2017年01月10日

●「中国の『屈辱の100年間』とは」(EJ第4434号)

 ピーター・ナヴァロ氏の『米中もし戦わば』(文藝春秋)に出
ている2つ目の問題を引用します。
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【問題】過去200年間に中国を侵略した国を選べ。
  「1」フランス
  「2」ドイツ
  「3」イギリス
  「4」日本
  「5」ロシア
  「6」アメリカ
  「7」1〜6のすべて
           ──ピーター・ナヴァロ著/赤根洋子訳
        『米中もし戦わば/戦争の地政学』/文藝春秋
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 この正解は「7」の「1〜6のすべて」です。つまり、当時の
先進6ヶ国のすべてが、中国を侵略しているのです。その中国侵
略は、次の100年に及んでいます。
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     イギリスによるアヘン戦争/1839年
           日中戦争終結/1945年
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 アヘン戦争の1839年以前は、清(現在の中国)は、アジア
に君臨する大国だったのです。東南アジアのビルマ(現在のヤン
マー)やベトナム、西アジアのネパール、東アジアの朝鮮は、中
国に定期的に貢物を持って行く従属国だったのです。
 清は1683年までに台湾を征服し、太平洋に出る重要な通路
を確保しています。しかし、1839年にアヘンの密輸が原因で
アヘン戦争が起こり、イギリスの強力な海軍によって、香港と九
竜半島に加えて、すべての主要な港の支配権を割譲させられてい
ます。中国が味わったこの「屈辱の100年間」は、ここからス
タートしているのです。
 その後、大英帝国は、中国の支配下にあったネパールを奪い、
ビルマを植民地化しています。また、帝政ロシアは、中国東北部
の領土と、戦略上重要な日本海への通路を武力で脅し取っていま
す。さらにフランスは、台湾の海上封鎖によって、中国にベトナ
ム北部の支配を委譲させています。まさにやりたい放題です。
 1894年には朝鮮半島をめぐる問題で日清戦争が起こり、日
本はこの戦争に勝利して朝鮮半島の事実上の支配権を握り、この
とき台湾を戦利品として奪っています。さらに30年以上先の話
ですが、日本は満州を占領し、1932年に満州国を樹立してい
ます。1940年までに日本の占領は、東部の大半と中国の主要
な港すべてに及んだのです。
 1900年になる直前に「義和団事件」が起こります。これは
占領した外国人──とくに外国人の宣教師の横暴残虐な振る舞い
に反発した中国人が蜂起した事件です。これに関し、列強8ヶ国
は2万人規模の連合軍を組み、徹底的に弾圧したのです。義和団
事件について、「世界史講義録」から引用します。
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 1860年の北京条約で、キリスト教の布教が自由になって外
国人宣教師が奥地に入るようになると、治外法権を利用した横暴
なふるまいによって中国民衆との紛争が頻発するようになりまし
た。山東省では、1890年代末から、大刀会や義和拳という武
術を習う人々を中心として宣教師や教会を襲撃する仇教(反キリ
スト教)運動が活発化しました。
 彼らは義和団と呼ばれ、1899年頃から参加者と規模を拡大
し、「扶清滅洋(清を助けて西洋を滅ぼす)」を唱える大規模な
武装排外運動に発展しました。1900年には鉄道、電信の破壊
闘争を行ない、天津と北京を占拠。北京では公使館地区を包囲し
ました。清朝政府は当初列強の要請を受け、義和団鎮圧に当たっ
ていましたが、1900年6月、運動の盛り上がりを見て、義和
団とともに外国勢力を排除することに方向転換し、列国に宣戦布
告をしました。これに対し、日・露・英・米・仏・独・伊・墺の
8ヶ国は共同出兵し、2万の兵を送り込みました。連合軍は7月
に天津、8月には北京を占領し、清朝は降伏、徒手空拳で果敢に
戦った義和団も鎮圧されました。清朝は、翌1901年の北京議
定書で北京への外国軍の駐屯、賠償金4億5千万両などを受け入
れ、半植民地化は一層進行しました。  http://bit.ly/2iGKTwH
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 中国にとって、この屈辱の100年間は、まさに悪夢だったと
思います。こんなに長い間、苦しめられたのだから、中国が軍事
力を増強し、かつての列強に思い知らせるという思いになるのは
わかるような気がします。しかし、現代は「力には力を」という
考え方で、軍拡競争を行うのは間違っています。
 中国は経済が急成長したので、ここにきて多くの問題点が噴出
しています。共産党の一党支配には限界があるのです。胡錦濤政
権がやり残した経済改革と政治改革にこそ手をつけるべきです。
しかし、習近平政権は真っ先に軍制改革に手をつけ、どちらかと
いうと、毛沢東路線に回帰しようとしています。これに対して、
福島香織氏は次のように疑問を投げかけています。
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 しかし、毛沢東やケ小平時代の軍権に頼った強人政治の復活に
は、かなりの実力がいる。毛沢東もケ小平も革命戦争で実戦を積
み、激しい権力闘争を勝ち抜き、人心を掌握し、権謀術数を駆使
してどん底の中国をまがりなりにも導いてきた。その人間性の是
非はともかく、天才戦略家であり天才政治家である。習近平に、
そういった強人政治家としての戦略性、実力、人望があるのだろ
うか。     ──福島香織著/『赤い帝国・中国が滅びる日
  /経済崩壊・習近平暗殺・戦争勃発』/KKベストセラーズ
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             ──[米中戦争の可能性/004]

≪画像および関連情報≫
 ●習近平率いる中華帝国の野望を読み解く/近藤大介氏
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   中国の「新皇帝」となった習近平は、21世紀の東アジア
  に「パックス・チャイナ」を創ろうとしている――。27年
  にわたって中国問題をウォッチし続けてきたジャーナリスト
  の近藤大介氏が、中国の要人、日本政府の中枢にいる人物た
  ちを取材した記録をまとめた『パックス・チャイナ中華帝国
  の野望』が発売された。
   習近平が国家主席に就任して以降、東アジアでは尖閣紛争
  や南シナ海衝突、さらに北朝鮮の暴走など様々な外交イベン
  トが発生したが、その舞台裏でなにが起こっていたのか、日
  米中の要人たちの生々しい言葉とともに、詳細が記されてい
  る。これからの世界情勢を読み解く上で必読の一冊。本書の
  なかから、その一部を特別公開する。
   「習近平外交」は、「目の上のたんこぶ」である日本にど
  う対抗していくかということから始動した。2012年9月
  11日に野田佳彦政権が尖閣諸島を国有化したことから、中
  国が一斉反発し、中国各地で反日デモが吹き荒れた。暴徒と
  化した中国人が日系のデパートや工場などを破壊し、抗議デ
  モや狼藉は、全国約110ヶ所に及んだ。9月27日には、
  北京の人民大会堂で、胡錦濤主席も列席して盛大な国交正常
  化40周年記念式典が予定されていたが、中国国内の異様な
  「殺気」を受けて、立ち消えになった。日中関係はまさに、
  国交正常化40年で、最悪の時を迎えた。
                   http://bit.ly/2iGLG0M
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ジャーナリスト/福島香織氏.jpg
ジャーナリスト/福島香織氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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