2016年12月06日

●「メール問題と苦闘/ヒラリー陣営」(EJ第4415号)

 7月11日から執筆している今回のテーマ「孤立主義化する米
国」は、今回でちょうど100回になります。しかし、12月に
入っているので、このままこのテーマを続け、新年から、新しい
テーマに取り組みます。12月はヒラリーメール問題の真相究明
トランプ次期政権の正体、日本との関係、とくに日米安全保障条
約への影響などにも言及するつもりです。
 さて、ヒラリーメール問題が、いかにしてクリントン氏を追い
詰めたのかについて、選挙本番の2016年6月と7月について
時系列に追ってみると、次のようになります。1行メモをつけて
おきます。EJ第4411号で取り上げたクリントン周辺の不審
死5人中3人は、6月と7月に死亡しています。
 これをみると、7月の共和党全国大会と民主党全国大会の前後
に実にさまざまなことが起きているのがわかると思います。これ
までの大統領選挙では考えられなかったことであり、きわめて異
例なことです。
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◎ 6月22日
 ・ジョン・アッシュ氏がヒラリー氏関連の議会証言前日に死去
◎ 6月27日
 ・ビル・クリントン氏がリンチ司法長官と長官専用機内で密談
◎ 7月02日
 ・FBIがクリントン氏を呼び、事情聴取。3・5時間かかる
◎ 7月05日
 ・コミー長官声明。ヒラリー氏は不注意だが、刑事訴追できぬ
◎ 7月06日
 ・リンチ司法長官はクリントン氏を立件・訴追はしないと発表
◎ 7月07日
 ・下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、喚問実施
◎ 7月10日
 ・DNC職員のセス・リッチ氏FBIとの面接に行く途中射殺
◎ 7月12日
 ・リンチ司法長官は、下院ベンガジ特別委員会に呼ばれて喚問
◎ 7月18日
 ・共和党大会第1日目。初日からトランプ候補が登場する異例
◎ 7月19日
 ・共和党大会第2日目。クリスティー知事のヒラリー模擬裁判
◎ 7月21日
 ・共和党大会第4日目。トランプ氏が候補者指名受諾演説実施
◎ 7月22日
 ・ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
◎ 7月24日
 ・共和党全国委員長のワッサーマンシュルツ氏が突然辞任表明
◎ 7月25日
 ・民主党全国大会初日、サンダーズ支持者が大会から大挙退場
 ・副大統領候補ケイン氏の補佐役のジョン・モンタノ氏が急死
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 2016年7月25日の民主党全国大会に向けて、クリントン
陣営としては、いわゆるヒラリーメール問題を何とか鎮静化させ
ておきたかったものと思われます。
 そこで、ヒラリー氏の夫であるビル・クリントン元大統領は、
ロレッタ・リンチ司法長官と会って、「訴追しない」との言質を
取りたかったのです。1999年にクリントン大統領はロレッタ
・リンチ氏をニューヨーク州東部地区連邦裁判判事に任命してお
り、関係は良好だったといわれます。
 2016年6月27日、ビル・クリントン氏は、プライベート
・ジェット機で、アリゾナ州のフェニックス空港に行き、飛行機
から降りずに機内で、ロレッタ・リンチ司法長官の専用機が来る
のを待っていたのです。
 事前の約束があったのか、待ち伏せしたのかはわかりませんが
その後リンチ司法長官の専用機が空港に着陸すると、ビル・クリ
ントン氏はプライベート・ジェット機から降りて、司法長官専用
機に乗り込み、そこで30分間にわたって密談しているのです。
 しかし、この「密会」は、2日後に地元のフェニックスの新聞
にスッパ抜かれてしまいます。そのためリンチ司法長官は、6月
30日に記者会見をせざるを得なくなり、「クリントン氏と会っ
たが、ヒラリーメール問題については話していない。旅行やゴル
フや孫のことを話しただけ」と述べています。
 しかし、7月2日にFBIはヒラリー・クリントン氏をワシン
トンに出頭させ、3時間30分にわたって尋問しています。この
尋問調書(58ページ)は、9月3日にFBIによってメディア
に公開されていますが、そのうちの14ページ分は、日本でいう
ところの「ノリ弁」状になっていたのです。これは国家機密に関
わるメールの交信内容であることを示しています。
 ところがFBIのコミー長官は、ヒラリーメール問題の調査に
おいて、「クリントン氏は国家機密の扱いについては非常に不注
意だったが、このことで刑事告訴できるほどのことではない」と
いう意見を付けて、司法省の判断にまかせています。
 このFBIのレコメンディションを受けてリンチ司法長官は、
その翌日の7月6日に次の決定を発表したのです。
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 FBIの判断を全面的に受け入れて、ヒラリー・メール問題を
起訴(立件・訴追)しないことを司法省として決定する。
               ──ロレッタ・リンチ司法長官
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 リンチ司法長官とビル・クリントン氏との「密会」がバレてい
るので、この司法当局の判断について、米国国内で強い批判の嵐
が巻き起こったのは当然のことといえます。
            ──[孤立主義化する米国/100]

≪画像および関連情報≫
 ●FBI、クリントン氏メール問題見直すと発言
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   クリントン氏が、米国務長官時代に公務メールを私用サー
  バーで扱っていた問題で、FBIはすでに機密情報を含むメ
  ールも私用サーバーを経由していたと確認。コーミー長官は
  7月、クリントン氏とスタッフの行動は「きわめて不注意」
  だったものの、訴追には相当しないと発表していた。
   しかしコーミー長官は28日、連邦議会に対して書簡で、
  捜査員が発見した「別件に関する」メールが「(メール問題
  の)捜査に関係する様子」のため、メール問題を「見直す」
  と説明した。「この資料が重要かどうかまだ精査できていな
  いし、この追加作業を終えるまでどれくらいかかるのか予測
  できない」と長官は書いている。
   消息筋によると、問題のメールは、クリントン氏の右腕と
  も言われる最も近い側近、フマ・アベディン氏の別居中の夫
  アンソニー・ウィーナー元下院議員に対する捜査の中で発見
  された。FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的な
  メールを送っていた疑いに関連して、元議員やアベディンさ
  んの電子端末を押収して調べていた。メールが何通あり、誰
  が発信あるいは受信したものかは明らかにされていない。ア
  イオワ州デモインで記者会見したクリントン氏は、「米国の
  人たちはただちに、すべての事実を完全に知らされるべきで
  す」と強調。「この問題がなんであれ、(FBIは)なんと
  しても、滞りなくこの問題を説明しなくてはならない」と求
  めた。              http://bbc.in/2fVxfAm
  ───────────────────────────

クリントン夫妻.jpg
クリントン夫妻
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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