2017年08月14日

●「豊洲移転予算はなぜ成立したのか」(EJ第4582号)

 築地市場の豊洲移転を推し進めた石原都政にとって、大きな誤
算の1つは、2009年都議選における自民党の惨敗です。この
とき自民党は48議席を10議席減らし、38議席しか獲得でき
ず、第1党の地位を失います。これは1965年の黒い霧事件に
よる自主解散で日本社会党に第1党を奪われて以来の大敗です。
2009年7月12日の都議選の結果は次の通りです。
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      ◎2009年7月12日/都議選結果
            獲得議席  改選前議席
      自由民主党   38     48
      公明党     23     22
      民主党     54     34
      生活者ネット   2      4
      日本共産党    8     13
      無所属      2      4
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 当時豊洲移転を推進していたのは、自由民主党と公明党に無所
属であり、豊洲移転に反対していたのは民主党、生活者ネット、
日本共産党です。選挙前と選挙後の推進派と反対派の数は次のよ
うになります。
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        豊洲移転推進派  豊洲移転反対派
     選挙前     74       51
     選挙後     63       64
─────────────────────────────
 選挙の結果、たった1票差ではあるものの、豊洲移転反対派の
票が賛成派を上回ったのです。なお、この選挙で内田茂氏は落選
しましたが、自民党東京都連幹事長の職は続けています。確証は
ないものの、この間、内田東京都連幹事長は築地市場の豊洲移転
に向けて、種々の裏工作を行ったものと推定されます。
 この2009年夏の都議選について、日本共産党赤旗編集局は
次のように書いています。
─────────────────────────────
 09年夏の都議選で、共産党都議団は13から8議席に後退す
る一方、民主党は、「築地市場の移転に民主党はNO!自民党は
YES」とマニフェストに掲げ、34から54議席になり、築地
市場の豊洲移転問題で反対を表明する会派が多数となりました。
 その結果、その直後の9月の都議会第3回定例会で「東京都中
央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会」が設置
されます。
 翌10年の都議会第1回例会で、共産党都議団は、市場会計に
おける築地市場の1300億円近い豊洲新市場移転関連経費を削
除する修正案を提出しました。都議選で「移転ノー」を公約した
政党・会派が共同すれば、少なくとも移転用地購入費を削除でき
たのです。ところが民主党は、移転中止の公約を破り、共産党の
修正案に反対し、自らは修正案も提出せずに、予算に賛成したの
です。     ──赤旗編集局著/日本共産党東京都議団監修
     「徹底追及【築地市場の】豊洲移転」/新日本出版社
─────────────────────────────
 1票差であっても多数は多数です。「これで豊洲移転を阻止で
きる」と日本共産党東京都議団が考えても不思議はありません。
なぜなら、民主党は「豊洲移転NO!」を公約に掲げて選挙戦を
戦ったのですから当然のことです。
 しかし、多数をとったはずの民主党は、その後の重要な局面に
おいて不思議な行動をとることになります。なお、選挙後に設置
された上記の「東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関
する特別委員会」の委員長は、民主党の花輪智史氏という議員で
あることを覚えておく必要があります。
 このとき、豊洲移転の重要局面といえば、予算の都議会におけ
る承認です。
─────────────────────────────
  1.豊洲新市場予定地の用地取得費1260億円の可決
  2.豊洲移転の経費を含む中央卸売市場会計予算の可決
─────────────────────────────
 上記「1」については、都議会予算特別委員会において、第1
党である民主党は、反対であったはずの築地市場の移転関連予算
について、一転して賛成に回り、可決されています。これについ
て、「都政新報」(2010年3月30日)は、次のように報道
しています。
─────────────────────────────
 都議会予算特別委員会は28日未明、築地市場の移転関連経費
の扱いで対立していた中央卸売市場会計予算案に付帯決議を付け
て、民主、自民、公明の賛成多数で可決した。民主党は、豊洲新
市場予定地の用地取得費1260億円を削除する修正案を準備し
ていたが、提案を見送り、原案可決に回った。同党の大沢昇幹事
長は「修正案と同等の意味合いを持つ付帯決議がまとまり、我々
の要求が盛り込まれた」と語った。しかし、会派内からは「都が
現在地再整備をフェアに検討してくれるのか」と懸念する声も聞
かれた。本会議の採決は、きょう30日に行われ、都青少年健全
育成条例改正案を除くすべての議案が可決される見通し。
                   http://bit.ly/2hT3iao
─────────────────────────────
 豊洲移転反対の公約を掲げた選挙戦を戦って勝利したはずの民
主党は、なぜ移転関連予算に賛成したのでしょうか。もし、民主
党が反対すれば、1260億円の移転関連経費は予算から削除で
きたのです。それが一転しての可決です。そこに何らかの裏工作
があったのではないかと疑われているのです。
 民主党のいい分としては、「付帯決議が通ったので、修正案を
用意していたが、撤回した」といっているのですが、どのような
付帯決議でしょうか。    ──[中央卸売市場論/029]

≪画像および関連情報≫
 ●民主、予算案賛成へ「都民から裏切りだ」/しんぶん赤旗
  ───────────────────────────
   東京都が築地市場(中央区)を高濃度の有害物質で汚染さ
  れた江東区豊洲地区に移転させようとする問題で、都議会民
  主党は2010年3月27日、移転経費を盛り込んだ新年度
  都中央卸売市場  会計予算案に賛成し、移転予定地の購入
  費を削除する修正案の提出を取りやめる方針を固めました。
  昨年の都議選での公約を破るもので、都民から「裏切りだ」
  との批判があがっています。同党は土地購入費を削除する修
  正案を各会派に提示していましたが、自民党などと密室協議
  を重ねた結果、提出を取りやめたもの。
   27日の都議会予算特別委員会で民主党の和田宗春都議は
  「現在地再整備を検討すべきだ」としながら、土地購入費の
  削除は求めませんでした。
   日本共産党の大山とも子都議は、マスコミの世論調査でも
  6〜7割が豊洲移転に反対し、築地での再整備を望んでいる
  ことをあげ、「築地市場の現在地再整備は技術的には十分可
  能であり、再整備案を公募しないのは無責任だ」ときびしく
  批判しました。日本共産党は、土地購入費を含む移転関連経
  費1281億円を全額削除する修正案を発表。民主党などに
  対し土地購入費削除の一点で共同し、修正案を成立させるよ
  う申し入れていました。      http://bit.ly/2fAdROS
  ───────────────────────────

予算案可決後の石原知事.jpg
予算案可決後の石原知事
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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