かす」は、なかなか意味の深い言葉です。この人はなかなかの造
語の名人であるといえます。けっして、追い込まれて苦し紛れに
出した方針でないことは確かです。
「築地は守る」とは「築地ブランドを守る」ということです。
小池知事によると、「築地ブランドを守る」をいい換えると「仲
卸の人たちを守る」ということになります。なぜなら、豊洲市場
でそれは実現できないからです。これについては、これから明ら
かにしていきます。
一方、「豊洲は活かす」は、文字通り既に出来上がっている豊
洲市場を活かすことです。築地市場を再整備するにせよ、巨額の
お金をかけて作り、せっかく完成している豊洲市場を使わないで
売るという選択肢はないはずです。
しかし、豊洲市場は、土壌汚染区域というレッテルが貼られて
いる土地の上に建っています。したがって、生鮮食料品を扱う中
央卸売市場として不適格であり、築地市場に新しいスタイルの市
場が再建できたときは、市場機能を戻すということを言外に含め
て表現されています。これが「築地は守る」ということばに含ま
れる意味です。
それでは、豊洲市場はどうするのかというと、豊洲は物流セン
ターとして活用するのです。これについては、既出の安東泰志氏
が次のように具体的に述べています。
─────────────────────────────
では、豊洲市場はどうするのか。ここで注目すべきは、その立
地特性と優れた冷凍物流機能だ。すなわち、豊洲は羽田と成田に
近い上、今回の一連の意思決定の結果環状2号線が開通すれば、
一層利便性が高まり、湾岸地域の物流センターとして極めて有利
な立地である。そこで豊洲では、市場機能のうちの、転配送機能
や市場外流通機能を維持発展させることで発展的に用途転用する
ことが可能である。大手卸売業者は中央卸売市場としての豊洲市
場をベースにすることも合理的であろう。 ──安東泰志氏
http://bit.ly/2eQ0r1g
─────────────────────────────
ここまでEJはどちらかというと、築地市場が重要であること
を中心に述べてきていますが、豊洲市場についてもよい点は、た
くさんあり、これについても述べる必要があります。
豊洲市場について知るには、東京都が次のハンドブックを作成
しています。参照をお勧めします。しかし、このハンドブックは
築地市場には問題があり、豊洲市場へ移転するしかないというロ
ジックで作られていることを念頭に置いて読む必要があります。
─────────────────────────────
「築地市場の移転整備/疑問解消BOOK」
http://bit.ly/2hibqj9
─────────────────────────────
以下の説明は、添付ファイルの「<基幹市場>として選ぶなら
どちら?」を見ながら、読んでいただきたいと思います。豊洲市
場のメリットは次の3つです。
─────────────────────────────
1.食の安全確保
2.効率的な物流
3.多様なニーズ
─────────────────────────────
「1」は「食の安全」です。
ハンドブックでは、次のようなロジックで「食の安全」につい
て、説明しています。
─────────────────────────────
豊洲新市場は閉鎖型の施設ですので、築地のように商品を野ざ
らしにすることはありません。さらに温度管理もしっかりとでき
るので、商品を低温を保持したまま途切れることなく流通させる
「コールドチェーン」が確立できます。
──「築地市場の移転整備/疑問解消BOOK」
─────────────────────────────
豊洲市場は全館閉鎖型の施設です。「コールドチェーン」とは
生鮮食品や冷凍食品などを、産地から消費地まで一貫して低温・
冷蔵・冷凍の状態を保ったまま流通させる仕組みのことです。
豊洲市場がコールドチェーンを確立するには、HACCP(ハ
セップ)を取得する必要があります。HACCPは、食品の衛生
状態を科学的に分析、管理するための手法のことで、食の安全を
高めるために必要であるだけでなく、食品の輸出にも結びつくこ
とになります。
「2」は「効率的な物流」です。
豊洲市場には、専用の荷さばき場を確保できるので、衛生面で
も品質面でも、より「安全・安心」を確保できます。築地では、
面積が狭いため、搬入する車両と搬出する車両が同じ駐車スペー
スを使わざるを得なかったのですが、豊洲では搬入口と搬出口を
分けることで可能になっています。食品の入り口と出口を別にす
ることで、食品同士の接触機会を減らし、衛生面を一段と向上さ
せることができます。
「3」は「多様なニーズ」です。
豊洲市場では、築地市場よりも面積が広いので、大手スーパー
などの食品加工やパッケージする施設を置くことが可能になって
います。これは市場としての付加価値であるといえます。
また、大口顧客のために、商品を店舗ごとに仕分けられるスペ
ースがとれることや、一時保管するための低温倉庫なども置くこ
とが可能になっています。
このように考えると、築地市場に比べて豊洲市場は良いことづ
くめですが、築地市場で一番多い「仲卸業者」の視点に立って考
えると、彼らにとって豊洲市場は、特段のメリットは何もないこ
とがわかります。それでいて移転にはカネはかかるし、店舗面積
も狭いのです。 ──[中央卸売市場論/049]
≪画像および関連情報≫
●最新設備コールドチェーン破綻で鮮魚が風雨にさらされる
───────────────────────────
「こんなことでいいのか!」――。“推進派のドン”こと
伊藤裕康築地市場協会会長も“激オコ”だ。豊洲移転の最大
のウリは、魚介類を産地から途切れることなく低温を保ち輸
送する「コールドチェーン」だ。鮮度を落とさず消費者に届
ける“最新鋭設備”に大枚をはたいたはずが、使い勝手を無
視した造りのせいで宝の持ち腐れ。ちっとも機能しそうにな
いのだ。
「豊洲では荷台が横に開く『ウイング型』の運送用トラッ
クは、生鮮食品が外気に触れてしまうため採用できません。
接車し荷卸しするための『バース』も、荷台の後部の扉が開
くタイプのトラックが、バックで入ってくることを想定した
造りになっています」(運送業界関係者)
荷を卸しやすいウイング型にも対応した築地より、手間と
時間がかかるのは確実。しかも、「3.5メートルの高さ制
限のある場所があるため、通行できない車両がある」(東京
都中央卸売市場輸送協力会の椎名幸子会長)というから、豊
洲のコールドチェーンは破綻へまっしぐらだ。15日の市場
問題プロジェクトチームのヒアリングで、伊藤会長がまあ怒
ること。 http://bit.ly/2wNtcmc
───────────────────────────
基幹市場として選ぶならどちら?


