起きているので、EJでこのテーマを取り上げたのですが、その
言葉の意味をはっきりさせておく必要があります。
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パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分
野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の
価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラ
ダイムチェンジともいう。 ──ウィキペディア
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岩本敏男氏のいう「もうひとつの地球」では、まさにパラダイ
ムシフトが起きているのです。その原動力になっているものは、
次の3つです。
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1. CPU
2. ストレージ
3.ネットワーク
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この3つが「もうひとつの地球」において、どのようにパラダ
イムシフトを起こしているかについて、岩本氏の主張をまとめる
と、次のようになります。
従来の地球では、人や機械などの「何かを動かすもの」が機能
することによって生産活動を行ってきたのです。それが「もうひ
とつの地球」において、その「何か」は情報であり、それを動か
すものの役割を「CPU」が担っているということです。情報を
インプットして受け入れ、プロセスで加工し、アウトプットとし
て出力する──そういう生産活動における中核的機能を果すのが
CPUであります。
従来の地球では、情報を記録する手段は紙であり、メモ、ノー
ト、書面、新聞、書籍、雑誌のように、情報の多くは紙のなかに
存在していたのです。それが「もうひとつの地球」では、ハード
ディスクなどに「0」と「1」のデジタル情報の集合体として保
存されるようになっています。このような情報の保管場所のこと
を「ストレージ」といいます。ストレージという言葉の意味は、
データが保存・保管される場所のことです。
また、従来の地球では、人と人のコミュニケーションは主とし
て郵便や電話という手段で、離れた場所にいる人とコミュニケー
ションをとってきていますが、「もうひとつの地球」では、情報
のデジタル化によって、電子ネットワークによるコミュニケーシ
ョンが可能になっています。「1対多」の情報発信が可能になり
しかもその情報を受信した人が、瞬時にそれに対する反応を個人
ないし複数の人に返すことができるようになっています。
CPU、ストレージ、ネットワーク──岩本敏男氏は、これら
を「情報通信技術の3要素」と位置づけて、著書で詳しく論じて
います。この本は技術書ではなく一般書ですが、現代人であれば
このくらいの技術的知識は、誰でも、とくに経営者は、知ってお
かなければならないという著者の思いが強く感じられます。
これら情報通信技術の3要素について、岩本氏は次のように締
めくくっています。
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「もうひとつの地球」を構成するこれらの要素(情報通信技術
の3要素)の進化が目覚ましいのは、既に示したとおりだ。19
97年からの15年間でCPUの処理速度は約80倍、ストレー
ジのデータ保存容量は約2万倍、電子ネットワークの通信速度は
約15万倍にもなった。各要素におけるこのような指数関数的な
伸びは、少なくともこれから10年は続くと考えられる。人や歯
車、紙、郵便や電話という要素で構成されていた従来の地球では
おそらくどの時代の15年に焦点を当てても、これだけの進化が
見られたことはなかっただろう。 ──岩本敏男著
『IT幸福論』/東洋経済新報社
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「従来の地球」と「もうひとつの地球」における大きな違いは
桁違いに進化のスピードが速いということです。それが上記のC
PU、ストレージ、ネットワークの驚くべき進化によくあらわれ
ています。
それにAI(人工知能)の進化があります。従来の地球では人
が判断していたことが、AIの判断がそれに加わることによって
進化のスピードが加速します。そのため、昨日できなかったこと
が今日にはできるようになっていることがたくさんあるのです。
現時点では顕在化していない技術であっても、何かのきっかけで
一瞬のうちに顕在化することは十分あり得ることです。つまり、
技術が顕在化しようとしたときにビジネスモデルを考えても「時
既に遅し」というわけです。
したがって、まだ顕在化されておらず、現在進行中の未来の技
術を見抜く目が必要になります。そのため、このテーマの冒頭か
ら技術の未来論の重要性を述べているのです。『エコノミスト』
誌のトム・スタンデージ副編集長のいうように、過去を振り返り
現在進行中の現象を鋭く見極め、SF小説で描かれている未来を
調べる──そういう未来予測が現代ビジネスパーソンに求められ
ているといえます。岩本氏は、まだ顕在化されてはいないものの
現在進行中の技術を見極めることの重要性について、次のように
述べています。
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重要なのは、まだ表面に出ていない潜在的な技術、あるいは顕
在化しつつあるが、一部の感受性の高いアーリーアダプター″
層しかまだ興味を示していない技術の中から、将来的に影響を与
えるようなものを見極めることである。そうしたITが活用され
ることを予見し、事前にその活用のための準備をしておくことこ
そ重要なのである。 ──岩本敏男著の前掲書より
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──[次世代テクノロジー論/30]
≪画像および関連情報≫
●技術論に終始する「日本の予測本」の異様さ
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世界の賢人たちによる未来予測本は、みな独自性にあふれ
たものだ。しかし、それらを足し合わせて平均してしまえば
「現状と何も変わらない」という陳腐極まりない結論になっ
てしまう。そのことを前回の「未来は「平均値」で考えては
いけない」で触れさせていただいた。つまりは、それぞれの
予測を集めて多数決を採るのではなく、「いいとこどり」を
していく必要があるということだ。
実際に、未来予測に関するリポート『メガトレンド201
4〜2023』(日経BP未来研究所)を執筆する前段階と
して私もこの作業に挑んだわけだが、その際に気づいたのは
個々の予測は、著者が属する国や地域、そして著者の専門分
野などを強く投影したものになっているということである。
それは個性、あるいは独自性とも言えるものであり、各著作
の魅力となっている。だが、彼らの予測を具体的な事業計画
などの参考にしようとするのであれば、このことには十分留
意すべきだとも思う。
著名予測本の具体例として前回、BIノルウェービジネス
スクール教授のヨルゲン・ランダースが著した『2052年
今後40年のグローバル予測』(日経BP社、2013年)
と英エコノミスト誌編集部がまとめた『2050年の世界/
英『エコノミスト』誌は予測する』(文芸春秋2012年)
の内容について紹介させていただいた。今回はさらに著者の
「地域」を広げ、それらの特徴を探ってみたい。
http://nkbp.jp/2zbAxen
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岩本 敏男氏