2007年06月12日

●生産力を伴わない投資の必要性(EJ第2099号)

 日本の経済の現状を理解するためにマクロ経済の基礎を勉強す
ることにします。この記述については、有名サイト「経済コラム
マガジン」の記事を参考にさせていただきました。
 デフレという経済現象は、供給が多すぎるか、あるいは需要が
少なすぎる場合に起こります。需要が供給力を上回った部分をイ
ンフレギャップ、逆に供給力が需要を上回った部分がデフレギャ
ップということになります。
 日本経済はもともと過剰貯蓄、過少消費の状態が続いていたの
です。つまり、貯蓄が大きくてもそれが民間の投資に使われてい
るのであれば、マクロ経済上はバランスが取れるのですが、日本
の貯蓄は大きすぎるので使い切れないのです。
 したがって、国内で消費されない生産物を輸出して、何とかバ
ランスさせようとしてきたのですが、それでも消費が不足するの
です。そのため政府や地方が、赤字国債や建設国債、地方債を発
行し、財政の支出でこれをバランスさせてきたのです。
 このように日本では巨大なデフレギャップが存在するのですが
問題は、そのデフレギャップがどのくらいの大きさであるかなの
です。需要の大きさについては、政府支出や投資、輸出・輸入の
差額、そして消費などの金額を合計すれば出てきます。
 供給力の大きさはどうかですが、通常、生産設備がフル稼動し
完全雇用の状態で生み出される生産額が供給力であるーーつまり
日本の生産力の上限が供給力ということになるのです。
 さて、このような日本経済において緊縮財政をとるとどうなる
でしょうか。財政支出を抑えようというわけです。国だけではな
く、地方においても借金を重ねると、赤字公共団体に転落すると
いうことで、国以上に支出削減にやっきとなっています。
 そうすると、日本に残されているのは、輸出だけということに
なってしまいます。しかし、輸出は為替の問題があり、相手国の
購買力に依存する側面があるのです。そうすると日本は安全保障
は米国に依存し、経済についても他国の購買力に依存するという
自立性のない国になってしまいます。
 さて、マクロ経済の理論上は「貯蓄と投資が一致する」ことに
なっていることです。したがって、貯蓄が投資よりも大きい場合
投資に一致するまで貯蓄は減ることになります。ここで貯蓄とは
所得の一定割合と考えることができます。
 どうやら投資が鍵を握っているようです。投資というとすぐ企
業の設備投資を連想しますが、投資には次の2面性があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
          1.需 要の増加
          2.生産力の増加
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1の側面は「需要の増加」です。投資を増やすと、その乗数
効果によって数倍の最終需要が増えるのです。そして、第2の側
面が「生産力の増加」なのです。
 しかし、日本の生産力は非常に大きく、需要をはるかに超えて
おり、そのデフレギャップは30%以上に達するといわれている
のです。つまり、生産力過剰に陥ってしまうのです。
 したがって、日本の場合、生産力を伴わない投資が必要になっ
てきます。生産力を伴わない投資としては「住宅投資」とそれに
政府による投資――つまり、公共投資が上げられます。
 しかし、住宅投資はともかくとして、公共投資に関しては無駄
であり、悪であるという価値観が持たれています。それはテレビ
に登場するエコノミストやコメンテーターが、公共投資は無駄で
あり、悪であるとあまりにもいい過ぎたのです。そのために国と
して方向転換ができにくくなっているのです。リチャード・クー
氏がマスコミから消えたのもそれが原因です。
 しかし、マクロ経済的視点に立ったとき、公共投資は必要なの
です。確かに財政赤字は巨額に達していますが、経済が良くなら
ない限りかえって赤字幅は増大するのです。
 ところでこの公共投資――その支出の内容によっ乗数効果はあ
まり左右されないのです。問題は規模なのです。したがって、支
出の内容は知恵を絞って後で役立つものに使うべきですが、そう
いう内容の議論よりもどのぐらいの額を投資するかが問題です。
 ちなみに公共投資に並ぶ財政政策である減税の乗数効果は日本
の場合低いといわれます。それは減税分のかなりの部分が貯蓄に
まわされ、狙い通りの効果が上げられないからです。貯蓄が増え
れば借り手がいないので、銀行に滞留する資金が増えるだけであ
り、経済が回っていかないのです。
 ちなみに地方で行われる公共投資の恩恵は都会にももたらされ
るが、都会における公共投資の経済効果は地方にはほとんど波及
しないことを知っておくべきです。せっかくの資金ですから有効
に使うべきです。
 経済学の教科書によると、政府は財政政策と金融政策の2つで
景気をコントロールすると書いてあります。とくに1970年代
以降の景気変動はどこの国でも金融政策が前面に出て対応してき
ているのです。
 しかし、リチャード・クー氏はバランシート不況下では、金融
政策はまったく効かなくなるといっています。実際に1995年
から、日本の金利がほぼゼロになったにもかかわらず、そこから
2004年までの10年間、日銀が精一杯量的緩和を行ったにも
かかわらず、何も起きていないのです。
 添付ファイルのグラフを見てください。このグラフは民間の借
り入れ(白い部分)と民間以外の借り入れ(黒い部分)――つま
り、政府部門とマネーサプライ(M2+CD)の関係をあらわし
ています。
 民間はずっと借金返済に回っているのに、本来なら減るはずの
マネーサプライは増えています。借金をしている民間部門は19
98年以降ずっとマイナスであるが、その間政府部門はお金を借
りており、それがマネーサプライ(M2+CD)のプラスをもた
らしているのです。     −―[日本経済回復の謎/08]


≪画像および関連情報≫
 ・マネーサプライとは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  マネーサプライは通貨供給量とも言われ、金融機関と中央政
  府を除いた経済主体(一般法人、個人、地方公共団体等)が
  保有する通過の合計として定義される。金融商品のうちで通
  貨としての機能を持つものの範囲、金融機関とみなす通貨発
  行主体の範囲については単純に決められず、幾つかの指標が
  作られている。日本ではM2(現金通貨+要求払預金+定期
  性預金)+CD(譲渡性預金)がマネーサプライの指標とし
  て使われる。            ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

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posted by 平野 浩 at 04:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本経済回復の謎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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