クロード・シャノンとハーバード・サイモンについては既に説明
は終わっています。
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1. クロード・シャノン/1916〜2001
2. ハーバート・サイモン/1916〜2001
→3.ジョン・フォン・ノイマン/1903〜1957
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第3に、ジョン・フォン・ノイマンについて考えます。
ジョン・フォン・ノイマンといえば、ハンガリーのブタペスト
出身の米国の世界的に優れた数学者であり、8歳のときに微分積
分を理解していたいわれるほどの天才です。コンピュータの発達
にも優れた業績を遺した人物ですが、岩本敏男氏は「ゲームの理
論」の創設者として、ノイマンを取り上げています。
ゲームの理論は、社会において複数の主体が関わる意思決定の
問題や行動の相互依存状況を数学モデルを用いて研究する学問で
あり、数学家のノイマンと経済学者のオスカー・モルゲンシュテ
ルンによる共著書『ゲームの理論と経済行動』(1944年)の
上梓によって誕生しています。
ゲームの理論では、人間は自分の知り得る情報を活用し、相手
の戦略を予想し、自身の「利得」が最大になる行動を選択すると
されています。ノイマンは、このゲームの理論の枠組みで「情報
の利用価値」について次のように述べています。
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情報の利用価値とは、情報が存在する場合の利得から、情報が
存在しない場合の利得を減じたものである。
──ジョン・フォン・ノイマン
──岩本敏男著/『IT幸福論』/東洋経済新報社
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岩本敏男氏は、これらのシャノン、サイモン、ノイマンたちが
述べたことをまとめ、情報を次のように定義し、トフラーの『第
三の波』の次の一節を紹介しています。それは、現在起きつつあ
る情報通信革命への対処を教えてくれます。
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◎情報とは何か
情報とは、不確実性を減らし、利得を極大化するための源泉で
ある。
◎第三の波への対応
これからのわれわれの生活の枠組みになるのは、この変革の第
三の波である。滅びゆく文明から、いま、その姿をあらわし始
めた新しい文明へ円滑に乗りかえ、しかも自分自身を見失わず
に、これから迫ってくる、いよいよ激しい危機を乗り切るため
には、第三の波の変革を正しく捉え、むしろ積極的にその変化
を推し進めていかなければならない。
──アルビン・トフラー著
徳山二郎監修/鈴木健次・櫻井元雄訳/日本放送出版協会刊
──岩本敏男著の前掲書より
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ジョン・フォン・ノイマンの話が出てきているので、彼のコン
ピュータの発展への貢献について述べておきます。これは、現在
開発されつつある「量子コンピュータ」について述べるときの前
提になります。
世界初のコンピュータは「ENIAC」といい、1946年に
弾道計算のために、米国陸軍の弾道研究室によって設計され、完
成しています。報道では「巨大頭脳/グレート・ブレイン」と紹
介され、当時の電気機械式計算機に比べて、約1000倍の速度
だったと紹介されています。
これに対して1949年に英国のケンブリッジ大学で「EDS
AC」というコンピュータが開発されています。一般的にはこの
コンピュータはノイマンが開発したといわれていますが、正確に
いうとそうではないのです。
ノイマンは「EDVAC」というレポートを発表しているので
すが、この内容に刺激されたケンブリッジ大学の数学研究チーム
がEDSACを開発したのです。レポートの内容は、当時として
は誠に斬新なアイデアに満ちたものだったといいます。ENIA
CとEDSACの違いを次に簡単にまとめておきます。
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◎ENIAC
Electronic Numerical Integrator and Computer
1946年完成/10進数/ハードウェア/弾道計算を目的と
する専用の計算機
◎EDSAC
Electronic Delay Storage Automatic Calculator
1949年完成/ 2進数/ソフト内蔵/大量のデータ処理の
ための汎用計算機
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ノイマンによるEDSACの重要な特徴は2つあります。1つ
は、ENIACの10進数に対して2進数を採用したことです。
2つは、プログラム内蔵型のコンピュータであることです。
EDSACは、真空管を3000本使い、主記憶装置としては
水銀遅延菅、入力には紙テープを利用し、出力にはテレタイプを
使うなど、構成部品は現在のコンピュータとまるで違うものの、
その基本的な仕組みや考え方に変化はないのです。
現在のコンピュータは、スマホまで含めて、2進数を採用し、
プログラム(アプリ)の命令にしたがってCPUが処理を行う仕
組みであり、その基本的な仕組みは、EDSACと変わらないの
です。そのため、現在のコンピュータは「ノイマン式コンピュー
タ」と呼ばれています。これを超えるコンピュータとして期待さ
れているのが「量子コンピュータ」です。
──[次世代テクノロジー論/33]
≪画像および関連情報≫
●ジョン・フォン・ノイマンの生涯
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1903年12月28日、ジョン・フォン・ノイマン(ハ
ンガリー名:ナイマン・ヤーノシュ)はハンガリーの首都ブ
ダペストにて、父が弁護士をしているユダヤ系ドイツ人の家
庭に三人兄弟の長男として生まれた。
ノイマンは幼少期から英才教育を受けており、ラテン語と
ギリシャ語の覚えが早く、時には古典ギリシャ語でジョーク
を言うこともあった。6歳になる頃には6桁の計算を暗算で
こなし、筆算では、8桁の掛け算までできるようになってい
た。また8歳になる頃には、微分積分などの高等数学を理解
していたという。
その興味は数学だけにとどまらず、ウィルヘルム・オンケ
ンの全44巻からなる「世界史」や、ゲーテの詩集・小説な
どを片っ端から読破し、歴史・文学の分野にも強い関心を見
せるようになった。その反面、運動や音楽などについては全
く才能が見られず、どれほど練習しても、上達することはな
かったという。
1914年10歳になったノイマンはブダペストにあるギ
ムナジウムという学校に入学した。この学校は日本の中高一
貫校に相当する学校であり、1963年にノーベル物理学賞
を受賞することになるユージン・ウィグナーとは一学年違い
だった。入学から間もなく、ギムナジウムの教授がノイマン
の才能を見抜き、それからの約8年間、ノイマンはブタペス
ト大学の数学者によって個人授業を受けることになる。
http://bit.ly/2A8fN6w
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ノイマンの考案したEDSAC