2016年12月07日

●「サンダース支持者を取り込めない」(EJ第4416号)

 昨日のEJでお知らせした2016年7月の出来事のうち、4
つを再現します。
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◎ 7月07日
 ・下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、喚問実施
◎ 7月12日
 ・リンチ司法長官は、下院ベンガジ特別委員会に呼ばれて喚問
◎ 7月22日
 ・ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
◎ 7月25日
 ・民主党全国大会初日、サンダーズ支持者が大会から大挙退場
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 クリントン陣営としては、2016年7月25日〜28日の民
主党全国大会前に何とかしてヒラリーメール問題を鎮静化させた
かったのです。そのため、ビル・クリントン氏は、旧知のロレッ
タ・リンチ司法長官と直接会って、「ヒラリー不起訴」の確約を
とろうとしたのです。そのため、6月27日にビル・クリントン
氏は、フェニックス空港でリンチ司法長官に密かに面会し、おそ
らくその確約を得ているはずです。
 しかし、一方の共和党としては、まともに戦ったのでは、知名
度はもちろんのこと、政治家としても実績のあるクリント氏に勝
てないので、むしろヒラリーメール問題で突破口を開こうと考え
たものと思われます。
 ビル・クリントン氏とリンチ司法長官の「密会」はメディアの
知るところとなり、ヒラリーメール問題は、鎮静化どころか、か
えって炎上する結果になったのです。
 7日7日、下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、
喚問を実施しています。喚問のポイントは、コミー長官が踏み込
み過ぎた発言をしたからです。これについて、副島隆彦氏は次の
ように述べています。
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 ジェームズ・コーミーFBI長官がヒラリー・メール問題の捜
査について、「クリントン氏は国家機密文書の取り扱いできわめ
て不注意であった。しかし、このことで刑事起訴できるほどのこ
とではない」と司法省(=検察庁)に対して、推奨(レコメンデ
ーション)を出した。
 ここでコーミーFBI長官が「ヒラリー・クリントンを不起訴
にすることが妥当である」とまで、司法省に対して判断を示した
ことが問題となった。本来なら、「FBIとしては極めて違法性
が高いと判断する。しかし、刑事起訴するか否かは司法省が決め
てください」とコーミー長官は言うべきであった。コーミー長官
自身に疑惑が出て非難されることになった」。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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 コミーFBI長官へのこの喚問を契機に、FBIと司法省は合
同で、終了したはずのヒラリーメールの再調査を開始しているし
国務省もそれまで中断していたヒラリーメールの内部監査を再開
すると発表しています。いや、そうせざるを得なかったのです。
 これに対して、ヒラリー派に属する国務省高官は、過去の悪事
が暴かれることを恐れ、内部監査にさまざまなブレーキをかけて
妨害したといいます。
 さらに7月25日には、ロレッタ・リンチ司法長官が下院ベン
ガジ事件特別委員会に呼ばれて喚問を受けています。これは、5
時間に及ぶ長時間喚問で、ガウディ委員長が「リンチをリンチし
た」といわれるほど厳しかったといわれます。
 副島隆彦氏によると、「リンチ=私刑/私的制裁」という言葉
は、昔リンチ(Lynch) という名前の裁判官が南部にいて、たく
さんの犯罪容疑者の黒人に死刑判決を出したことから生まれたと
いわれています。
 このようにして、民主党全国大会までに何とかヒラリーメール
騒ぎの鎮静化を狙ったヒラリー陣営の画策は失敗し、かえって騒
ぎが大きくなる最悪の結果になってしまったのです。それに加え
て、クリントン陣営にさらなるダメージを与えたのは、7月22
日、ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
したことです。
 こともあろうに、DNCがクリントン氏を確実に勝たせるため
に、民主党の予備選の候補者であるバーニー・サンダース氏の選
挙妨害をやっていた事実が白日の下に晒されたのですから、サン
ダース支持者が怒ったのは当然です。
 しかし、それでもサンダース氏は、自身の支持者に対して、次
のように訴えていたのです。
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 「ブーイング、背中を向けること、退出すること。そういった
デモストレーションで、私たちの運動の信頼性は損なわれてしま
う」。代議員たちに向けたメッセージの中で、サンダース氏はこ
う述べた。「それこそ、商業主義のメディアが求めているものな
のです。それこそ、ドナルド・トランプが求めているものなので
す。しかしそれは、この国の革新的運動を発展させるものではあ
りません」。            http://huff.to/2ae2GGv
─────────────────────────────
 しかし、サンダース氏のこの説得にもかかわらず、民主党全国
大会の初日には、サンダース支持派の各州代議員たちは反発して
「ウォーク・アウト」と叫んで退場したのです。そのため、大会
会場に多くの空席が生じ、あわてて党本部がエキストラを雇って
穴埋めをしたほどだったといいます。
 この傾向は、全国大会だけではなく、各州のクリントン氏の集
会でも人が集まらず、エキストラや映像処理による仮装を施した
といわれています。しかし、トランプ氏の集会はどこも満員だっ
たといいます。     ──[孤立主義化する米国/101]

≪画像および関連情報≫
 ●サンダース支持者/ヒラリーよりもトランプを
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   米大統領選の民主党候補指名でヒラリー・クリントン前国
  務長官と争ったバーニー・サンダース上院議員は25日の党
  大会初日、11月の本選でクリントン氏に投票するよう自ら
  の支持者らに呼び掛けた。
   ところが、支持者の一部からはブーイングも上がり、サン
  ダース氏がもはや自身が始めた「政治革命」をコントロール
  できなくなったことを印象付けた。サンダース氏から支持表
  明を得たことはクリントン氏にとっては大きな勝利となった
  が、サンダース氏支持者の取り込みに不安を残した。
   数百人のサンダース氏支持者は党大会の会場周辺で、クリ
  ントン氏の候補指名に反対するデモ行進を決行。サンダース
  氏の演説中には、同氏支持者とクリントン氏支持者の間で小
  競り合いも発生したという。
   クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏の支持率が拮
  抗するなか、クリントン氏はこれまで以上にサンダース氏支
  持者の票が必要だ。サンダース氏は指名レースの党員集会・
  予備選で1300万票を獲得。コロラド、インディアナ、ミ
  シガン、ニューハンプシャー各州で勝利を収め、アイオワ州
  でも勝利の一歩手前に迫った。これらの州は11月の本選に
  おいても激戦が予想されるため、クリントン氏がトランプ氏
  に勝つには、サンダース氏支持者らの票の一部がぜひとも必
  要となる。            http://bit.ly/2gmYtkH
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サンダース支持者のデモ.jpg
サンダース支持者のデモ
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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