ていたのですが、その狙いは何だったのでしょうか。
それは、汚染された土地を東京都に売り付ける「批判かわし」
ではないかと考えられます。なぜなら、豊洲工場の跡地は汚染が
ひどいことは最初からわかっており、本来であれば「売れない土
地」なのです。土壌汚染対策費が、用地費の20%を大きく超え
る「ブラウンフィールド」に該当するからです。
その問題の土地を東京都が買ってくれるというのですから、東
京ガスにとっては願ってもない話です。それでもそこに中央卸売
市場ができるということになると、東京ガスとしても汚染を懸念
して、汚染の少ない豊洲の根本部分の一、二街地ではどうかと提
案したのですが、東京都は40ヘクタールの広さが必要であると
主張して、この提案を断っています。そして、もっとも汚染度の
高い五、六七街区を選んだのです。
東京ガスの立場に立って考えると、一番心配なのは土壌汚染対
策費用が嵩張ることです。しかし、東京ガスは、東京都が築地市
場代替地が豊洲しかないことを知っていたので、その足元をみて
浜渦副知事との水面下の折衝で、おそらく相当強く土壌汚染対策
費用の軽減を主張し、もっとも満足すべき条件で、豊洲工場跡地
を売ることに成功したものと考えられます。
これについて、2001年の動きをもう1度検証する必要があ
ります。なぜなら、この年に築地市場を豊洲の東京ガス工場跡地
に移転させる基本条件が決まっているからです。重要なことは、
東京都と東京ガスが水面下で締結されたとする「築地市場の豊洲
移転に関する東京都と東京ガスの基本合意に当たっての確認書」
であり、それは水面下の「密約」であるといえます。
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◎2001年 1月25日:東京ガスは実施済みの土壌汚染調
査の結果および対策工事内容発表
◎2001年 2月21日:浜渦副知事が東京ガス副社長と、
豊洲移転について条件協議開始の
「覚書」を締結
2月21日:石原知事が都議会で築地市場を豊
洲に移転する方針で、東京ガスと
条件協議を進めると表明
4月18日:中央卸売市場審議会の「都卸売市
場整備基本方針」答申。豊洲を移
転候補地として検討すべきである
7月 6日:「築地市場の豊洲移転に関する東
京都と東京ガスの基本合意」締結
7月18日:「基本合意に当たっての確認書」
/知事本部/野村實、東京ガス活
財推進室木照男の署名
10月 1日:環境確保条例条例施行
12月21日:都卸売市場整備計画(第7次)策
定。築地市場の豊洲地区への移転
を決定
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東京ガスは、東京都に売却する土地の土壌汚染を本気でやれば
売却が困難になることは百も承知だったのです。したがって20
01年1月25日に公表した土壌汚染調査の結果と対策工事内容
は、汚染のとくにひどいところだけ掘削除去し、盛り土によって
汚染を防ぐ処理をするという「現処理計画」をベースに公表した
のです。しかし、これによって、土壌汚染対策を東京ガスが実施
するという意思表明ができたことになります。
この東京ガスの「現処理計画」に明確な裏付けを与えるため、
東京都は「土壌汚染対策法」の成立前に「環境確保条例」を制定
し、2001年10月1日から施行しています。これによって、
「現処理計画」には正当性が与えられ、その後さらに汚染が生じ
ても「30メートル・メッシュ」という甘い対応で切り抜けるこ
とができるからです。
2月21日に、東京都と東京ガスは、細部の条件を詰める「覚
書」を締結し、石原都知事は、それに基づいて築地市場を豊洲へ
移転する方針であることを都議会に発表します。
5ヶ月後の7月6日、東京都と東京ガスは「築地市場の豊洲移
転に関する東京都と東京ガスの基本合意」を締結しますが、12
日後に「基本合意に当たっての確認書」が東京都と東京ガスの間
で交わされています。この確認書については、水面下で交わされ
3月の100条委員会のさいに、東京ガスが提出した大量の資料
のなかから発見されています。
この確認書の存在について認めたのは、当時知事本部の野村實
氏なる人物だけで、石原元都知事をはじめ、浜渦元副知事ら喚問
された都側の関係者は全員「知らない」と否定しています。
これについて、既出の永尾俊彦氏は、自著において、次のよう
に述べています。
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東ガスが浜渦副知事に示した用地交渉に応じる条件は、土地区
画整理事業に参加する東ガスの負担金と東ガスの土地価格はいく
らかを示すことだったが、浜渦副知事の結んだ基本合意には、そ
の2つの条件提示がない。しかし、確認書には東ガスなど開発者
が負担するはずだった防潮護岸の負担金330億円をゼロにし、
東ガスの土地価格は区画整理事業後に推計1661億円になり、
371億円も増えるなど東ガスをボロもうけさせる二条件が示さ
れている。 ──永尾俊彦著/岩波ブックレット/968
「ルポどうなる?どうする?築地市場/みんなの市場をつくる」
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2017年6月31日、100条委員会ではこの確認書などに
関して、浜渦武生氏と赤星経昭氏の2人を偽証と認定し、刑事告
発しています。100条委員会での証言に偽証があったと認定さ
れたからです。 ──[中央卸売市場論/019]
≪画像および関連情報≫
●浜渦氏らの偽証認定/「しんぶん赤旗」
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東京都築地市場(中央区)の東京ガス豊洲工場跡地(江東
区)への移転問題に関する都議会調査特別委員会(百条委員
会)は31日、証人尋問での浜渦武生元副知事ら2人の陳述
が偽証だと認定し、本会議において刑事告発の議決を求める
動議を可決しました。日本共産党、公明党、東京改革(民進
党系)、都民ファーストの会、生活者ネットが賛成し、自民
党は反対しました。
浜渦氏は、豊洲の用地取得の交渉を担いました。証人尋問
で、東京ガスが市場移転を受け入れる2001年7月の「基
本合意」以降は、合意と一体で結ばれた「確認書」の存在を
知らず、相談も報告も受けていないなどと述べました。
動議提出会派を代表して日本共産党の、かち佳代子都議が
賛成意見を表明しました。かち都議は、浜渦氏が関与し、報
告を受けた記録が5件以上に及び、「勘違いや記憶違いなど
とは言えない」と指摘。偽証の動機について「汚染対策でも
費用負担でも譲歩を重ね、4万3000倍のベンゼンが検出
されながら、汚染処理費の東京ガス負担はわずか78億円で
かつ瑕疵(かし)担保責任を免責するという結果となった責
任を逃れるためだった」と批判しました。
偽証認定の提案について、自民党が前回の意見開陳でまと
もに反論できずに、「ためにする告発」などと発言したこと
に対し、かち都議は「誹謗(ひぼう)中傷以外の何物でもな
い。浜渦氏を擁護する自民党の態度はあまりにも見苦しい」
と強調しました。百条委は、元都政策報道室理事の赤星経昭
氏についても、「確認書」などを知らないと述べたことにつ
いて偽証と認定しました。 http://bit.ly/2eQ0Hgp
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浜渦元副知事/赤星元政策情報室理事


