2017年06月28日

●「北朝鮮への米軍先制攻撃はないか」(EJ第4551号)

 6月21日、「米中安保対話」が行われましたが、双方が主張
をぶつけあっただけで終了しています。肝心の北朝鮮問題に関し
ては何の進展もなかったのです。対話の前日にトランプ大統領は
北朝鮮問題に対する中国の取り組みについて「うまくいっていな
い」とツイートで不満を表明しましたが、懸案問題の進展は一切
なかったのです。6月23日付、日本経済新聞はこれについて次
のように報道しています。
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 中国の反応は冷ややかだった。中国外務省の報道官は、22日
の記者会見で、「解決の鍵は中国にはない」と指摘。米国側が合
意したと発表した「国連決議で制裁対象になっている北朝鮮企業
との取引中止」も、中国側の発表には具体的な言及はない。米中
が明確に一致したのは朝鮮半島の非核化や国連決議の履行などだ
けで、従来と変わらない。南シナ海問題の議論も、平行線のまま
だった。     ──2017年6月23日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 中国はトランプ米政権の足元を見ています。どうせ米国はロシ
アゲート疑惑で北朝鮮どころではないと判断しているようです。
それに習近平主席がトランプ大統領に約束した100日にはまだ
日が半月残っています。
 どちらにせよ、ここまで述べてきているように、中国には北朝
鮮問題を解決する力はないのです。しかし、習近平政権としては
秋の共産党大会までは、「米国との安定した関係」の維持が絶対
必要なのです。だから、時間稼ぎをしているのです。
 このようなわけで、現状米国には武力で北朝鮮を叩く意思はな
いように見えます。それは、次の理由からいえることです。
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 1.トランプ大統領は、ロシアゲート疑惑への対処で北朝鮮
   どころではない。
 2.米空母カールビンソンもロナルド・レーガンも引き上げ
   日本海にいない
 3.米軍は韓国に在住する米国人家族に対して韓国脱出措置
   を取っていない。
 4.米国が先制攻撃を行えば、同盟国である韓国や日本に被
   害がおよぶこと。
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 「1」については、米国ウォッチャーが盛んにいっていますが
ロシアゲートでトランプ大統領が弾劾に追い込まれる可能性はき
わめて低いといえます。いや、逆にそれによってトランプ大統領
の支持率がさらに下がるとすれば、それこそ北朝鮮への先制攻撃
を行う動機になる可能性があります。
 「2」については、米軍は情報を出さなくなったので、どこに
いるか不明です。カールビンソンはサンディエゴの母港に戻って
いるという情報もあります。しかし、実際には、どこにいるかわ
からないのです。空母の位置は極秘だからです。
 そもそも空母は日本海にいる必要はなく、攻撃場所からかなり
離れた位置にいても攻撃は可能です。まして、ロナルド・レーガ
ンは、横須賀港が母港ですから、日本の近海にいるはずです。そ
れに空母ニミッツも朝鮮半島に向っているという情報もあったの
です。現在どこにいるかは不明です。
 「3」の韓国在住の米軍家族や一般米国人の韓国脱出措置です
が、これは何回も行われています。昨年の暮れから今年の1月に
かけて実施しています。これについては、ジャーナリストの桜木
美佐氏が、2017年3月28付、夕刊フジの自身のコラム「国
防最前線」に次のように書いています。
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 CNNによると、在韓米軍は今年1月、沖縄への家族脱出避難
訓練を実施し、60人が参加したという。これほどの本格的な訓
練は2010年以来で、訓練では生物テロから12時間身を守れ
る防護服の装着訓練が行われている。米兵の家族は常に避難用の
荷物をまとめておくことが奨励されているという。
        ──2017年3月28付、「夕刊フジ」より
─────────────────────────────
 実は、在韓米軍は、6月に入って、さらに家族脱出避難訓練を
行っているのです。「米軍による北朝鮮先制攻撃はない」とする
評論家が多いなかで、朝鮮情勢に詳しい辺真一氏だけは、米軍の
先制攻撃はありうると主張しています。彼は家族脱出避難訓練に
ついて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 駐韓米軍は現在、韓国に居住している米国人を国外に退避させ
る訓練を実施していることをフェイスブック通じて、明らかにし
た。訓練は6月5日から始まり9日まで実施される。
 駐韓米第8軍によると、訓練は朝鮮半島有事の際「旅券など書
類を持ってソウルの龍山基地など韓国全土に散在している集結場
所や退避統制所に集まる非戦闘員(米軍兵士の家族など民間人)
らを航空機や鉄道、船舶で安全に日本に退避させる」ことを目的
としている。各集結所では先月(5月17日)から有事時の行動
マニュアルや、行政手続きを説明する「非戦闘員救出作戦(NE
O)訓練」に関するブリーフィングが行われている。
                   http://bit.ly/2sEicVE
─────────────────────────────
 米軍は、これまで朝鮮有事に備えた訓練を行っていますが、あ
くまで国内への避難訓練であり、国外脱出訓練を行っていなかっ
たのです。しかし、トランプ政権になってからは国外に脱出する
訓練を行っています。それが6月に行われていることは重要な意
味を持っているといえます。
 「4」は米軍が一番頭を悩ませている問題です。しかし、韓国
の文在寅政権の出方しだいでは、先制攻撃の高いハードルを一挙
に下ろしかねないことになります。この問題は明日のEJで述べ
ます。          ──[米中戦争の可能性/121]

≪画像および関連情報≫
 ●米中安保対話/北朝鮮に時を稼がせるな/産経ニュース
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   米中両国は初めての「外交・安全保障対話」を開いた。米
  側は北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に向けて経済的、外交的
  圧力を強めるよう主張したものの、中国側は受け入れなかっ
  た。貿易や金融取引によって北朝鮮を経済的、軍事的に延命
  させているのは、中国である。圧力強化を先送りすればする
  ほど、北朝鮮には核・ミサイル戦力を強化する時間が与えら
  れる。それは、米中を含む関係国の安全が脅かされることを
  意味する。米中対話では「朝鮮半島の非核化」を目指す方針
  で一致したというが、そこに実効をもたらすには中国の行動
  が欠かせない。
   中国側は米国に対し、北朝鮮との直接対話を促した。だが
  現状のまま交渉に入っても核・ミサイル開発の放棄を引き出
  せるとは考えにくい。トランプ大統領は米中対話に先立ち、
  自身のツイッターで「結果が出ていない」と、中国の北朝鮮
  への影響力行使が不十分であるとの認識を示した。中国外務
  省報道官は「国際社会の責任ある一員」として、中国が建設
  的役割を果たしていると反論したが、説得力に乏しい。北朝
  鮮の軍事的暴発を抑止しつつ、金融制裁や石油禁輸の措置を
  講じなければならない。      http://bit.ly/2s9BO0p
  ───────────────────────────

米中外交・安全保障対話/2017.jpg
米中外交・安全保障対話/2017
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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