2017年08月02日

●「豊洲の用地はブラウンフィールド」(EJ第4575号)

 2008年5月に豊洲移転予定地の地下水と土壌から大量の汚
染物質が検出されたことに対して、都の専門家会議は対策として
次の提言を行っています。その提言の内容については、今までで
あれば全面「海苔弁」であったのですが、小池知事の情報公開に
よって、永尾俊彦氏はその内容を入手しています。
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 これまで検討していた対策として、ガス工場の操業時の地盤面
から下2メートルの土を入れ替え、その上に2・5メートルの盛
り土をすることに加えて、今後検討するべき対策として、操業時
の地盤2メートル下から不透水層までの土壌の入れ替えも検討が
必要である。なお、この実施には約973億円の費用がかかる。
  ──2008年4月16日付、石原知事へのブリーフィング
         ──永尾俊彦著/岩波ブックレット/968
「ルポどうなる?どうする?築地市場/みんなの市場をつくる」
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 ここで「不透水層」とは、水を通さない粘性の土層のことで、
土対法では「難透水層」といいます。豊洲の場合、場所によって
それぞれ異なりますが、地下数メートルのところに2〜20メー
トルにわたって不透水層が存在しています。つまり、豊洲の対象
地域の不透水層までの土をすべて汚染のない土と入れ替えるべし
という提言です。もちろん大工事になります。
 東京都の市場当局は、この専門家会議の提案を技術会議に持ち
込み、実現可能な計画に変更させています。技術会議では、それ
を専門家会議が地下水の移動を止めるために盛り込んでいる建物
下の止水板をやめることで費用を586億円に削減しています。
しかし、それでも巨額な土壌整備費です。
 本来売り地の土壌汚染費用は売主の負担であり、東京ガスが負
担する義務があります。しかし、浜渦元副知事を中心とするこれ
までの東京ガスとの交渉では、2005年5月30日付で「豊洲
地区用地の土壌処理に関する確認書」が交わされており、東京ガ
スは、その確認書に基づき102億円かけて2007年4月27
日に工事を終了し、都環境局に「汚染防止措置完了届」を提出し
ています。つまり、それ以上の汚染が出ても、東京ガス側には負
担義務はないのです。
 ところが、2010年1月5日付の朝日新聞は、東京都と東京
ガスとの合意文書や確認書には、土地の売却後に汚染物質が出た
場合の汚染者負担での処理を義務付ける「瑕疵担保条項」がない
ことをスクープしたのです。
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 都は、豊洲地区(江東区)の予定地を所有していた東京ガスに対
策費約586億円の一部負担を求める協議を申し入れている。だ
が、同社との合意文書には、新たな汚染に対する同社の費用負担
などの義務を定めた条項がなく、障害になる恐れがあるという。
解決への道のりは不透明だ。
          ──2010年1月5日付、朝日新聞より
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 このことが新聞に出たことで、汚染原因者の東京ガスが負担し
ないのはおかしいとの声が上がり、東京都としては東京ガスに対
して追加費用の負担を求めざるを得なくなったのです。
 しかし、合意書や確認書で決められていることの処理は終わっ
ているとして、東京ガス側の抵抗は激しかったのです。その交渉
の模様について、永尾俊彦氏は次のように述べています。
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 その協議は2011年1月18日から始まった。当初、都は東
ガスに都独自の対策を行った分などを除く222億円の負担を求
めた。だが、東ガスの大幅値下げ要求に都はどんどん譲歩し、2
月7日には86億円を提示するが、東ガスは抵抗。2月25日の
交渉では、東ガスは「70億円」を提示したが、都は「知事に説
明している手前、最低80億円は死守したい」と譲らなかった。
「知事に説明」していたのだから、石原知事も暇庇担保責任を問
えないことや東ガス負担額について知っていた。結局78億円で
妥結する。           ──永尾俊彦著の前掲書より
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 ひどい話です。586億円かかる汚染土壌対策費のうち、東京
ガスは、値切りに値切って78億円で済ましているのです。結局
東京ガスは土壌汚染対策費は、180億円しかかかっていないの
です。東京都の収支計算は次のようになります。
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     豊洲用地費 ・・・・・・ 1882億円
     土壌汚染対策費 ・・・・  858億円
     防潮護岸工事費 ・・・・  330億円
     ―――――――――――――――――――
                  3070億円
       註:@用地費は東京ガス以外分を含む
         A防潮護岸工事は全額東京都負担
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 用地費1882億円に対して、土壌汚染対策費858億円で用
地費の45・5%。用地費の20%〜40%になると「ブラウン
フィールド」になるので、豊洲の土地は完全なブラウンフィール
ドで、本来売れない土地です。それを時価で買ってもらったこと
になるので、東京ガスは大儲けということになります。東京ガス
は汚染対策費としては180億円しか負担していないからです。
それだけに、石原元知事と浜渦元副知事には、重大な責任があり
ます。そもそもガス工場の跡地に中央卸売市場を移転させること
自体が間違いなのです。
 そのせいか、東京ガスは、2013年〜15年の3年間に都職
員を4人受け入れるなど、都庁の「天下り先」になっています。
都庁から人材を受け入れる理由を聞くと、「自治体の施策に精通
した人材へのニーズがある」と答えています。
              ──[中央卸売市場論/022]

≪画像および関連情報≫
 ●豊洲問題で都が技術会議録の改竄疑惑
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   東京都が盛り土問題発覚後の2016年9月16日に、盛
  り土の工法を検討した「技術会議」の会議録に「『建物下に
  作業空間を確保する必要がある』と提言を受けた」との資料
  を追加し、公表していたことが分かった。技術会議の複数の
  元委員は、毎日新聞の取材に、「作業空間をつくる認識はな
  かった」と証言しており、都が会議録を改ざんした可能性も
  ある。
   都が追加したのはホームページ(HP)上に掲載されてい
  る第9回技術会議(2008年12月25日開催)の「技術
  会議が独自に提案した事項」との資料。資料では汚染物質の
  除去・地下水浄化の確認方法として「地下水から基準値を超
  える汚染物質が検出された場合、浄化できるように建物下に
  作業空間を確保する必要がある」と記載されている。
   追加掲載に当たって、都は一部の委員に「会議録に詳細な
  資料を追加する」と連絡したが、資料の内容は説明しなかっ
  たという。毎日新聞のこれまでの取材に、委員を務めた根本
  祐二氏や川田誠一氏は「盛り土をするという前提で議論して
  いた。技術会議では、空洞をつくるという話にはなっていな
  い」と証言している。追加資料が掲載されたことについて、
  委員を務めた長谷川猛氏は「技術会議が作業空間を設けるよ
  う提言をした事実はない。技術会議の提言とすることで責任
  転嫁しようとしているのではないか」と話した。【林田七恵
  芳賀竜也】            http://bit.ly/2vX3KaJ
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朝日新聞のスクープ記事.jpg
朝日新聞のスクープ記事
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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