2017年04月06日

●「中国が戦争に踏み切る5つの条件」(EJ第4495号)

 2017年3月に開催された全人代(全国人民代表大会)で、
1時間40分に及ぶ大演説をした李克強首相は、演説の最後に今
年の重要任務の1つとして、次のように述べています。
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 国防・軍隊改革を不断に深化させ、領海・領空・国境防衛の管
理・コントロールを強化する。訓練や戦争の準備を強化し、国家
主権、安全、発展の利益を断固として守らなければならない。
                    ──李克強中国首相
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 「戦争の準備を強化する」──李克強首相はなぜこのような発
言をしたのでしょうか。それは、習近平国家主席の意を汲んで、
そのように発言したものと考えられます。
 習近平主席には、昨年秋の「6中全会」(中国共産党中央委員
会第6回全体会議)が「習近平同志を核心とする党中央」という
表現でその功績を讃えており、今年の秋の6中全会では、正式に
「核心」に位置づけられるのは確実です。
 この表現は、これまで、毛沢東、ケ小平、江沢民の3氏のみに
しか与えられておらず、習氏が「核心」になるということは、そ
れだけ権力が強化されることを意味します。
 しかし、この3人の指導者のなかでは、江沢民氏だけが、唯一
実戦を経験していないので、軍としては真のリーダーとして認め
なかったといわれます。その点、毛沢東、ケ小平は革命戦争で実
戦の経験があります。
 そういう意味では、江沢民と胡錦濤の両国家主席は共産党の強
いリーダーではなく、ケ小平の作った集団指導体制の枠組みで、
ケ小平の威光を借りて指導者としての仕事をしていたに過ぎない
──少なくとも軍はそのようにみなしています。
 これに対して習近平主席は大規模な軍制改革を成し遂げていま
す。だが、毛沢東は人民解放軍を創設しているし、ケ小平は文化
大革命後、総崩れになっていた解放軍の立て直しを行い、そのう
えで、1979年に中越戦争を起しています。ところが習近平主
席には実戦経験がないのです。
 中越戦争では、実戦で鍛えられていたベトナム軍に返り討ちに
されたもののその貴重な経験を生かし、軍を立て直し、1984
年の第2次中越国境戦争では勝利しています。ケ小平はこの2回
の戦争によって、軍の近代化を成し遂げているのです。
 それ以来、紛争は数多くあったものの、大きな戦争は起きてい
ないのです。しかもケ小平までは陸軍が中心の軍制改革ですが、
習近平主席のそれは陸軍を減らし、海軍を中心とする改革であり
まさに実戦は未体験ゾーンです。したがって、習主席としては何
としても戦争をしたいと思っているはずです。巨大な軍隊を持つ
と、戦争をしてみたくなるものです。
 中国、朝鮮半島を中心とする東アジア分析をライフワークとす
る講談社の近藤大介氏は、中国が戦争するとしたら、その相手は
次の5条件を満たす国であると分析しています。
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@周辺国であること。遠方まで軍隊を派遣して戦争を遂行する気
 は中国にはありません。
Aアメリカが敵にならないこと。たとえば、尖閣諸島を侵略する
 と、日米安保条約によってアメリカと交戦するリスクがあるの
 で、尖閣諸島をめぐる戦争には今のところ慎重です。
B中国が勝てる相手であること。もし負けると、習近平政権の権
 威が失墜してしまうので、強国との戦争には慎重です。
C中国国民が恨んでいる国であること。国民全体の士気を高める
 必要があるからです。
D戦争に大義名分があること。国際社会に向けた大義名分がない
 と参戦できません。
     ──近藤大介氏/月刊WiLL/5月号(2017)
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 この5つの条件に該当する国はどこでしょうか。
 それは北朝鮮しかないのです。中国の本音としては、台湾侵攻
ですが、もしこれをやると確実に米軍が参戦してくるので、手が
出せないでいます。
 しかし、北朝鮮に関しては中国が生殺与奪権を握っています。
中国が北朝鮮へ石油の供給を止めれば確実に崩壊します。6〜7
日の米中首脳会談では、トランプ大統領は、そのことを習近平主
席に要求するはずです。だが、下手にそれをやれば、北朝鮮のミ
サイルが確実に中国を襲います。それに、既に述べているように
北朝鮮は中国にとって重要な国であり、中国としては、現状を変
更したくないと思われます。
 その一方で中国はこれ以上北朝鮮が核・ミサイル開発能力を高
めることは容認できないとも考えています。米国と利害が一致す
る点もあるのです。とくに3月6日に、北西部の平安北道の東倉
里から日本海に向って打ち上げられた3発のミサイルは、米軍岩
国基地を狙ったものとの分析があり、中国が承知しなくても米軍
が限定攻撃に踏み切る可能性は高いのです。このミサイルの分析
については、改めて取り上げます。
 それに金正恩政権になってから、中国は北朝鮮を十分コントロ
ールできなくなっており、国境を接しているだけにそのリスクは
きわめて高くなりつつあります。
 もし米国に先に攻撃されると、中国も動かざるを得なくなりま
す。北朝鮮の核施設を占領することが優先されるからです。現在
北朝鮮の核施設の多くは中朝国境近くにあるので、それをめぐっ
て米軍と戦闘になる可能性があります。しかし、中国としては今
は米中戦争は避けたいと考えています。
 そういう状況から、いくつかの条件付きで、北朝鮮という国家
を残すことを前提に、中国は米国と共同で金正恩政権を倒す斬首
作戦に協力する可能性があります。そのさい中国は、THAAD
施設の撤去を条件にすると思われます。
             ──[米中戦争の可能性/065]

≪画像および関連情報≫
 ●金正男暗殺はなぜいまなのか?なぜマレーシアだったのか?
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   金正男の暗殺がなぜこの時期に決行されたことについては
  いま様々な憶測がなされている。主なものとしては、韓国中
  央日報が流した「亡命政権を樹立しようとしていたからだ」
  との情報だ。だが、この情報や説が事実なら、金正男氏が金
  正恩政権に真っ向から対決を挑もうとしたことになる。しか
  し金正男氏が2012年4月、弟の正恩氏に「自分と家族を
  助けてほしい」などと訴える書簡を送っていたことを考える
  とこうした情報には違和感がある。
   また「金正男氏が亡命を計画していたからだ」との説もあ
  る。亡命説については、過去に金正男氏に対する暗殺未遂が
  あった2012年ごろ、金正男氏からではなく、韓国側から
  「韓国に来た方が安全なのではないか」と打診され。それに
  対して金正男氏はそのまま外(海外)に滞在することを望む
  と回答したという。韓国中央日報の報道では、金正男氏が打
  診したこととなっているが、これは全く逆であるようだ。
   こうした点を考慮するなら、今回の暗殺の根拠を、最近金
  正男氏が亡命、特には亡命政権樹立に向かっていたからだと
  するのは少々無理があると思われる。亡命政権を樹立するな
  ら自身の保護壁であった叔母の金慶喜氏やその夫の張成沢氏
  が健在であった時期に行動を起こしていただろう。彼には金
  正恩政権と対決する意思はなかったと思われる。
                   http://bit.ly/2ooKAtJ
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斬首作戦のカギを握る米中首脳会談.jpg
斬首作戦のカギを握る米中首脳会談
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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