2017年08月28日

●「盛り土の有無をめぐる多くの意見」(EJ第4592号)

 7月25日付、EJ第4591号で、東京都がついた絶対に許
せないウソを2つ上げましたが、それを再現します。
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    1.「透水係数」を大幅に改竄していること
  ⇒ 2.「盛り土」をせず、地下空間にしたこと
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 今回は「2」について詳しく検討することにします。いわゆる
「盛り土問題」を新しい視点から考えます。
 小池都政になって、豊洲新市場のほとんどの建物の下にあるは
ずの盛り土がなく、建物の下には地下空間が広がっていたことが
わかり、さまざまな批判が盛り上がっています。盛り土は、専門
家会議の提言であり、移転を渋る市場関係者に苦渋の決断を迫る
切り札であっただけに市場関係者の怒りは頂点に達したのです。
 2016年10月15日、築地市場内の講堂で、再招集された
第1回の専門家会議において、仲卸「山治」の山崎康弘氏は、次
のように怒りを爆発させています。
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 僕たち五回も(豊洲移転反対の)デモをやって、六万、七万の
署名を石原知事に持って行きましたよ。でも、僕ら中小企業の仲
買なんですよ。(豊洲新市場を)あそこまでつくられたら、自分
の信念曲げてでもやっぱ向こうに行かなきゃいけないんだなと断
腸の思いで移転の準備をしてきましたよ。でも(都は)、盛土や
るって言っていたのにやってないじゃないですか!
         ──永尾俊彦著/岩波ブックレット/968
「ルポどうなる?どうする?築地市場/みんなの市場をつくる」
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 市場関係者、とくに中小企業の仲卸業者のほとんどは、豊洲新
市場への移転には反対です。しかも、東京都は、市場関係者の意
見も聞かずに豊洲新市場を建設し、専門家会議が約束した土壌汚
染を防ぐはずの盛り土をやっていなかったのですから、彼らが怒
るのは当然です。
 そもそも4・5メートルの盛り土の根拠は何なのでしょうか。
平田健正専門家会議座長は次のように述べています。
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 平田座長は、水や土の汚染が広がる経路を遮断することはでき
ても、大気の経路の遮断は難しいことから、盛り土によるベンゼ
ンやシアン化合物などの揮発性の汚染物質について地上汚染阻止
の効果についてRBCA(米方式)の計算式を使って評価しまし
た。条件で入力したのが4・5メートルの盛り土です。地表に到
達する汚染の軽減を計算で求め、安全を確認したとしています。
            ──中澤誠/水谷和子/宇都宮健児著
           『築地移転の闇をひらく』/大月書店刊
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 ネットなどを見ると、豊洲新市場の地下に盛り土がなかったこ
とを問題にするのは、建築的な知識のない人のいうことであると
いう意見の人も多くいます。建築家で、名古屋工業大学名誉教授
の若山滋氏は、盛り土について次のように述べています。
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 すでに竣工した建築の下に、しかるべき盛り土が行なわれてい
ない、というが、われわれの頭の中には、その程度の土は掘り返
して工事するものという考えがある。木造住宅や軽量の鉄骨造は
盛り土の上に載せる感覚であるが、規模の大きい鉄筋コンクリー
ト造では、地下空間と基礎構造が一体化され、最下部にはほとん
ど人の入らない水槽、配管、メンテナンス・スペースなどが設け
られることも多い。
 そして地盤の悪いところでは、ボーリング調査によって地耐力
の出る支持層まで杭を打って構造体を支えるのである。冷凍など
市場特有の設備に加え、防災や情報の設備も多くなり、最近の建
築はパイプ類が増えており、これが地下に集中する。東京の地下
は、地上と同様に都市化が進んでいると言うべきであろう。
                   http://bit.ly/2wtEWdI
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 安倍政権の内閣官房参与の藤井聡氏は、豊洲新市場を「地下室
が有るケース」と「盛り土上の建物ケース」に分けた場合、前者
の方が衛生的であり、しかも安全であるという説をブログに書い
ています。
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 そもそも、建築物を建てるときには「基礎杭」をうつのですが
その基礎杭にそって、(毛細管現象によって)盛土下の地下水が
建築物下に上がってくることは想定範囲内の事実です。そしてそ
こまで上がってきた地下水は、コンクリート壁の打ち継ぎ目の目
地や壁そのものに存在する小さな割れ目などを通って、建物内に
も浸入することは避けられません。つまり「地下室有りケース」
のみならず、「盛り土上建物ケース」でも、基礎杭を打つ以上は
地下水が建物内に侵入することは不可避なのです。
 したがって、そういう建物のところまで昇ってきた地下水をく
み上げる排水システムは、いずれのケースでも必須なのです。こ
の時、A)「地下室有りケース」の場合には、(排水システムが
適正である限り)、(市場で活用される)地上階に、地下水が浸
入する可能性はほぼゼロになりますが、B)「盛り土上建物ケー
ス」においては、(市場で活用される)地上階に、地下水が直接
浸入する危険性があるのです!逆に言うなら、A)「地下室有り
ケース」の場合には、その地下室のおかげで、地下水と、地上階
の市場施設を「遮断」することが可能となるのです!
                   http://bit.ly/2ivAzZA
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 しかし、「盛り土なし」は、東京都がそのことを発見されるま
で隠蔽していたことが問題なのです。地下空間が正しいのであれ
ば、なぜ、専門家会議は、「盛り土あり」を提言したのでしょう
か。            ──[中央卸売市場論/039]

≪画像および関連情報≫
 ●豊洲新市場“盛り土案潰し” 真犯人は石原元都知事
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   信じられないデタラメが次々と発覚する豊洲新市場騒動で
  新事実が浮上した。「私はだまされた」と被害者面していた
  石原慎太郎元都知事が、実は盛り土案潰しの“真犯人”だっ
  たというのだ。
   石原氏は2016年9月13日のBSテレビで、豊洲新市
  場の建物下に盛り土がされず、コンクリートで固めた地下空
  間がつくられていた問題について、「私はだまされた。手を
  抜いて、していない仕事をしたことにして予算措置をした。
  都の役人は腐敗している」とまくし立てていた。
   ところが、在任中の2008年、敷地全体に盛り土すると
  の専門家会議の提言に難癖をつけ、地下にコンクリートの箱
  を埋め込む工法を都庁幹部に強く推していたことが分かった
  のだ。15日の東京新聞によると、石原氏は08年5月10
  日の定例会見で、豊洲の土壌汚染対策について「(盛り土案
  より)もっと費用のかからない、しかし効果の高い技術を模
  索したい」と語っていた。
   さらに同月30日の会見では「担当の局長にも言ったんで
  すがね。もっと違う発想でものを考えたらどうだと。どこか
  に土を全部持っていって(略)3メートル、2メートル、1
  メートルとか、そういうコンクリートの箱を埋め込むことで
  その上に市場としてのインフラを支える。その方がずっと安
  くて早く終わるんじゃないか」と語っていた。
                   http://bit.ly/2wtpLRA
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内閣府参与/藤井聡教授.jpg
 
内閣府参与/藤井聡教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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