2017年06月27日

●「外交関係八方塞がりの文在寅政権」(EJ第4550号)

 2017年6月20日のことです。韓国空軍キム・ソンドク広
報チーム長は、国防部の記者会見室で次の発表をしたのです。
─────────────────────────────
 米国の戦略爆撃機B1Bが2機、朝鮮半島上空で20日、韓
 国空軍と合同演習を計画している。韓国の防衛識別圏の南端
 に入り、済州島の南方、東海(日本海)側、西側を経由し、
 南下していく。韓国空軍のF15Kが2機、同時に合同演習
 を行う。朝鮮上空には約2〜3時間とどまる。
         ──韓国空軍キム・ソンドク広報チーム長
       朝鮮日報日本語版   http://bit.ly/2tW18Id
─────────────────────────────
 この発表は、グアム島のアンダーセン空軍基地を離陸したB1
B編隊が済州島付近で韓国の防空識別圏に入った直後に行われて
います。問題は、この米空軍B1B2機の出撃が何を意味するか
です。通常メディアには、非公開か、消極的公開(パッシブ)に
するのですが、今回米国側からは積極公開(アクティブ)の指示
があったので、とても詳しいのです。何のために、ここまで明ら
かにするのかというと、「脅し」の意味があるからです。
 B1Bは、最高速度マッハ1・25で飛ぶ爆撃機です。核兵器
削減条約の関係で現在は核を搭載していませんが、核を搭載する
ことは可能です。そのため、米軍がこの爆撃機を飛ばすときは、
何らかの「脅し」が目的のときが多いのです。
 もちろん脅しの対象は北朝鮮に決まっています。それもB1B
がグアムを発進したのは、北朝鮮のツアーに参加し、意識不明の
状態で帰国したオットー・ワームビア氏が死亡した数時間後のこ
とでなので、それに対する抗議の意味があるといわれています。
米国の怒りがその行動にあらわれています。
 もうひとつ、今回の場合は、韓国政府に対する米国の不満とい
う側面もあります。それは、昨日のEJ第4549号で述べたよ
うに、THAAD配備トラブル、韓国高官による問題発言、平昌
冬季五輪の北朝鮮合同開催など、何かと北朝鮮に配慮する韓国の
文在寅政権に対する米国の怒りがそこに結集しています。
 文在寅大統領は、5月10日の大統領就任式の演説で、次のよ
うにいっています。
─────────────────────────────
 必要なら、直ちにワシントンに飛んで行く。北京、東京にも
 行き、条件が整えば平壌にも行く。   ──文在寅大統領
─────────────────────────────
 しかし、文在寅大統領は、米国とも、中国とも、日本とも、そ
れに北朝鮮ともうまくいっていないのです。当初親北は抑制的と
いわれた文在寅大統領ですが、室谷克実氏の言葉通り、発言とは
裏腹に露骨な親北姿勢を見せつつあります。
 もし、文大統領がいうように、北朝鮮の馬息嶺スキー場で五輪
競技が行われれば、世界から観客が集まり、金生恩政権に貴重な
外貨収入をもたらし、国際社会が進める経済制裁が骨抜きになる
──こんなことをトランプ米政権が容認するはずがないことを文
在寅政権は、まるで考えていないようにみえます。
 文在寅政権がTHAADの設置を急に遅らせた理由のひとつに
中国からの法外な要求があるといわれています。これも朝鮮日報
日本語版の情報ですが、文在寅政権は、中国からTHAAD施設
の見学を要求されているというのです。
 THAAD施設は米国の軍事機密であり、見せられるわけがな
いのですが、中国は韓国を格下の国とみているので、こういう無
茶苦茶な要求を出してくるのです。本来であれば、即刻拒否すれ
ばよいのですが、韓国にはそれができないのです。
 昨年7月にTHAADの配備が決まってからというもの、中国
は「禁韓令」を連発し、中国のドラマや映画、バラエティー、広
告などから韓流スターが排除される動きが拡大しており、その対
象範囲は、化粧品や旅行にまでおよび、韓国経済は、大打撃を受
けているからです。そのため、THAADの本格配備を遅らせる
ことによって、時間稼ぎをしようとしているようにみえます。
 日本との関係もギクシャクしています。文在寅氏は、大統領選
公約に慰安婦合意の「無効化と再交渉」を掲げており、22日の
ロイター通信とのインタビューで次のように述べています。
─────────────────────────────
 日本は慰安婦問題をはじめとする過去の歴史問題の解決に十分
な努力をしていない。確固たる反省と二度としないとの決意を示
すのが、関係発展への道である。    ──文在寅韓国大統領
─────────────────────────────
 これに対して、日本は外務省を通じて「日本の立場と異なる」
と抗議しています、
 北朝鮮にも韓国はいいようにあしらわれています。南北関係の
改善を目指し、民間団体の対北接触申請15件を承認したのです
が、そのうち1団体の訪朝を北朝鮮が拒否したのです。北朝鮮は
最初から韓国を相手にしておらず、米国との対話のみを強く求め
ています。なぜなら、米国との関係が改善すれば、日本や韓国と
の問題は自動的に改善すると思っているからです。
 このように文在寅政権は現在八方塞がりの状態です。しかも一
連の親北寄りの発言によって、同盟国である米国に強い懸念を持
たれている状態です。果たして、6月29日〜30日に予定され
ている米韓首脳会談がどうなるのか予断を許さない状況です。
 6月21日、北朝鮮は、ICBMとみられるミサイルエンジン
の燃焼実験を行っています。
─────────────────────────────
【ワシントン=共同】米FOXニュースは22日、複数の米政府
当局者の話として、北朝鮮が21日に弾道ミサイル用のロケット
エンジンの燃焼実験を行ったと報じた。ロイター通信によると、
大陸間弾道ミサイル(ICBM)向けの可能性があると米政府は
みている。     ──2017年6月23日/日本経済新聞
──────────── ──[米中戦争の可能性/120]

≪画像および関連情報≫
 ●韓国がTHAADを拒否するなら「日本移転」しかない!
  ───────────────────────────
   「文大統領は、最新鋭のTHAAD(サード=高高度防衛
  ミサイル)システムをいらないというつもりだろうか?彼は
  正気だと思うか?」
   文氏はTHAADについて大統領選挙キャンペーン前から
  「次の政権(文在寅政権)で再協議すべきだ」と威勢良く主
  張。4月に入り「北朝鮮が6回目の核実験を強行し、核によ
  る挑発を続け高度化するのなら、THAAD配備は避けられ
  なくなる」と、次第に歯切れが悪くなっていった。10日の
  大統領就任式では「米国に加え、配備に反発する中国とも真
  摯に話し合っていく」と就任早々無責任な言葉を口にした。
   中国は、自国の軍事動向が広範囲にのぞかれてしまうTH
  AADの配備に猛烈に反発し、事実上の対韓経済制裁に踏み
  切っている。在韓米軍防護の要でもあるTHAADを何とし
  ても存続させたい米国と中国の双方の顔を立てるなど不可能
  だ。米国が軍事同盟国だとの自覚に欠ける文氏の正体が、早
  くも鼻につき始めた。
   筆者は米軍関係者に答えた。「正気か否かは分からないが
  北朝鮮を信頼し、支持する気持ちは本気だ。ミサイルを無力
  化できるTHAADは北朝鮮にとって邪魔。愛する北に邪魔
  な兵器は、文政権にとっても邪魔なのだ」。
                   http://bit.ly/2rMECkz
  ───────────────────────────

死の白鳥/B1B.jpg
死の白鳥/B1B
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/451207119
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック