2017年06月07日

●「独自の技術を持たない中国の悲劇」(EJ第4536号)

 このままでは中国は崩壊せざるを得ない──このことをさらに
実証していきます。歴史人口学者、エマニュエル・ドット氏は中
国の繁栄について次のような厳しい指摘をしています。
─────────────────────────────
 中国の経済的な繁栄は、中国の指導者たちが有益な決断を主体
的に下した結果、得られたものではなく、経済的な力関係の中で
欧米日の資本主義諸国から押し付けられたものを受け入れたから
こそ得られたものなのです。一見、中国の最高指導者たちは賢そ
うに見えますが、実はそう賢くもありません。彼らの進路を決め
てきたのは、中国の膨大な人口を安価な労働力として「使ってき
た」欧米日のグローバル企業なのです。その意味で、いびつな中
国経済を生んだのは、欧米日のグローバル企業なのです。だから
彼らには、中国経済の不安定な現状に対して多いに責任があると
いえる。               http://bit.ly/2rRtyGn
─────────────────────────────
 ドット氏の「一見、中国の最高指導者たちは賢そうに見えます
が、実はそう賢くもありません」という指摘は誠に強烈ですが、
中国の為政者のやっていることを見ると、そう思わざるを得ない
ことが多いのです。
 かつて中国は「世界の工場」といわれましたが、実は独自技術
ゼロの国なのです。こういうと、中国は米国に匹敵するステルス
戦闘機も開発しているし、宇宙開発でも有人飛行にさえ成功して
いるではないかと反論する人もいますが、実は独自開発はほとん
どなく、コピー技術ばかりです。高橋洋一氏はこれについて次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 まず、ステルス戦闘機。中国のサイバー攻撃によって、英米が
共同開発した最新鋭ステルス戦闘機「F−35」の設計に関する
機密情報が漏洩したことは、周知の事実である。「F−35」戦
闘機を開発・製造しているロッキード・マーチン社がサイバー攻
撃を受け、フォルムなどの機密情報が盗まれたのだ。(中略)
 では、有人飛行に成功したロケット技術については、どうだろ
うか。2003年には「神舟五号」ロケットにより、世界で3番
目の有人宇宙飛行を成功させた。その後も宇宙ステーション計画
や、月探査、あるいは火星探査計画も進めている。その技術は、
1950年代に友好関係にあったソ連から多くを学んでいる。そ
の後は独自で開発を進めてきたのは事実であるが、他の分野、た
とえば一眼レフカメラの技術などでは、ドイツや日本には遠く及
ばない。  ──高橋洋一著/『中国GDPの大嘘』/講談社刊
─────────────────────────────
 中国に独自技術が乏しいことは確かです。いわゆる「爆買い」
で多くの中国人が日本に来て買ったものは、炊飯器などの家電製
品、一眼レフカメラ、スキンケア化粧品、目薬などです。これは
中国には、それらの日本製品に対抗できる製品がないことを意味
しています。実は、ロケットや戦闘機を作る技術よりも、一眼レ
フカメラを作る技術の方がはるかに難しいのです。
 中国系の情報サイト「レコード・チャイナ」に、驚くべきこと
が出ています。中国車のほとんどに三菱自動車のエンジンが搭載
されているというのです。中国はどうしても高性能な自動車エン
ジンが作れないのです。微博には「これじゃ、国産車といえない
よね」という類いの書き込みも増えているといいます。
─────────────────────────────
2016年3月4日、中国のポータルサイト・今日頭条が、中国
メーカーが製造する自動車のエンジンはほとんどが日本メーカー
であることを指摘する記事を掲載した。記事によれば、多くの中
国メーカーの自動車が三菱からエンジンの供給を受けていると紹
介。三菱自動車は、中国に瀋陽航天三菱とハルピン東安三菱の2
社の合弁会社があり、中国でエンジンを製造していると伝えた。
 その上で、中国の自動車メーカーの多くが三菱エンジンを採用
する理由について、「中国ブランドには成熟したエンジン製造技
術がない」ことと、「三菱エンジンは安定していて燃費が良く、
メンテナンスが容易であり、中国で生産しているためコストも安
かった」ことを挙げた。        http://bit.ly/2rwLKC5
─────────────────────────────
 中国にとってもっと深刻なことがあるのです。それは日本と同
じ少子高齢化の進行です。しかし、日本よりも中国の場合はもっ
と事態は深刻なのです。それは生産年齢人口(15歳〜59歳)
の急速な減少傾向です。
 中国では、2012年に生産年齢人口が建国以来はじめて減少
に転じたのです。それは一人っ子政策が原因です。2014年に
なると、1年で370万人の人口が減少したのです。さすがにこ
れに危機感を抱いた中国政府は一人っ子政策を緩和することを決
めています。それは夫婦のどちらかが一人っ子であれば、第2子
を認めることにしたのです。しかし、緩和策はあくまで第2子ま
でであって、第3子は現在も認められていないのです。
 中国政府は、この一人っ子政策の改正によって、毎年200万
人の新生児が誕生し、2050年までに労働人口が3400万人
増えるという試算を発表したのです。しかし、新生児は1年の目
標の4分の1の50万人にも満たなかったのです。
 なぜ、そんなに減ったのでしょうか。それは、教育費の高騰に
よって第2子を生むことができなくになっていたのです。それに
子供を多くつくるよりも自分たちの生活を充実させたいと考える
中国人が多くなったことも影響しています。
 もうひとつ深刻なことがあります。それは環境汚染の影響によ
ると見られるがん患者が激増し、これによる労働人口の喪失が発
生していることです。この環境汚染が原因で、毎年220万人も
の死亡者が出ています。この労働人口の減少によって労働コスト
はますます上昇し、中国は「世界の工場」にもなれなくなってい
るのです。このように中国経済は、まさに満身創痍の状態である
といえます。       ──[米中戦争の可能性/106]

≪画像および関連情報≫
 ●中国の人口が激減へ、2100年には6億人にまで減少か
  ───────────────────────────
   2016年7月1日、台湾メディア・中時電子報は、世界
  最大の人口を抱える中国だが、将来的に現在の半数程度にま
  で激減する可能性があると報じた。
   中国は深刻な高齢化や労働人口の減少など、人口に関する
  構造的な問題に直面している。出生率がさらに減少すれば、
  今世紀末には人口が10億人程度になることが予想され、最
  悪の場合には6億人にまで減少する恐れもあるという。そう
  なれば、消費力も生産力も現在の半分にまで落ち込むことに
  なり、経済問題や社会問題も引き起こされることになる。
   中国のシンクタンク・中国社会科学院の研究によると19
  78年の改革開放から30年は人口の多さが経済成長に大き
  く貢献してきたが、現在は逆に人口の多さに起因する不満や
  問題が増えている。しかし、十分な労働年齢人口が確保でき
  なくなり、さらに介護を必要とする高齢者が増えた場合には
  どう対処すればよいのかと指摘している。
   急激に人口が減る恐れが出ている背景には、長年続けられ
  てきた計画出産政策(一人っ子政策)がある。人口の男女比
  バランスが崩れてしまい、男性が女性よりも3000万人も
  多い状況となっている。そのため、一定年齢層で妊婦が少な
  く、子どもが生まれにくい“断層”のような時期が発生して
  しまうという。米ウィスコンシン大学の専門家は、政府が即
  座に出産・育児を奨励するなど、適切な対策を講じたとして
  も、2100年の人口が8億人を超えることはないと予測し
  ている。(翻訳・編集/岡田)   http://bit.ly/2sD5lQG
  ───────────────────────────

中国について語るエマニュエル・ドット氏.jpg
中国について語るエマニュエル・ドット氏
 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
RDF Site Summary