2017年09月08日

●「小池知事は最初から『築地温存』」(EJ第4601号)

 小池知事の「築地は守る、豊洲は活かす」について、前都議会
自民党幹事長の木啓氏は、公式ブログで次のように批判してい
ます。タイトルは「『決められない政治』への逆戻りは許されな
い」。なお、木啓氏は今回の都議選で落選しています。
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 都議会議員選挙が6月23日から告示される直前の6月20日
小池知事は延期していた築地市場の豊洲移転について、「築地を
守る、豊洲を活かす」という築地も豊洲も活用する考えを、これ
も独断で表明しました。今回も議会及び都庁の関係部局に知らさ
れることなく、この案は一方的に表明されたのです。(中略)
 結局、都議選前に「決められない知事」のイメージを払しょく
するためにこのような案を出したのでしょうが、内容は不透明な
部分がほとんどで、築地の業界関係者も判断のしようがないとい
うのが正直なところのようです。    http://bit.ly/2w8RHGa
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 ボロクソです。木啓氏は、築地市場の豊洲移転にストップを
かけている小池知事が「決められない知事」との批判を避けるた
め、わけのわからない案を出してきたととらえています。もっと
も「決められない知事」という印象操作をしていたのは、かつて
木幹事長が率いた都議会自民党ではありますが・・・。
 小池知事は、「築地は守る、豊洲は活かす」の方針を発表した
直後、築地市場に足を運んで市場関係者幹部に説明を行っていま
す。そのとき、東京都水産物卸売業者協会会長の伊藤裕康会長は
次のようにいっています。
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 伊藤:豊洲移転を決められたことは評価したい。しかし、豊
    洲と築地に2つの市場が併存することは絶対に理解が
    できない。
 小池:あくまで豊洲市場が中央卸売市場になります。
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 小池知事はここで「中央卸売市場は豊洲」と明言しています。
これに関連して、この小池知事の説明会に出席していた最大の業
界団体「東京魚市場卸協同組合」(東卸)の早川豊理事長は記者
に対して次の趣旨のことを話しています。
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 記者:小池知事の説明をどう思うか。
 早川:2つの市場は成り立たない。卸、仲卸、買参人が一堂
    に会して商品を評価し、販売するという市場本来の機
    能が2ヶ所同時並行で行えるとは到底思えない。もっ
    とも、再開発後の築地が中央卸売市場になるのであれ
    ば話は別だが。
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 小池知事は、明言はしていませんが、あくまで豊洲市場は、築
地が再開発されるまで一時的に中央卸売市場の機能を持つものの
築地が完成したあかつきには、中央卸売市場の機能は築地市場に
戻ることを示唆しています。
 なぜなら、豊洲市場は、追加土壌汚染対策はするものの、今後
とも土壌汚染はなくならず、無害化が困難との判断が小池知事に
あるからです。豊洲市場の土壌汚染は、初期段階できわめてゆる
い土壌汚染対策しかしておらず、その状態で建物を建てているの
で、いつまで経っても土壌汚染がなくならないのです。そのこと
は、環境大臣を務めた小池知事はよくわかっています。
 もうひとつ特記すべきことがあります。それは、この「築地は
守る、豊洲は活かす」のプランは、都議会自民党の印象操作であ
る「決められない知事」の批判を払しょくするために慌てて考え
出されたプランではないことです。
 小池氏は、知事に就任した時点で既に「築地市場温存」の方針
を決めていて、側近に命じてその実現プランを作成させているの
です。それを裏付ける文書も存在します。「現代ビジネス」編集
部がその文書を手に入れていますが、そこには市場問題の解決案
として、次の4つの選択肢が示されています。
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 1.予定通り豊洲に移転
 2.豊洲移転は中止、築地市場を改修して使う
 3.築地市場をそのまま使い、豊洲市場は倉庫として使う
 4.築地市場を再整備し、その間は一時的に豊洲へ市場機能
   を移転する          http://bit.ly/2wIVZHY
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 選択肢の1つずつについて、その実現性が検討され、最終的に
「4」が選択されたものと考えられます。この「4」こそ、小池
知事が明らかにした「築地は守る、豊洲は活かす」プランにつな
がるのです。そこには、次のように書かれています。
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 築地市場の再整備が終わり、市場機能が築地へ戻されたのちに
は豊洲市場を物流拠点やショッピングモールとして活用する。
                   http://bit.ly/2wIVZHY
─────────────────────────────
 なぜ「4」なのでしょうか。それは「築地のブランド」を守る
ためです。小池知事のいう「築地は守る」とは、20日の会見で
も述べた仲卸の人たちを守るということです。
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 築地市場の価値、そして高いブランド力というのは、これは東
京都の莫大な資産であると考えられます。高い知名度、そして長
い歴史、日本で唯一市場がブランドになった稀有な存在といって
いいかと思います。そして、その築地ブランドの核をなすのが仲
卸の皆さんでありまして、この仲卸の方々の目利き力ということ
が、まさにブランドの宝の中の宝という部分かと思います。
             小池知事  http://bit.ly/2vNXdmk
─────────────────────────────
              ──[中央卸売市場論/048]

≪画像および関連情報≫
 ●市場移転計画で見逃された「築地」ブランド/牧野直哉氏
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   東京都観光汽船(TOKYO CRUISE)をご存じだ
  ろうか。浅草やお台場、日の出桟橋といった東京の湾岸エリ
  アを結ぶ船舶を運航している。東京湾に設けられた乗船地と
  隅田川を通って浅草を結ぶルートでは、漁船からも海産物の
  荷下ろしが可能な築地市場の岸壁を眺められる。この岸壁こ
  そ築地市場が移転せざるを得なくなった時の経過と環境変化
  を象徴している。
   築地市場は、日本橋にあった市場が関東大震災で潰滅的な
  被害を受け、当時の陸運と海運を考慮し、復興事業の一環と
  して移転されたという経緯がある。築地市場の開設以降、物
  流は鉄道輸送ではなく陸上のトラック輸送が主役となった。
  東京都中央卸売市場の「豊洲市場について」のページには、
  市場移転にまつわる情報が掲載されている。築地市場開業当
  時とは物流インフラも大きく異なっており、今や食品サプラ
  イチェーンはトラック輸送が支えている。豊洲市場は首都高
  速湾岸線に近い立地だ。築地から豊洲への移転理由の1つは
  物流手段の変化だ。世界最大の取扱量を誇る海産物も、いま
  や全国から陸上を経由してトラックで築地へ運びこまれる。
   物流手段の変化も、手狭なスペースの問題も、いずれも市
  場機能のハード(設備)の問題だ。一方で築地市場から豊洲
  市場への移転に必要となるソフト面は、どのように対応され
  てきただろうか。問題の根底には、移転後の市場に求められ
  る「あるべき姿」や「ビジョン」の欠落が大きく影響してい
  る。移転と同時進行で進んだ2020年の東京オリンピック
  の開催決定と準備が、ビジョンなき移転事業に拍車をかけて
  しまった。           http://nkbp.jp/2xQYBlA
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早川豊理事長/伊藤裕康会長.jpg
早川豊理事長/伊藤裕康会長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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