今回のテーマ「米中戦争の可能性」に関係のある情報が入ってき
たので、急遽執筆しています。
安倍首相とトランプ大統領による丸2日間に及ぶ日米首脳会談
において、非常に印象に残る場面があったことに気がついておら
れるでしょうか。
それは、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、最終日に行われ
た予定外の緊急日米首脳共同記者発表におけるトランプ大統領の
表情とそのコメント内容です。念のため、共同発表の全文を次に
示しておきます。
─────────────────────────────
安倍 晋三首相:今般の北朝鮮のミサイル発射は断じて容認でき
ない。北朝鮮は国連決議を完全に順守すべきだ。先程トランプ
大統領との首脳会談において、米国は常に100%日本と共に
あるということを明言された。そしてその意思を示すために、
いま私の隣に立っている。私とトランプ大統領は日米同盟をさ
らに緊密化し、強化していくことで完全に一致した。
トランプ大統領:われわれ米国は同盟国である日本と共にある。
これは100%だ。そういうことをみなさんに伝えたい。
──2017年2月13日付、日本経済新聞夕刊
─────────────────────────────
日米両首脳共に「100%」という強い言葉を使っています。
このときトランプ大統領の表情は、何かを睨みつけるかのように
非常に厳しいものだったのです。それは、金正恩最高指導者だけ
ではなく、中国の習近平国家主席に対しても、向けられていたの
ではないかと思うのです。それは秘めた“怒り”です。
それには理由があります。実は今回の日米首脳会談には、水面
下において、中国が一枚噛んでいるのです。中国と米国は、今年
の1月に入ってから、水面下で激しい神経戦を展開していたので
す。それはもちろん「一つの中国」をめぐるやり取りです。
トランプ氏が「ひとつの中国」について疑問を呈したのは、1
月12日、ウォールストリート・ジャーナル紙とのインタビュー
においてです。その直後(正確な期日は不明)、中国は「東風5
C」という最新のミサイルを発射したのです。ミサイルを発射し
て何らかのメッセージを伝える手法は北朝鮮とそっくりです。こ
れについて、2月5日付の「朝日新聞デジタル」は次のように報
道しています。
─────────────────────────────
複数の核弾頭を搭載でき、米国を射程に含むとされる中国の新
型大陸間弾道ミサイル「東風5C」の発射実験について、中国国
防省は2月3日、国内メディアの取材に答える形で、実施を認め
た。米メディアが「トランプ政権を牽制する狙いがある」と報じ
ていた。米国の一部メディアは、米情報機関筋の話として、「中
国軍が1月の早い時期に、大陸間弾道ミサイル『東風(DF)5
C』を山西省・太原の発射場から、北西部の砂漠に向けて発射し
た」と報じていた。報道によると、東風5Cは10個の核弾頭を
搭載可能とされる。 http://bit.ly/2knV6uK
─────────────────────────────
この情報に関して、ジャーナリストの加賀孝英氏が、米軍、米
情報当局関係者から得た情報として、2月13日発行の「夕刊フ
ジ」において次のように伝えています。
─────────────────────────────
中国は1月、核弾頭を搭載できる弾道ミサイル「東風(DF)
5C」を山西省から試射した。事実上、「アジアの米軍基地を攻
撃できる」と、大統領就任前のトランプ氏の就任直後、浙江省に
配備した。北米全域を射程とした弾道ミサイル「DF41」の映
像を見せつけた。一方で、中国は軍民両用(デュアルユース)の
車両が、北朝鮮に輸出されるのをわざわざと阻止し、米国に伝え
た。要は「中国は北朝鮮のすべてを握っている」という、トラン
プ氏へのメッセージだ。 ──加賀孝英氏
2017年2月13日発行/「夕刊フジ」
─────────────────────────────
極めて露骨な米国への脅しです。上記の文中の北米全域を射程
とした弾道ミサイル「DF41」のユーチューブ映像とは次の通
りです。
─────────────────────────────
DF41/DF31 ICBM/中国製
http://bit.ly/2ko1SRn
─────────────────────────────
もうひとつ注目すべきは、中国が北朝鮮をいかようにもコント
ロールできることをわざわざ伝えたことです。もしかすると、既
に北朝鮮が中国と一体化しつつあるのではないかとも考えられま
す。北朝鮮が12日に発射したミサイルと中国の「DF41」の
映像はそっくりです。技術供与が行われているのです。
これに対して米国は、中国の脅しに対して、直ちに対応措置を
取っています。加賀孝英氏が得た米軍、米情報当局関係者から得
た極秘情報は次のように続くのです。
─────────────────────────────
米国は2月8日、模擬核弾頭搭載の弾道ミサイルを発射し、ハ
ワイ沖3900キロの海域にピンポイントで着水させた。中国は
顔面蒼白になった。(そのうえで)トランプ氏は同日、大統領就
任祝いの返礼と称して、習氏に書簡を送った。つまり、「宣戦布
告なら受けて立つ」という通告だ。中国側は慌てて、9日の米中
首脳電話会談を言ってきた。 ──加賀孝英氏
─────────────────────────────
加賀氏にいわせると、「米中は軍事衝突寸前」だったというの
です。日米首脳会談が行われる前には、米中でこのようなやり取
りがあり、その結果、トランプ大統領は幹部とも相談し、「一つ
の中国」の原則を受け入れ、日米首脳会談の前にコトを収めたの
です。 ──[米中戦争の可能性/031]
≪画像および関連情報≫
●「一つの中国発言修正はティラーソン国務大臣の尽力」
───────────────────────────
ワシントン 10日 ロイター]──トランプ米大統領が前
週、中国政府の求めに応じ、米国の「1つの中国」政策を維
持すると表明した背景には、ティラーソン国務長官の尽力が
あった。米当局者が明らかにした。トランプ大統領は9日に
中国の習近平国家主席と電話会談し、中台がともに一つの中
国に属するという「1つの中国」政策の維持で合意した。
米当局者によると、大統領による突然の立場修正に先立ち
ホワイトハウスではティラーソン国務長官やフリン大統領補
佐官らが会合を行った。ある当局者はこの会合について、米
中関係や地域の安定のために「1つの中国」政策の維持を表
明することが正しい選択だと大統領を説得するための協調的
努力だと述べた。
ティラーソン長官は会合で、米中関係の柱となってきた政
策を巡る疑念を解消しない限り、米中関係は停止したままに
なると警告した。ティラーソン長官による今回の尽力は、ト
ランプ政権が直面する幾つかの地政学的問題で同氏が影響力
を持つ可能性を示唆している。過激派組織「イスラム国(I
S)」との戦いや対イラン政策、ロシアとの関係改善など、
トランプ氏が掲げる他の優先課題でティラーソン氏が今後ど
のような役割を果たしていくか注目が集まる。
http://bit.ly/2kZIAnn
───────────────────────────
米国は100%日本と共にある