付きで再現します。
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1. クロード・シャノン/1916〜2001
2. ハーバート・サイモン/1916〜2001
3.ジョン・フォン・ノイマン/1903〜1957
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クロード・シャノンの話を続けます。「情報」については次の
ような話もあります。当時は物理学が全盛の時代で、世の中のす
べてのことは物理学で説明できると考えられていたのです。
チンパンジーにタイプライターを与えて打ち方を指導し、適当
に文字をタイプさせます。一方で人間にはシェイクスピアの詩を
タイプさせます。
そして、シャノンは、チンパンジーのタイプした紙と人間のそ
れを示し、これらはどちらもタイプライターのインクが付いた紙
であり、物理学的には同じものであると説明します。そのうえで
次のように続けたのです。
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大きな違いがあります。チンパンジーのタイプしたものは内容
が意味不明ですが、人間のそれはシェイクスピアの詩になってい
ます。そこには大きな差があります。この差を私は「インフォメ
ーション/情報」と呼ぶことにします。──クロード・シャノン
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「情報」という言葉は、そのとき既に存在し、使われていたの
ですが、非常に曖昧な概念だったのです。シャノンはその言葉を
明確に定義してみせたといえます。
シャノンは、大学院のときに「継電器とスイッチ回路の記号論
的解析」という論文を書き、「デジタル」の概念につながる理論
を発表しています。電気回路が閉じているときが「オン」、回路
が開いている状態を「オフ」とし、情報の最小単位を「ビット」
と称し、オンには「1」、オフには「0」を対応させたのです。
このように情報は「0」と「1」で表現されるようになります。
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ビット=bit/2進数字
Binary Digit/バイナリー・ディジット
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これによってシャノンは「情報」を数式や方程式で扱えるよう
にしたのです。それを可能にしたのが「情報のコード化」です。
情報のコード化とは何でしょうか。その最も分かりやすい例とし
て「モールス信号」をあげることができます。
モールス信号は、「トン」(短音)と「ツー」(長音)という
2種類の信号の組み合わせで、文字を伝える方法です。これには
よく考え抜かれた工夫がこらされています。
英文の中に使われる文字には、よく使われる文字とそうでない
文字があり、統計的に判明しています。
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≪最もよく使われる文字≫
E ・・・ − トン
T ・・・ ―― ツー
≪あまり使われない文字≫
Q ・・・ ―― ―― − ―― ツー・ツー・トン・ツー
Z ・・・ ―― ―― − ツー・ツー・トン
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どうでしょう。最もよく使われる文字は短く、あまり使われな
い文字には長い音を割り付けています。少しでも早く情報を伝え
るための処置といえるでしょう。これがシャノンの考えた「情報
のコード化」です。
第2に、ハーバート・サイモンについて考えます。
ハーバート・サイモンは米国の経済学者であり、その研究の中
心は組織論の分野であり、組織における人間の意思決定過程の研
究を行い、これによって1978年にノーベル経済学賞を受賞し
ています。
この意思決定という人間の営みには「情報」が深く関わってく
るのですが、サイモンは情報には「階層」があることを指摘し、
次のように述べています。
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データ、インフォメーション、インテリジェンスという情報の
階層を経て、われわれは意思決定をすることができる。
──ハーバート・サイモン
──岩本敏男著/『IT幸福論』/東洋経済新報社
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「情報は対象の不確実性を減少させる」とシャノンはいいまし
たが、その情報、すなわちインフォメーションは「事実」、デー
タの積み上げられたものです。岩本敏男氏の言葉を借りれば「デ
ータを分類して意味を持たせ、分析や評価の対象にしたものが、
インフォメーション」といえるのです。
しかし、このインフォメーションだけでは意思決定に使えない
のです。多くの情報をシステマティックスに積み上げて、もうひ
とつ上の階層に引き上げることが意思決定には必要になります。
そうなると、これは単なる情報ではなく、インテリジェンス、い
わば「知見」のレベルになっているといえます。
このようにサイモンの意思決定のプロセスの説明をたどってい
くと、情報には次の3つの階層があることがわかってきます。
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1. データ
2.インフォメーション
3. インテリジェンス
──岩本敏男著の前掲書より
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──[次世代テクノロジー論/32]
≪画像および関連情報≫
●意思決定は合理的ではありえない/ハーバード・サイモン
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「需要曲線と供給曲線の交点で、価格と生産量が決定され
る」。この法則は、ミクロ経済学の教科書を読んでいなくて
も、ほぼだれでも知っている基礎知識です。「需要と供給の
一致」、つまり「神の見えざる手」ですね。需給の交点で市
場は均衡するわけです。
しかし、この法則の成立には前提があります。市場には供
給側も需要側も十分に多数の参加者が存在し、全員が同じ情
報を持っていることです。これを「完全競争市場」といいま
す(正反対の概念は「独占市場」)。
さらに、企業は利潤を最大化し、人々は効用を最大化する
行動をとることが前提にあります。効用の最大化とは、予算
の制約のなかで欲望を最大化すること、と言い換えてもいい
でしょう。人々は同じ財・サービスであれば、必ず価格の一
番安いものを買う、といったことです。なぜならば、それが
合理的な行動だからです。つまり、人間の合理性が大きな前
提条件として組み込まれていることがわかります。人間の合
理性を前提に、経済学は計算可能なサイエンスとして発達し
たわけですが、現実の社会で完全競争市場はほとんどありえ
ません。実際は完全競争市場と独占市場の間にグラデーショ
ンのようなさまざまな市場があり、人間は完全に合理的な行
動をとることもありえないのです。 http://bit.ly/2zkCCGD
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情報の巨人:シャノン/サイモン/ノイマン