2017年03月07日

●「エンジンが作れない中国の製造業」(EJ第4474号)

 米国と中国の軍事費を比較するさい、中国がコスト面で大きく
有利になる理由について、ピーター・ナヴァロ氏は、「そこには
不愉快な事情が存在する」と明かしています。今回は、これにつ
いて、さらに詳しく掘り下げます。
 ピーター・ナヴァロ氏のいいたいことは、中国は戦闘機などの
軍事技術を自らの技術革新によって開発するのではなく、彼らの
有する高度な2つの能力によって外国から盗み出しているという
のです。高度な2つの能力とは次の2つです。
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      1.   高度なハッキングの技術
      2.リバースエンジニアリング技術
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 「1」は、セキュリティの厳重な米国防総省や複数の米防衛企
業のサーバーから、戦闘機などの軍事技術の秘密データを盗み出
す技術のことです。要するに軍事情報を盗むサイバー戦争です。
 「2」のリバースエンジニアリング技術は、そのようにして入
手した情報から、実際の軍事兵器を再現させるテクニックのこと
をいいます。技術をコピーしてミサイルや戦闘機を作るのです。
 これについて、ピーター・ナヴァロ氏は、戦闘機や戦闘管理シ
ステムなどに関連して、次のように述べています。
─────────────────────────────
 中国は、サイバースパイ行為と伝統的なスパイ行為、それに外
国製兵器のリバースエンジニアリングを巧みに組み合わせて、外
国の軍事技術を盗み出している。(中略)
 サイバースパイ行為の結果、中国はアメリカの第五世代戦闘機
と同等の戦闘機を出動させることができるようになった。第五世
代戦闘機は、アジアの航空支配の要である。同時に、中国はアメ
リカから盗み出した設計図を元に大量のドローンを製造し、ビル
・ガーツが「アメリカ海軍の心臓部」と呼んでいるイージス戦闘
管理システムをも、サイバー戦士に盗み出させた。
 また中国は、冷戦時代スタイルの従来型のスパイ行為によって
弾道ミサイルや巡航ミサイルの技術を盗み出した。その技術を使
って大量に生産されたミサイルは、今ではアメリカの艦船や前進
基地や諸都市に向けられている。特に憂慮すべき事実は、ロシア
との軍縮条約に縛られているアメリカのミサイル保有数と比較し
て、中国のそれのほうが遥かに多いことである。
           ──ピーター・ナヴァロ著/赤根洋子訳
        『米中もし戦わば/戦争の地政学』/文藝春秋
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 ナヴァロ氏のいう中国人の2つの優れた能力のうち、「1」の
「高度なハッキングの技術」については、確かに認められると思
います。実際問題として、米国は、中国のハッキングによって、
重要情報を盗み出されています。中国ではハッキングは違法では
なく、ハッキングは、愛国教育とインターネットで育った若い世
代にとって魅力的な出世コースになっています。これについては
非常に重要であり、改めて取り上げます。
 しかし、「2」の「リバースエンジニアリング技術」について
は、本当に優れているのかについては疑問があります。世界の工
場といわれている中国の製造業の実力については、ナヴァロ氏の
いうほど技術の高いものではないのです。
 日本最大の中国情報サイト「レコード・チャイナ」に次のよう
な記事が出ています。
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 2016年3月4日、中国のポータルサイト・今日頭条が、中
国メーカーが製造する自動車のエンジンは、ほとんどが日本メー
カーであることを指摘する記事を掲載した。
 記事によれば、多くの中国メーカーの自動車が三菱からエンジ
ンの供給を受けていると紹介。三菱自動車は、中国に瀋陽航天三
菱とハルピン東安三菱の2社の合弁会社があり、中国でエンジン
を製造していると伝えた。
 その上で、中国の自動車メーカーの多くが三菱エンジンを採用
する理由について、「中国ブランドには成熟したエンジン製造技
術がない」ことと、「三菱エンジンは安定していて燃費が良く、
メンテナンスが容易であり、中国で生産しているためコストも安
かった」ことを挙げた。
 これに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが
寄せられた。「中国車でさえ心臓部は日本なのに、日本製品不買
なんて言えるか?」「ボールペンのボールすら作れないんだから
エンジンは言うまでもない」。     http://bit.ly/2lfz2bf
─────────────────────────────
 中国は回るもの、モーターが作れないといわれます。中国の製
造業のほとんどが国営企業であり、とくに、精密さが要求される
モーターとかエンジンなどは作れないでいるのです。
 これについて、中国の李克強首相は、中国製造業の問題点を正
直に認め、次のようにこ述べています。
─────────────────────────────
 2016年1月4日に山西省太原市で開催された鉄鋼石炭業界
における生産能力過剰問題の座談会に出席した中国の李克強首相
は、国内鉄鋼業界が深刻な生産能力過剰に陥っている一方で、高
品質の鋼材の生産ができなく輸入に頼る現状を指摘した。李首相
は「われわれはボールペンのボールを含めて、ダイス鋼を生産す
る能力すらなく、輸入に頼っている。これらの構造的問題を調整
する必要がある」と述べた。      http://bit.ly/2mh0gOj
─────────────────────────────
 李克強首相は、中国のことについて、意外に本音を漏らす人と
して知られますが、その人が「中国はボールペンのボールすら生
産できない」といっているのです。そういう中国において、ピー
ター・ナヴァロ氏のいうように、高度なリバースエンジニアリン
グ技術があるとはとうてい思えないのです。
             ──[米中戦争の可能性/044]

≪画像および関連情報≫
 ●「かたち」だけ日本に追いつけ、追い越せ
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   中国新幹線事故の大惨事は早くから予測されていた。手抜
  き工事、汚職、速度だけにこだわり、運営管理がずさん。お
  そらく遠因のひとつは中国人がチームワークを取れないこと
  に起因するのではないか。諺に言う。「中国人はひとり一人
  は優秀だが、三人寄れば豚になる」。日本人は「三人寄れば
  文殊の知恵」だが・・・。
   新幹線は高度の信号システムと管制が必要、しかし中国が
  拙速に開通させた高速鉄道は外国からのハイテクの寄せ集め
  つまり使いこなせないのである。局所的には優秀なエンジニ
  アがいても全体の整合性がないのである。
   中国の輸出力が世界一なのは労働の安価で成立しているの
  であり、高性能の技術を期待して、世界の消費者が中国製を
  買っているのではない。そもそも中国人はあれだけの電化製
  品を生産しながら、なぜ秋葉原へ日本製品を買い物に来るの
  か?軍事も外交も経済と同様に背伸びしすぎているが、通貨
  =人民元の躍進にしてもいつまで続くだろうか? げんに共
  産党幹部はなべて子弟を欧米日に留学させ、賄賂のカネをせ
  っせと海外へ運び、人民元を信用せずに金(ゴールド)をた
  め込んでいるではないか。新幹線事故が近未来の頓挫と経済
  的挫折を暗示しており、中国の今後を予測すると明るいこと
  が皆無に近いことに愕然となる。  http://bit.ly/2lWrqJu
  ───────────────────────────

ピーター・ナヴァロ氏.jpg
ピーター・ナヴァロ氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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