2017年03月16日

●「米国は北朝鮮にどう対応するのか」(EJ第4481号)

 「米中戦争の可能性」について書いていますが、その導火線に
なりそうな事態が起きるリスクが高まりつつあります。そのリス
ク要因は北朝鮮です。
 3月6日朝、北朝鮮は突然日本海に向けて弾道ミサイルを4発
同時に発射しました。
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 北朝鮮が6日朝、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向
けて発射した。3発は日本の排他的経済水域(EEZ)に落下し
たとみられる。米韓両軍が1日から、北朝鮮の脅威に備えた定例
の合同野外機動訓練を開始しており、これに対する報復の動きと
みられる。   ──「ニューズウィーク日本版ウェブ編集部」
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 これは、3月1日から始まった米韓合同軍事演習に北朝鮮が報
復したものと捉えられていますが、北朝鮮は米国のトランプ新政
権に対して、一貫して何かを訴えています。その何かとは、米国
との二国間の話し合いです。金正恩委員長はトランプ米大統領の
ハラがまだ読めないでいるのです。
 それは、2月10日の日米首脳会談の直後からはじまったので
す。日米首脳会談の最終日のミサイルの発射がそれです。北朝鮮
は、昨年の大統領選の終盤から、ミサイル発射も、核実験もやっ
ていないのです。それ以来、トランプ政権の発足まで北朝鮮は鳴
りを潜めていたというわけです。
 それは、トランプ氏が大統領選のなかで、「北朝鮮と話し合っ
てもよい」という趣旨のことをいっていたからです。副島隆彦氏
は、2016年5月の時点で、これについて自著で次のように述
べています。
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 米大統領選で共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプ
氏は、5月17日、ロイターのインタビューに応じた。トランプ
氏は北朝鮮の核開発を阻止するため、金正恩朝鮮労働党委員長と
会談することに前向きな姿勢を示した。(中略)
 トランプ氏は北朝鮮対策について詳細には触れなかった。だが
金(正恩)氏と会談すれば、米国の北朝鮮政策が大きく転換する
ことになると強調。「私は彼(金正恩氏)と話をするだろう。彼
と話すことに何の異存もない」と述べた。その上で、「同時に中
国に強い圧力をかける。米国は経済的に、中国に対して大きな影
響力を持っているのだから」と語った。    ──副島隆彦著
     『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社刊
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 ところがトランプ氏が大統領になっても、北朝鮮について何の
言及もないし、事態はまったく動かなかったのです。そこで、日
米会見の最終日にミサイルを打ち上げたものと思われます。
 これと並行して金正恩氏が行ったのは、マレーシアでの兄の金
正男氏のVXを使っての暗殺です。ここで重要なのは、殺害の手
段として使ったとみられるVXが大量破壊兵器であることです。
 それに加えて、6日の弾道ミサイル4発の同時発射です。この
ように北朝鮮は、立て続けに強硬手段を打ち出してきたのです。
このミサイルの同時発射について北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍は、
弾道ミサイルの発射は、4月末まで行われる史上最大規模米韓軍
事演習に対抗するものと断ったうえで、次のように言明している
のです。
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 米軍の北朝鮮攻撃のさいに、在日米軍基地を攻撃対象として
 行われたことを隠さない。       ──北朝鮮報道官
─────────────────────────────
 ミサイル発射の目的を「在日米軍基地攻撃」と北朝鮮が明言し
たのは、これがはじめてのことです。北朝鮮は「もし、軍事演習
にかこつけて、少しでもわが国を攻撃する兆候が見られれば、日
本を攻撃する」といっているのです。
 問題は、この度重なる北朝鮮の暴発に対して、米国がどう動く
のかということです。もはやオバマ政権ではないのです。トラン
プ大統領がどのような決断を下すかです。
 2017年3月13日付の「夕刊フジ」は、これに関する新し
い情報を伝えています。これらの情報は、複数の米軍、米情報当
局関係者から得たものとされています。
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◎米国は、北朝鮮のミサイル発射を失敗させるため、北朝鮮の協
 力者に電子機器に「マルウェア」(妨害ウイルス)を埋め込ま
 せる工作をしていた。正恩氏は米韓合同軍事演習開始直前にこ
 れを察知し、関係ない高官数人を処刑した。
◎米国は5日、最新の無人ステルス攻撃機の飛行映像を、公開し
 た。無人機はビンラーディン容疑者殺害でも使われた。「地上
 に出てきたら爆殺する」という米国の脅しだ。正恩氏は慌てふ
 ためき、翌日、ミサイルを発射した。
◎正恩氏は常軌を逸して暴走している。北東部ブンゲリにある核
 実験場で、6回目の核実験の準備に入った。9日、衛星写真で
 確認された。金正恩は全世界を敵に回すつもりだ。
       ──2017年3月13日付の「夕刊フジ」より
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 これは何を意味しているのかというと、米朝軍事衝突がいつ起
きても不思議ではないということです。それは、あくまで北朝鮮
の出方しだいです。折悪しく韓国では10日、朴大統領は弾劾に
よって罷免され、大統領選が始まります。
 韓国の次期大統領は、現在出馬すると見られている候補者の支
持率を見る限り、「従北」「反日反米」の大統領が選出される可
能性が大です。これは東アジア情勢に深刻な影響をもたらすこと
は確実であり、米国は5月9日予定の韓国新大統領が決まる前に
動く可能性があります。もし北朝鮮がこれ以上のことをすると、
限定的北朝鮮攻撃も十分起こり得るのです。
             ──[米中戦争の可能性/051]

≪画像および関連情報≫
 ●北朝鮮の暴走は止まらない。だがそのツケも出始めて
  ───────────────────────────
   3月14日付の韓国紙・中央日報は北朝鮮が米空母攻撃を
  想定し、対艦弾道ミサイル(ASBM)を開発中と報じた。
  ASBMは艦船など海上の移動目標を攻撃するミサイルで、
  「空母キラー」とも呼ばれる。
   韓国情報当局者は同紙に「北朝鮮がASBM開発に必要な
  ミサイル誘導や軌道修正の技術を開発した」と述べた。昨年
  9月と今月6日に、準中距離のスカッドERとみられる弾道
  ミサイルを試射した際、「こうした技術をテストした」とい
  う。(出典北朝鮮、「空母キラー」開発中=対艦ミサイル技
  術試験か−韓国紙:時事ドットコム
   北朝鮮のキム・インリョン国連次席大使は13日、マレー
  シアで起きた金正男氏殺害事件について、「北朝鮮の評価を
  傷つけ、社会体制を転覆するために米韓両国が行った暴挙の
  産物だ」と主張し、米韓両国を改めて非難した。ニューヨー
  クの国連本部で開いた記者会見で語った。キム氏は「米国は
  (猛毒の神経剤)VXを製造できる数少ない国の一つ」と指
  摘。米国は化学兵器を韓国に保有し、事件に使用されたVX
  も韓国で製造された可能性があると述べた。事件への北朝鮮
  の関与には「根拠がない」と反論した。一方、殺害された人
  物は「北朝鮮人のキム・チョル」と強調し、正男氏とは認め
  なかった。北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難した国連安
  保理の報道機関向け声明については、発射を「自衛措置」と
  正当化し、反発した。       http://bit.ly/2n7Bi4l
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北朝鮮弾道ミサイル4発同時発射.jpg
北朝鮮弾道ミサイル4発同時発射
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【1】 森友学園問題の張本人は、2016年9月5日に広島県の福山市長に就任した元近畿財務局長の枝廣直幹(1955〜)である。 マスメディアは、森友学園と財務省の裏取引の事実関係を、また隠蔽しようとしている。
http://www.thutmosev.com/archives/69932693.html

【2】 2007年2月に社保庁の「消えた年金記録5000万件」(推計19兆円)の問題が発覚し、2008年11月に「元厚生事務次官宅連続殺人事件」が起き、与党の自民党の支持率が急激に凋落し、2009年6月に野党の民主党が政権を奪取するに至った。今回の森友学園問題も、これと同じシナリオだ。

【3】 「闇の組織」とは、中国・北朝鮮・韓国 及び、その血統と反日思想の価値観を受け継ぐ左翼政党の議員たちと緊密に連携しながら、官公庁にはびこる「裏金ネットワーク」を牛耳る公安警察(警察庁警備局)の秘密部隊だ。
https://wordpress89431.wordpress.com/2016/10/25/%E3%80%8E-%E5%85%AC%E5%AE%89%E5%BD%93%E5%B1%80%E3%81%AE%E5%B0%BE%E8%A1%8C%E7%9B%A3%E8%A6%96%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%85%8B-%E3%80%8F/

Posted by 森友学園問題を企画した「闇の組織」 at 2017年03月16日 00:26
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