2017年08月30日

●「改正土対法と豊洲市場の土壌汚染」(EJ第4594号)

 平田健正氏を座長とする専門家会議は、2007年5月19日
から2008年7月26日までの約1年間にわたって開催され、
「豊洲新市場敷地全体に4・5メートルの盛り土をする」ことを
提言し、解散しています。ちなみに専門家会議は小池都政になっ
て、平田座長の下に同じメンバーで再招集されています。
 専門家会議結成時点においては、2003年2月15日に土壌
汚染対策法(土対法)は施行されており、さらにそれが厳しい内
容に改正され、2010年4月1日から施行されるという情報は
メンバーには入っていたはずです。
 ジャーナリストの藤野光太郎氏によると、約1年間の専門家会
議では、土対法と改正土対法を強く意識する発言が相次いでいる
ことを指摘し、次のように述べています。旧専門家会議とは、石
原都政で設立された専門家会議のことで、小池都政になって再招
集された専門家会議(新専門家会議)と区別しています。
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 9回にわたって開かれた旧専門家会議の議事録を読むと、全体
を通して通奏低音のように東京都の担当者と専門委員との間で意
識されていることがあった。専門委員や都の担当者らのやりとり
に数回出てきた「土壌汚染対策法(土対法)」である。(中略)
 旧専門家会議で強く意識されていたのは、その土対法と、同時
期に環境省で審議されていた同法の改正(2008年5月参院通
過、09年4月公布、10年4月施行)にまつわる、関係者たち
の「心配事」である。「心配事」とは、端的にいうと、ユルユル
の法律である土対法の改正によって、豊洲予定地が汚染地域に指
定されるかもしれない、という懸念である。議事録には、そうし
た類の発言が散見される。       http://bit.ly/2gfjpie
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 専門家会議が改正土対法を「心配事」としてとらえたのは、東
京ガスから購入した豊洲の土地が、改正土対法で定めるところの
「要措置区域」に該当するからです。要措置区域とは、人の健康
被害のおそれがある土壌汚染が存在する土地のことで、法で定め
る措置が必要な土地なのです。豊洲の土地は、かつてガスを製造
していた工場の跡地ですから、その土壌は有害物質で汚染されて
おり、一定の土壌汚染対策が必要になります。
 しかし、豊洲の土地は、東京ガスによって時の東京都の環境条
例「環境確保条例」に基づいて土壌汚染処理が済んでおり、改正
以前の土対法では、それでOKだったのです。土対法は、200
3年2月の施行であり、それ以前に対策を済ましている土地には
適用されないからです。
 しかし、改正土対法ではその土地は「要措置区域」ではないも
のの、「形質変更時要届出区域」に指定されるのです。この場合
その土地をそのままのかたちで保有する場合は、人の健康被害の
おそれがないとして措置は不要ですが、その土地を宅地造成した
り、建物を建築する場合は、土地の形質を変更する土地として、
自治体に届け出し、法で定められた土壌汚染対策の措置を講ずる
必要があります。
 このことについて、第8回の旧専門家会議で、平田健正座長は
苦渋をにじませて、次のように述べています。
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 土壌汚染対策法というのは何でもかんでも浄化しなさいという
ことではなくて、いわゆる有害物質があって、それが人に対する
健康影響を及ぼすような曝露経路は遮断しましょうということが
まず大前提。そのためには管理をしましょう。管理をするにも、
どこにどういう物質があって、濃度がどうであって、どういう管
理が必要かということをきちんとやりましょうというのが土壌汚
染対策法なのですね。
 ただし、附則のほうで、いわゆる平成15年ですか、2003
年の2月以前に対策を始めたものについては、土壌汚染対策法は
かかりませんよということだったのですが、今回は修正をされて
かかりますということですね。そうしたときにここはどうなるか
といいますと、また移転ありきかと言われるとつらいのですが、
東京都が東京都に対して計画書を出すわけです。そのときに環境
はどう判断をされるかというと、汚染があるわけですから、恐ら
く指定区域(「形質変更時要届出区域」)に指定をされると思い
ます。                http://bit.ly/2xCVWel
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 この場合、平田座長がいっているように、土地は東京都のもの
であるので、東京都が東京都に対して土壌汚染対策計画書を出し
て、東京都の決定に従うということになります。ここで問題にな
るのは、豊洲の土地は「形質変更時要届出区域」になるので、公
示されることです。これは、水産物などの生鮮食料品を扱う中央
卸売市場の土地や周辺の環境が、改正土対法の形質変更時要届出
区域であることが公開されることを意味します。いわゆる「豊洲
ブランド」を大きく損なうことを意味していてます。
 もっとも形質変更時要届出区域の指定を解除する方法はありま
す。平田座長は、専門家会議で次のように述べています。
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 指定区域に指定された後で、どういう対策をするのですかとい
うことを対策して、対策が終わった後、2年間は地下水をチェッ
クしてくださいということになるのですね。この骨格は変わりま
せんので、その間に地下水がオーケーであれば、指定区域は解除
をされるということになると思います。その手続があるというこ
とですね。              http://bit.ly/2xCVWel
─────────────────────────────
 結局、豊洲の土地は改正土対法に基づき、土地全域に4・5メ
ートルの盛り土を施すなどの土壌汚染対策を施し、2年間にわた
り、9回の地下水モニタリング調査を終了し、汚染が認められな
い場合に形質変更時要届出区域の指定が解除されるのです。しか
し、地下水モニタリング調査は、9回目の調査で高度の汚染物質
が検出されたのです。    ──[中央卸売市場論/041]

≪画像および関連情報≫
 ●築地市場の豊洲移転問題/大城聡氏
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   豊洲市場予定地は東京ガスの工場跡地であり、昭和31年
  から昭和63年まで都市ガスの製造・供給が行われていた場
  所です。土壌からは、これまで環境基準を大きく超える汚染
  物質が見つかっています。
   東京都は土壌汚染対策を行ったとしますが、豊洲市場予定
  地は、現在でも土壌汚染対策法の汚染が存在する区域(形質
  変更時要届出区域)に指定されており、まだ指定解除されて
  いません。
   土壌汚染対策法は、土壌の特定有害物質による汚染の除去
  できた場合には、形質変更時要届出区域の指定を解除すると
  定めています(同法11条2項)。「汚染の除去」が完了す
  るためには、「地下水汚染が生じていない状態が2年間継続
  することを確認すること」が必要とされています(同法施行
  規則40条別表6)。これが2年間の地下水モニタリング調
  査の問題です。
   2014年11月18日から地下水を採取調査しています
  ので、2016年11月7日の移転予定日時点では、「地下
  水汚染が生じていない状態が2年間継続することを確認する
  こと」ができません。そのため、11月7日時点では、汚染
  が存在する区域(形質変更時要届出区域)の指定解除ができ
  ないのです。           http://bit.ly/2vhzxXf
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専門家会議座長/平田健正氏.jpg
専門家会議座長/平田健正氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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