術性能要件では、
  5Gの最高伝送速度を、下り毎秒20ギガビット/上り毎秒
  10ギガビットとしている。強みはスピードだけではない。
  IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けに多数のセ
  ンサーを同時接続しやすくもなる。同時接続端末数は4Gの
  100倍となる、1平方キロメートルのエリア当たり、最大
  100万台を目指す。縦横各1メートル間隔でセンサーや端
  末をびっしり並べても5Gの標準的な基地局で通信をほぼカ
  バーできる計算だ。       http://nkbp.jp/2iUv3wA
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5G/どのくらい速いか.jpg
5G/どのくらい速いか
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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