2017年04月17日

●「静かな先制攻撃/発射の残骸作戦」(EJ第4502号)

 4月11日、トランプ米大統領は、ツイッターで、次のように
ツィートしています。
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      North Korea is looking for trouble.
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 メディアによって訳し方は異なりますが、「北朝鮮は挑発的な
ことをしようとしている」という意味になります。「喧嘩を売ろ
うとしている」とも訳せます。
 これに続いてトランプ大統領は、次のように発言しています。
しかもこれを何回も繰り返しているのです。
─────────────────────────────
 中国が米国への支援を決断するのであれば、素晴らしい。そ
 うでないのなら、われわれは彼ら抜きで解決する。
                  ──トランプ米大統領
─────────────────────────────
 ここで「われわれ」というのは、「米国とその同盟国」という
意味です。具体的には韓国と日本です。トランプ大統領の口ぶり
では、中国にはあまり期待しておらず、単独でやることの方に力
点が置かれているように感じます。トランプ大統領は、何となく
自信を持って発言しているようにみえます。
 何しろ「戦争が勃発すれば、開戦90日間で5万2千人の米軍
が被害を受け、韓国軍は49万人の死者を出す」といわれている
のです。日本にも関係のあることであり、軽々しく「われわれで
やる」といわれても困ります。
 しかし、この試算はクリントン政権時のものであり、それから
15年以上が経過しているのです。その間に軍事技術は大きく発
展しています。トランプ政権は経験豊富な軍人出身者が閣僚や補
佐官として大統領をサポートしています。大統領は彼らから重要
な情報を聞いているのではないでしょうか。だから、大統領はあ
れほど自信満々なのではないか、と。そういう想定に立って考察
してみることにします。
 現在、米韓合同軍事演習を行っており、朝鮮半島周辺には米軍
と韓国軍の艦艇が集合しています。そこに空母カール・ビンソン
もやってくるのです。これは、必ずしも北朝鮮を攻撃するためで
はなく、次の2つの目的があるのです。攻撃のためであれば、東
アジアには多くの米軍基地があるので、空母を中心に艦艇を集結
させる必要はないのです。
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       1.北の弾道ミサイルを迎撃する
       2.韓国在住の米国民を救出する
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 ミサイルを迎撃するためには、迎撃能力を持つ艦艇を集結させ
ることによって、きめの細かいネットワークを築くことができ、
北朝鮮がミサイル発射に成功しても、ほぼ100%迎撃すること
が可能になります。これが「1」です。
 「2」は、万一の場合の韓国に在住する米軍家族や米国ビジネ
スパースンを救出するためです。とくに空母には大勢乗せられる
ので、万全です。この救出について、米軍は昨年末に脱出訓練を
実施しています。
 ところで、韓国に在住する日本人は少なくとも3万人以上いま
す。商社マンなどのビジネスパーソンです。日本政府は彼らをど
のようにして救出するのでしょうか。ちなみに自衛隊は韓国に入
国することはできないことになっています。
 それでは、米軍はどのような作戦で北朝鮮を攻撃しようとして
いるのでしょうか。
 それは、次の名前で呼ばれる作戦です。「静かな先制攻撃」と
いわれています。この作戦については、東京新聞・中日新聞論説
委員の長谷川幸洋氏がレポートを書いています。
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       「Left of Launch」(発射の残骸)
                   http://bit.ly/2p2wLSi
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 どういう作戦かというと、武力攻撃の直前に、有人無人の「電
子撹乱機」を飛ばして妨害電波を送るのです。これによって、北
朝鮮の有線、無線のほか、PC、スマホを含むほぼすべてのネッ
トワークを一時的に使えない状態にします。
 そうすると、北朝鮮軍の指揮命令系統は遮断され、総司令部か
らの一切の命令は届かなくなるだけでなく、ミサイルシステムも
制御不能になります。つまり、北朝鮮が反撃したくてもできない
状況にしてから一斉に攻撃をかけるのです。
 米軍は、1991年の湾岸戦争でも、2003年のイラク戦争
でもこの作戦を実施して一定の成果を上げています。当時に比べ
ると、技術は格段に向上しています。4月5日に北朝鮮の発射し
たミサイルが失敗したのは、この作戦が実行され、成功したもの
ということができます。
 元韓国国防省分析官で、拓殖大学国際開発研究所の高水研究員
は、これについて次のように述べています。
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 当然、北朝鮮も対策をとっていますが、IT技術に関しては、
米国の方が上です。米国は攻撃する以上、“麻酔”で同盟国に犠
牲が出ないよう、事前に反撃封じをするはずです。
          ──拓殖大学国際開発研究所の高水研究員
            4月14日発行「日刊ゲンダイ」より
─────────────────────────────
 米軍は、移動式のミサイル発射装置の場所や金正恩委員長の居
場所については把握していないものの、核施設など攻撃すべき場
所については詳細を把握しているといわれます。それは700ヶ
所に及ぶそうです。したがって、成功すれば、北朝鮮は2時間で
反撃できない状況に陥るはずであるといいます。トランプ氏の自
信の根拠はこれです。   ──[米中戦争の可能性/072]

≪画像および関連情報≫
 ●トランプの自信の根拠/長谷川幸洋氏/2017.4.7
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   米中首脳会談を前に、北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射し
  た。トランプ大統領は「中国の協力がなくても、米国が単独
  で北朝鮮に対処する」と表明している。いったい米国には、
  どんな選択肢があるのか。
   今回の弾道ミサイルは、当初、新型の中距離弾道ミサイル
  「北極星2型」とみられたが、そうではなく「スカッド改良
  型」という見方もある。いずれにせよ、ミサイルはいったん
  高く上昇した後、約60キロ離れた日本海に落下した。この
  発射について、新しい技術を試した実験という見方がある一
  方、従来と比べるといかにも飛距離が短かったことなどから
  「失敗だった」という見方もある。菅義偉官房長官は「失敗
  の可能性もあるが、分析中」と慎重な姿勢だ。失敗だったと
  すれば、何が原因だったのか。そこに触れる前に、トランプ
  大統領の発言をみておこう。
   大統領は4月2日、フィナンシャル・タイムズ(FT)と
  のインタビューで「もしも中国が北朝鮮の問題を解決しよう
  としないなら、我々がやる。言いたいのは、それだけだ」、
  「中国なしでも米国は北朝鮮に完全に対処できる」「『完全
  に』だ。それ以上は何も言わない」などと語った。
                 http://on.ft.com/2n1JeoF
                   http://bit.ly/2p2wLSi
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金正恩委員長/トランプ大統領.jpg
金正恩委員長/トランプ大統領
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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