は、どうしてその技術を獲得したのでしょうか。
それは米国からの技術供与によるものです。1990年代に中
国は米国に届くミサイルを保有していなかったのです。ところが
当時のクリントン大統領は基本的には中国と融和策をとり、ミサ
イル技術を供与したものと思われています。
続くブッシュ政権とオバマ政権で、中国のAPT部隊は米国か
ら、次の先端技術を奪っています。米国は意外に鷹揚なところが
あって、中国は易々と米国の優れた主要技術をハッキングによっ
て奪っています。各政権時代に中国が奪った主要先端技術を上げ
ると次のようになります。
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クリントン政権 ・・・・ ミサイル技術
ブッシュ政権 ・・・・ F−35技術
オバマ政権 ・・・・ ドローン技術
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アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・
オースリン氏は、そもそも米国のサイバーセキュリティ対策が甘
いとして次のように述べています。
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アメリカはサイバーセキュリティを真剣に考えていない。防衛
機密を真剣に考えていない。クリントン政権下の1990年代、
中国はアメリカのミサイルに関する膨大な量のデータを盗んだ。
気がつくと突然、中国は事実上アメリカまで到達可能な大陸間弾
遺ミサイルを保有していた。
ブッシュ政権時代、中国はF−35などの情報を盗んだ。オバ
マ政権時代には、ドローンの情報を盗んだ。アメリカは大国で、
文化的にも技術的にも進んでいるから、アメリカが造るものは何
であれ、すべて相手よりも勝っていると考えている。それをいい
ことに中国は、何十年にもわたってアメリカからこっそり盗んで
きた。何十年にもわたって何十億ドルもの研究開発費をアメリカ
の納税者からこっそり盗んできたのだ。
──ピーター・ナヴァロ著/赤根洋子訳
『米中もし戦わば/戦争の地政学』/文藝春秋
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既に述べたように中国には「屈辱の100年間」というものが
あります。長い年月の重みに耐えて、彼らはやっと現在、この屈
辱を晴らす機会がきたとして動き出しているのです。「孫子の兵
法」に次の一節があります。
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百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の
兵を屈するは善の善なるものなり。 ──「孫子の兵法」
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これは、強敵とまともに戦えば自身も傷つくので、真正面から
戦わず、策略などで相手を屈服させる方法が最も良いということ
です。現在の中国、すなわち中華人民共和国は、当時の日本兵と
戦って、その強さに驚嘆し、とても勝てないと悟ったのです。
そこで、巧みに国民党軍(中華民国/台湾)と日本軍を戦わせ
日本軍の力も借りて国民党軍を破り、最終的に勝利を収め、中華
人民共和国を建国したのです。これは、孫子の兵法に則っていま
す。しかし、彼らは、戦争が終わっても一貫して日本を敵視し、
さまざまな工作によって、日本国内に親中反日思想を持つ人間を
増やし、各界に潜り込ませるなど、様々な工作を日本に対して、
行ってきています。日本人と比べると、彼らは、はるかに執念深
いといえます。
これは「超限戦」というのです。この本は、人民解放軍の2人
の大佐によって書かれています。日本語訳です。
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喬良/王湘穂共著
『超限戦』/共同通信社
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「超限戦」は、中国の戦法(心理/世論/法律の三戦)のこと
であり、EJでは2013年の「日本の領土」のテーマで、既に
取り上げています。
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2013年2月1日付、EJ第3478号
「中国は『超限戦』を展開している」
http://bit.ly/2nhQxoD
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「超限戦」は、現代でも一層スケールアップして続けられてい
ます。『影なき狙撃者』という映画があります。1962年制作
のサスペンス映画です。この映画は『クライシス・オブ・アメリ
カ』として、2004年にリメイクされています。この映画は、
現在の米国が抱える漠然とした不安というものを感じさせる映画
になっています。 http://bit.ly/1RzsOMd
ピーター・ナヴァロ氏は、中国の超限戦の恐怖をこの映画風の
シナリオにして次のように書いています。
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成都の企業の中国人エンジニアが、複雑なカスタムコンピュー
タチップ内に埋め込む「キル・スイッチ」を設計する。中国は、
「キル・スイッチ」が埋め込まれた「洗脳チップ」をアメリカへ
輸出し、それらはアメリカの防衛システム内に組み込まれる。
往年の名画『影なき狙撃者』の筋書きと同じように、洗脳され
たコンピュータチップは中国人ハッカーの指令をそこで、じっと
待っているのだ。想像してみてほしい。中国の攻撃を受けた台湾
あるいは日本を支援するためにスクランブル発進した空母艦載機
F−35戦闘機のエンジンが飛行中に停止し、電子システムが麻
痺する事態を。 ──ピーター・ナヴァロ著の前掲書より
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──[米中戦争の可能性/050]
≪画像および関連情報≫
●中国ハッカー集団が関与するセキュリティ侵害
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「超限戦」と云う言葉は中国、軍人によって書かれた書籍
の、日本語版がベストセラーとなった際、使用された(19
99年)。従来の武器による、戦争の常識を超えた戦争のこ
とである。簡単にいえば手段は「何でもあり」である。
勝つためには、嘘も捏造も当り前、現在日本が中国・韓国
に情報戦で苦戦しているのも、超限戦の一例なのだ。アメリ
カと中国でサイバー戦が行われ、非難の応酬が、行われたの
も、記憶に新しい。勿論これも、超限戦である。「勝つため
には如何なる手段もあり」と云う超限戦は、「覇権を目指す
国」が有る以上無くなる可能性は絶無でしょう。残念です。
国連について、8・9・10月と3回、この「ガラス瓶」
に愚稿を発信しましたが、結局、超限戦と名前が変つても、
紀元、前「孟子」の説く、王道を世界が歩まなければ、戦争
のない、平和な世界は地球上に生まれないのです。
冷静に考えると、白色人種が過去500年にわたって有色
人種の国家、社会、に行った「植民地政策」「奴隷政策」は
ルールなしの、正に超限戦であった。と云うべきである。彼
等は「文明の遅れ劣った、国家・社会、に文明の福音を授け
る」と弁明する、狡猾さを持っていた。然し、本質は、正に
「何でもあり」の侵略の戦争であったのだ。
http://bit.ly/2mOw6lB
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『超限戦/21世紀の「新しい戦争」』