2017年06月30日

●「米国は必ず北朝鮮を奇襲攻撃する」(EJ第4553号)

 核兵器を持つ国を攻撃するのはリスクがある──現在の北朝鮮
に対する米軍の対応を見ているとそれを感じます。しかし、北朝
鮮は、ミサイルの技術は高度化しつつあるものの、ミサイルに搭
載できる核の小型化に関してはまだ成功していないと米国は考え
ています。しかし、それは時間の問題です。
 したがって、米国としては北朝鮮の暴走を止めるには、今しか
ないと判断しています。今こそ核爆弾を際限なく量産する北朝鮮
の核計画を潰す最後のチャンスだと考えているわけです。
 北朝鮮は「地下要塞都市」といわれます。ある北朝鮮の高官は
地下要塞について、次のように述べています。
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 北朝鮮は金日成の時代から第2次朝鮮戟争を想定して、地下空
間の要塞化を進めてきた。平壌にミサイルが飛来するような状況
になった時点で、金正恩と腹心は地下に潜る。とりわけ、平壌市
の中心から北東へ15キロメートルほど、国土峰という山の地下
に造成された『鉄峰閣』と呼ばれる野戦指令所は、最高幹部の執
務室を備えており、金正恩はここから戦闘の総指揮を取る。
        ──『週刊現代』/2017年6月10日より
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 米軍は、これまで何回も北朝鮮攻撃計画を検討しており、北朝
鮮についての情報は詳細に掴んでいます。そもそも毎年3月と8
月に行われる米韓合同軍事演習は、北朝鮮の田植えと収穫の時期
に合わせて毎年行われるのです。
 米韓合同軍事演習が行われると、北朝鮮としてはいつ攻められ
るかわからないので、兵器や兵力を配置するなど、それなりの対
応をしなければならないのです。北朝鮮では、兵士は農繁期に欠
かせないマンパワーであり、もし田植えの時期が遅れると、秋の
食糧危機を招きかねないのです。そのため米韓合同軍事演習は、
北朝鮮への兵糧攻めの意味もあるのです。
 それでは、北朝鮮への米軍の奇襲攻撃はどのように行われるの
でしょうか。日本経済新聞編集委員の高坂哲郎氏のレポートには
次のようにあります。
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 核実験場やウラン濃縮施設、弾道ミサイルの移動式発射台を隠
したトンネルなどに向け、米軍は巡航ミサイルを撃ち込む。その
数は推定300発。シリア攻撃の5倍の規模になる。
 米軍は海軍に加え、米本土や在日米軍基地から戦略爆撃機を飛
ばした空爆も視野に入れる。アフガニスタンの過激派組織「イス
ラム国」(IS)のトンネルを破壊した大規模爆風爆弾(MOA
B)など、北朝鮮の地下施設を無力化できる特殊な爆弾を平壌北
部にある北朝鮮司令部の破壊に使う可能性もある。金正恩氏はこ
こで有事の指揮をとるとされる。       ──高坂哲郎氏
      2017年5月18日付、日本経済新聞/真相深層
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 この攻撃がどんなにすさまじいものか、現代戦を経験した軍人
にしかわからないと思います。何の予告もなく、おそらく夜間に
いきなり、300発ものミサイルが、連続して撃ち込まれるので
す。それと同時に、レーダーが把握できない戦略爆撃機が次々と
飛来し、間断なく爆撃が行われます。
 地下要塞に関して米軍はどこに換気施設があるのかについても
既に正確に把握しており、爆撃はそれらに照準を絞って行われま
す。これでは幹部は、地下空間に潜んでいられなくなります。
 それでも北朝鮮は反撃してくるはずです。なかでも威力がある
のは、数千発ともいわれる長距離砲やロケット弾による一斉攻撃
です。これについて、高坂レポートは次のように書いています。
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 米軍の攻撃に反撃し、北朝鮮軍は韓国の首都ソウル一帯に数千
発の長距離砲やロケット弾を撃ち込む可能性がある。一方、米韓
合同軍は北側の発射地点をレーダーで瞬時に割り出し、戦闘攻撃
機や無人機で破壊を始める。その部隊は今春の米韓合同軍事演習
への参加の名目ですでに現地にいる。北朝鮮の火砲は自走できな
い旧式が多い。米韓軍に遅かれ早かれ破壊され、北朝鮮の砲撃は
長く続かないというのが専門家の見立てだ。  ──高坂哲郎氏
      2017年5月18日付、日本経済新聞/真相深層
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 上記のような攻撃後、米軍特殊部隊は空から北朝鮮に上陸し、
重要な仕上げを行うことになります。これについて、軍事評論家
の黒井文太郎氏は次のように述べています。
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 上陸後に米軍が真っ先に行うのは、核・ミサイルを押さえるこ
と。特殊部隊を投入し、所在の判明している核兵器をすべて破壊
する。その場にいる人間を尋問したり、コンピュータネットワー
クの情報を解析したりして、他の施設にあるものも虱潰しに破壊
していくでしょう。      ──軍事評論家/黒井文太郎氏
      2017年5月18日付、日本経済新聞/真相深層
─────────────────────────────
 問題は米軍が北朝鮮に奇襲作戦を行った場合、長年北朝鮮の後
ろ盾になっていた中国はどうするでしょうか。これに関しては、
条件付きで、トランプ米大統領と習近平国家主席との間で話し合
いができているはずです。秋の共産党大会前の攻撃には反対する
でしょうが、ここでは米国とことを構えたくないはずです。
 問題は攻撃の時期です。一番可能性のあるのは8月の米韓合同
軍事演習の時期です。この場合、奇襲攻撃は韓国と共同ではなく
米国単独で行われると思います。韓国の政権が文在寅政権になっ
ているためです。米国は親北政策をとる韓国とは距離を置くはず
です。そういう意味で、29日〜30日に行われている米韓首脳
会談がどういう結果で終わるのか注目されます。
 1月から6ヶ月かけて書いてきた今回のテーマは今回が最終回
です。長い間にわたるご愛読を感謝したします。
         ──[米中戦争の可能性/123/最終回]

≪画像および関連情報≫
 ●米中戦争勃発の可能性は「16分の12」だ!
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   2015年9月、米国のバラク・オバマ大統領が、訪米し
  た中国の習近平・国家主席と会談した。この会談の席で、ほ
  ぼ確実に話題にならなかったことがひとつつある。その話題
  とは、「10年以内に米中戦争が勃発する可能性がある」と
  いうものだ。
   両国の首脳陣にとって、米中の武力衝突など起こりえない
  話なのだろう。また、米中の指導者たちには、「戦争を起こ
  すほど自分たちは愚かではない」と考えている節がある。
   だが、人類はこれまでとんでもない愚行を何度も犯してき
  た。100年前の第一次世界大戦を振り返ってみるといい。
  あなたが「米中戦争など起こりえない」と言うとき、それは
  「米中戦争が起きる可能性はゼロだ」と言っているのだろう
  か。それとも、「米中戦争が起きる状況を自分は思い描けな
  い」と言っているだけなのだろうか。
   1914年の時点で、まもなく「世界大戦」という未曾有
  の大戦争が起こり、想像を絶する数の人が死ぬと予見できた
  人は、ほとんどいなかった。だが、その4年後、第一次世界
  大戦が終わったとき、ヨーロッパは荒廃し果てていた。ドイ
  ツからは皇帝がいなくなり、オーストリア/ハンガリー帝国
  は解体され、ロシア皇帝はボリシェヴィキによって打倒され
  フランスは一世代分の国民を失い、英国からは若者と富が奪
  われた。             http://bit.ly/2sLKhdG
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米海軍の誇る空母カールビンソン.jpg
米海軍の誇る空母カールビンソン
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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