2005年06月20日

日本での評価が定着したテレサ・テン(EJ1616号)

 1984年の「つぐない」のヒットのあと、テレサ・テンは、
1985年〜87年にわたって、三木たかし/荒川とよひさのコ
ンビで、150万枚を超える連続ヒットを飛ばすのです。
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  「つぐない」/1984年 ・・・・・・・ 150万枚
       日本有線大賞/全日本有線放送大賞グランプリ
  「愛人」/1985年 ・・・・・・・・・ 150万枚
       日本有線大賞/全日本有線放送大賞グランプリ
  「時の流れに身をまかせ」/1986年 ・ 200万枚
       日本有線大賞/全日本有線放送大賞グランプリ
  「別れの予感」/1987年 ・・・・・・ 150万枚
                 日本有線大賞有線音楽賞
              全日本有線放送大賞グランプリ
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 どのようにして曲が作られたかに関しては、有田芳生氏の著書
『私の家は山の向こう』/文藝春秋刊)に詳しいので、EJで
は詳細には述べませんが、「愛人」「時の流れに身をまかせ」
「別れの予感」という日本でのヒット曲は、何となくその後の
テレサ・テンの運命を象徴しているように気がします。
 三木たかし(作曲)と荒川とよひさ(作詞)のコンビで曲を作
るときは、先に詞ができるときと、曲が先にできるときがあるそ
うです。「愛人」はタイトルが先に決まり、次に詞ができて、そ
れに三木が曲をつけていますが、「時の流れに身をまかせ」は、
曲が先にできて詞はあとからできたといわれています。
 詞と曲ができたとき、テレサ・テンにはこれはどういう曲であ
るかについてきちんと説明し、中国語で理解させることにしてい
るのです。テレサ・テンが「愛人」の意味を理解したとき、彼女
は、「悪いことをするお姉さんのように思われたくない」といっ
て歌うことに難色を示したそうです。しかし、そこはプロの歌手
――「愛人」を「愛する人」であると自分に納得させて歌い上げ
たといわれます。
 ところでテレサ・テンのNHK紅白歌合戦出場歴は、次のよう
になっています。
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     1985年/NHK紅白歌合戦初出場
                  「愛人」
     1986年/NHK紅白歌合戦第2回
          「時の流れに身をまかせ」
     1991年/NHK紅白歌合戦第3回
          「時の流れに身をまかせ」
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 これを見ると、1987年から1990年までの3年間、テレ
サ・テンは日本に来ていないのです。しかし、その間にも日本で
はテレサ・テンの歌声は絶えることはなかったのです。
 1987年には「別れの予感」を発売し、ヒットさせています
し、1988年には「恋人たちの神話」を発売しています。この
曲は、関西テレビ/フジテレビ系の「月曜サスペンスシリーズ/
女性作家サスペンス」のテーマ曲になっており、テレサ・テンの
歌声は絶えることなく日本中に流れていたのです。
 本当は、1989年6月24日に来日し、キャンペーンを行う
ことになっていたのですが、これは1989年4月に起こったい
わゆる「天安門事件」のため、来日は中止になってしまいます。
この事件がテレサ・テンのその後の運命に大きな影を落とすこと
になるのですが、これについては改めて書きます。
 さて、テレサ・テンがNHK紅白歌合戦に初出場した1985
年のことですが、紅白の少し前の12月15日にNHKホールで
テレサ・テンのワンマン(ワン・アンド・オンリー)・コンサー
トが行われているのです。
 有田氏の本によると、当時の歌謡ショーの入場料は全席自由席
で2000円が相場だったのですが、この12月15日のNHK
ホールのコンサートは、S席が5000円、A席は4000円と
いう価格がつけられています。それでも満席になっています。
 考えてみると、このコンサートがテレサ・テンの日本における
最初にして最後の大きなコンサートになってしまったのです。テ
レサ・テンをタイトルとするシリーズの第1回目に当る6月6日
のEJ第1606号でもご紹介したように、このときのライブ・
コンサートはLDで発売されています。
 このLD盤に収められているテレサ・テンの歌はある意味で大
変貴重であるといえます。テレサ・テンは登場すると「空港」
歌い、そのあと次のように客席に語りかけています。
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  皆さん、こんばんは。ようこそいらっしゃいました。はい。
 あの、本当に懐かしいっていうか、9年ぶりのコンサートね。
 この素晴らしいNHKホールで開くこと、とってもうれしいで
 す。 ――有田芳生著、『私の家は山の向こう』/文藝春秋刊
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 このLDには、例の「何日君再来」が中国語で歌われているこ
とや「つぐない」「愛人」はもちろんのこと、「浪花節だよ人生
は」や「北国の春」まで歌い、「ザ・パワー・オブ・ザ・ラブ」
を英語で歌っているなど、貴重な歌がたくさん収録されているの
です。とくにこの「ザ・パワー・オブ・ザ・ラブ」の歌唱を聴く
と、テレサ・テンが単なる演歌歌手ではない、世界的な歌手であ
ることすら感じさせます。
 アンコールの拍手が続く中で、なぜか純白のウェディングドレ
ス姿で登場したテレサ・テンは、日本ポリドールで出した最後の
曲、「ジェルソミーナの歩いた道」を歌っています。そして「あ
の、最後のこの花嫁さんの、着たかったんですね。ずっとチャン
スがなくて・・・。今回やっと花嫁の雰囲気ありましたけど。あ
と相手ですよね」――テレサ・テンはこのように意味深な挨拶を
客席に向ってしているのです。


≪画像および関連情報≫
 ・1985年12月15日/NHKホールでのコンサート
  でテレサ・テンが歌った24曲

  1.空港 13.夜來香
  2.アカシアの夢 14.I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU
  3.ふるさとはどこですか 15.つぐない
  4.女の生きがい 16.乱されて
  5.雪化粧 17.ミッドナイト・レクイエム
  6.夜のフェリーボート 18.愛人
  7.舟歌 19.ノスタルジア
  8.海韻 20.今でも…
  9.何日君再来 21.ジェルソミーナの歩いた道
 10.釜山港へ帰れ 22.漫歩人生路
 11.浪花節だよ人生は 23.東山飄雨西山晴
 12.北国の春 24.リクエストコーナー

1616号.jpg
posted by 平野 浩 at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | テレサ・テン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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