危ない」と宣言、豊洲での新市場開設を目指します。今になって
考えると、つくづく最悪の選択だったといえます。
しかし、このなかで「狭い」については、あまり異論はなかっ
たと思われます。築地市場は明らかに狭かったからです。仲卸業
を営む中澤誠東京中央卸売市場労働組合委員長は、これはウソで
あると断言しています。
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「豊洲新市場は広い」と説明されてきました。築地市場の狭隘
化を解消するのだと。これが大嘘なのです。現在の築地は総面積
が23ヘクタールで、豊洲新市場は、その倍となる40ヘクター
ルと説明されていますが、実際に、私たちが作業したり、物流の
ターレーなどが通るための可動域で考えてみると、圧倒的に豊洲
新市場は使える部分が少ない。豊洲新市場の建物で、物流に使え
る敷地は、建坪で言えば18・3ヘクタールしかないのです。そ
れ以外のほとんどは、車が待機するための駐車場と、外周道路と
公園です。
築地の場合は、23ヘクタールのすべてが平面で広がっている
ので、逆に言えば、ありとあらゆる場所が物流の場所になるとい
うことです。市場用地とは別に中央区の駐車場などもあるので、
非常に効率よく面積を使うことができているんですね。
──中澤誠氏の論文「まだまだある、使えない」より
『現代思想』2017年7月臨時増刊号/青土社刊
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日本の伝統的な生活空間のモジュールは、畳一畳分、つまり、
1・8メートルですが、豊洲新市場の店舗の幅は1・5メートル
しかないのです。わずか30センチの差ですが、この差で人間は
狭さを感じるものです。このようなことになったのは、幅広く市
場関係者の意見を聞かず、市場のなんたるかを知らない人が設計
したからです。
それでいて東京都は、「店舗スペースは広くした」といってい
ます。これに対して中澤誠氏はそれは料金を取る施設スペースの
部分を広くしただけだといっています。築地市場にも料金がかか
る施設スペースがありますが、その横や後ろには、必ず共用スペ
ースがあって、業者はそこに荷物や、集荷のためのターレーを駐
車させているのです。
ところが、豊洲新市場では、そういう共用スペースをなくして
施設スペースにしています。事業者にとっては、お金を払う場所
は増えたものの、実質的に使えるスペースは狭くなるということ
で不満が高まっています。
築地・豊洲問題をここまで東京都、すなわち移転を進める側か
ら年表をたどってみてきましたが、市場関係者側からも見る必要
があります。東京都は、自分たちの都合による移転であるにもか
かわらず、何とか業界団体の要望による移転というかたちにした
かったのです。築地市場には業界6団体というものがあります。
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1.築地市場を利用する水産卸 〇
2. 水産仲卸 ×
3. 青果 〇
4. 売買参加人 〇
5. 関連事業者 〇
6. 買出人組合 ×
移転賛成:〇/移転反対:×
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この「水産仲卸」には、東京魚市場卸協同組合(東卸)──こ
れは業界の中で最大の団体ですが、1998年11月に「築地市
場の豊洲移転の是非」について、全組合員投票を行っています。
その時点で移転候補地として豊洲の名前は出ていましたが、その
時点では、土壌汚染のことは誰も知らないことです。そのときの
投票結果は次の通りです。
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現在地(築地)での再整備 ・・・ 495票 56・8%
豊洲移転 ・・・ 376票 43・1%
註:白票1票
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この時点で移転に賛成していたのは、水産卸、青果、売買参加
人、関連事業者の4団体です。これを見ると、移転反対は2団体
ですので、移転賛成が圧倒的のように見えますが、人数的には反
対が多数なのです。石原慎太郎氏が知事になる前の状況です。
この結果を見て、当時の都の中央市場長である宮城哲夫氏は次
のように市場関係者に約束しています。
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1団体たりとも、反対があれば、絶対に豊洲には行きません
──宮城哲夫中央市場長
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ところがです。6団体中2団体が「移転反対」だったのですが
この反対2団体の理事長が非常に不透明な理由で更迭され、その
2団体の理事長は移転賛成に回ります。東京都と都議会自民党の
非常に汚い裏工作の結果です。
しかし、既に全組合員投票で豊洲移転を否決している東卸は、
理事長が代わったといっても、それだけで賛成に転ずることは困
難です。そこで東卸では、組合員のなかから選ばれた一部の組合
員で構成する「総代会」なるものを作って、2014年にその総
代会が、1998年の全組合員投票の移転否決決定を覆し、移転
を可決させてしまったのです。
これは、例えていうなら、国民投票で決定されたことを国会が
勝手にひっくり返すような暴挙といえます。このような強引なこ
とが行われ、形の上では業界6団体としては、豊洲移転賛成で決
まっているのです。しかし建物は完成しても、現在も豊洲移転は
行われておりません。 ──[中央卸売市場論/045]
≪画像および関連情報≫
●大事な議論がされない(築地市場編)
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豊洲市場移転に反対する方々が挙げる反対理由は,土壌汚
染,建物の耐震性不足,施設の設計不備というところです。
これらの問題がなければ、喜んで移転するとはいきませんよ
ね。なぜなら,本当に理由が別にありそうだからです。表向
きの理由は当然,移転先が豊洲とわかった後,さらに豊洲市
場の施設の設計内容が分かった後に出てきたものです。とこ
ろが,東京都中央卸売市場のホームページの「築地市場移転
決定に至るまでの経緯」によれば,移転先がどこだろうと,
移転そのものへの反対運動が昔から繰り返されています。再
初の反対運動は昭和50年代の大井市場(現・太田市場)移
転の時から起こっています。移転構想自体は、昭和30年代
からあります。築地市場が取扱量や交通量の増加に対応でき
なったためで,そのころから問題を抱えているわけです。
大井市場移転の時も,水産業界の意見がまとまらず,都は
水産業界に統一見解の要請をしています。その間,移転反対
の総決起集会が築地本願寺で行われたりしたためかどうか分
かりませんが,移転をあきらめ,昭和61年に築地現在地で
の再整備が決定しています。平成3年に再整備工事に着手し
たものの,工期の遅れや工事費の増加,そして業界調整の難
航のため頓挫します。 http://bit.ly/2x1udrD
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中澤誠東卸労働組合委員長


