2017年04月10日

●「北朝鮮は張徳江氏が掌握している」(EJ第4497号)

 注目の米中首脳会談が行われ、北朝鮮問題についてもトランプ
大統領と習国家主席の間で話し合いが行われましたが、今回は日
米首脳会談のように共同記者会見が実施されず、米中双方がそれ
ぞれのメディアに都合のよいように報告が行われています。
 ティラーソン米国務長官によると、中国と間では、次の合意が
行われたと伝えられています。
─────────────────────────────
 1.     北朝鮮の核開発抑制に向けた協力強化で一致
 2. 貿易不均衡解決のための「100日計画」策定で合意
 3.米中間の課題を話し合う新たな対話枠組みの設置で合意
 4.   中国は米国によるシリアへのミサイル攻撃を理解
─────────────────────────────
 これらの合意で注目すべきは、習国家主席が北朝鮮対応で「協
力強化」を約束し、シリア攻撃を「理解」したことです。習国家
主席としては、まさか米中首脳会談中に米軍がシリアへのミサイ
ル攻撃をするとは思わないので、北朝鮮制裁への対応強化を約束
させられたことは、想定外であったと思われます。
 しかし、習主席には北朝鮮への制裁強化は事実上できないもの
と思われます。それは中国共産党最高指導部の暗闘が影響してい
るのです。金正恩委員長がこうも強気な理由は、最高指導部の一
部がバックについているからです。習近平氏は国家主席であって
も北朝鮮の金委員長とは一度も首脳会談すらしていないことがそ
れを物語っています。彼は北朝鮮には影響力が低いのです。
 以下は、中国事情に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏
の緊急リポートに基づいています。中国のトップ指導者にはチャ
イナセブン(中国共産党常務委員)と呼ばれる人たちがいます。
─────────────────────────────
  ◎チャイナセブン
  序列第1位/習近平国家主席 ・・・・・・ 太子党派
  序列第2位/李克強首相 ・・・・・・・・ 共青団派
  序列第3位/張徳江全人代常務委員 ・・・ 江沢民派
  序列第4位/兪正声人民政治協会議主席 ・・ 太子党
  序列第5位/瀏雲山政治局常務委員 ・・・ 江沢民派
  序列第6位/王岐山中央規律検査委員会書記  太子党
  序列第7位/張高麗副首相 ・・・・・・・ 江沢民派
─────────────────────────────
 このチャイナセブンの序列3位に張徳江という人物がいます。
張徳江氏は、江沢民派に属しており、太子党の習近平氏とは対立
関係にあります。チャイナセブンには、序列5位の瀏雲山政治局
常務委員と序列7位の張高麗副首相も江沢民派です。
 江沢民氏といえば、上海閥と呼ばれ、北朝鮮とは直接関係がな
いように見えます。しかし、中華人民共和国建国当時の1949
年の頃の江沢民氏のキャリアは中国東北部の吉林省(省都・長春
市)にあったのです。吉林省は北朝鮮と隣接しています。
 河添恵子氏は、江沢民氏と北朝鮮との関係について、次のよう
に書いています。
─────────────────────────────
 江氏は、50年代、長春第一汽車製造廠(自動車製造工場)に
勤務し、モスクワのスターリン自動車工場で研修を受けた。江氏
は昇格していく段階で、張徳江氏をドンとする「吉林幣」(ジー
リンパン)を形成する。吉林省の幹部を、次々と高級幹部に抜擢
していったのだ。張氏は中国・延辺大学朝鮮学部で学び、北朝鮮
・金日成総合大学経済学部に留学しており、朝鮮語が巧みだ。
 そして、江氏が国家主席就任翌年の1990年3月、初の外遊
先は「兄弟国」の北朝鮮だった。金正日総書記と会談した際に、
張氏が通訳を務めた。正日氏が2006年1月に中国・広東州大
学街を視察した際も、当時、広東省委員会書記だった張氏が随行
し、江氏が同伴している。          ──河添恵子氏
          ──2017年4月6日発行「夕刊フジ」
─────────────────────────────
 このようにして金正日前総書記時代に張徳江氏は、「中国の代
理人」のポジションを固め、瀋陽軍区を中心に北朝鮮との関係を
一層緊密化し、序列3位の地位にまで昇りつめたのです。
 習近平氏は政権の座に就くと、人民解放軍の軍制改革を断行し
従来の7大軍区を5軍区に再編し、すべてを北京でコントロール
しようとしたのですが、旧瀋陽軍区を含む「北部軍区」は再編に
よってかえって勢力は拡大し、それはかなわなかったのです。
 中国国内外の専門家によると、事実上張徳江氏が率いる北部軍
区が金正恩体制の後盾になっており、食料もエネルギーも北部軍
区や遼寧省の国境町、丹東市周辺の軍産企業から北朝鮮に流れて
いるといわれています。おそらく核技術についても北朝鮮へ供与
されていると思われます。また、張徳江氏は、現在、韓国の大統
領選を有利に進めている文在寅候補とも面談しています。
 このように習主席に北朝鮮はどうすることもできないのです。
そこで習主席は北朝鮮との関係を半ば放棄し、韓国の朴政権に接
近することによって、韓国の属国化に動いたのです。そのため、
一時朴政権は中国に大きく傾斜し、2015年9月、北京の天安
門広場で行われた「抗日戦勝70年記念式典」に出席した朴氏は
ロシアのプーチン大統領の隣りのポジションという破格の厚遇を
受けたのです。
 しかし、朴大統領は北朝鮮問題を解決させるために習近平主席
に近づいたのに、習政権は何もしてくれなかったので見切りをつ
け、日米韓の連携に戻り、習主席への仕返しとしてTHAADの
配備を容認したのです。習主席は北朝鮮の問題に関しては、何も
しなかったのではなく、何もできなかったのです。
 したがって、トランプ大統領との会談で、北朝鮮の核開発抑制
に向けた協力強化で一致」としても、習主席にはそれを実行する
ことは期待できないのです。しかし、米軍の北朝鮮攻撃やいわゆ
る金正恩斬首作戦への協力をすることは可能であるといえます。
             ──[米中戦争の可能性/067]

≪画像および関連情報≫
 ●香港親中メディア、党内序列3位・張徳江を連日糾弾
  ───────────────────────────
   一貫して中国政府擁護の報道を繰り返してきた香港随一の
  親中メディア「成報」が2016年9月28日から今月4日
  までに、江沢民元総書記の側近、党内序列3位の張徳江全人
  代常務委員会委員長を痛烈に批判し、解任と責任追及を求め
  る記事4本を連日トップ紙面に掲載した。国内外がこの異例
  な動きに強い関心を寄せているなか大紀元コラムニストは江
  派と対立する習近平指導部の命令である可能性を指摘した。
   一連の報道はいずれも容赦のない内容で、香港を主管する
  中央港澳工作協調小組組長でもある張氏の「数々の問題点」
  を指摘した。▼強硬かつ一方的な政策決定が香港社会の対立
  を深化させ、2014年末に学生ら民主派による大規模な道
  路占拠運動を誘発した。▼2002〜03年、広東省のSA
  RS(重症急性呼吸器症候群)発症情報を隠ぺいしたことで
  香港および国内外に感染を拡大させて多くの死者を出した。
  ▼本土の腐敗の悪習を香港政界に持ち込んだ。▼香港政界に
  闇勢力を浸透させた。
   記事は張氏を「香港を乱す災いの元凶(災星)」「香港を
  乱す四人組の一人である」「糞をかき混ぜる棒である」と激
  しい言葉で批判し、「現最高指導部では江沢民派の代表であ
  る張は、絶えず政局を乱し、各種の改革を妨げている」「江
  沢民は張を庇う黒幕である」と元総書記まで名指して、「香
  港市民が強く望んでいる」として張氏の解任と責任追及を習
  近平指導部に「進言した」。    http://bit.ly/2oODXRS
  ───────────────────────────

張徳江全人代常務委員長.jpg
張徳江全人代常務委員長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/448866559
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック