2016年12月01日

●「異様づくめだった両党の全国大会」(EJ第4412号)

 今回の米大統領選には、予備選の段階から各種の日本のメディ
アは多くの記者を派遣し、長期間にわたって大統領選の取材して
います。しかし、肝心なことは何も伝えてきていないのです。
 今振り返ると、最終的に2大政党の候補者を決定する共和党全
国大会と民主党では、両方とも異常なことが起きていたことを日
本のメディアは何も伝えていません。
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 1.共和党全国大会 ・・ 2016年7月18日〜21日
 2.民主党全国大会 ・・ 2016年7月25日〜28日
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 これらの両大会は、予備選を勝ち抜いた両党の候補者を正式候
補者として決定し、それぞれの党が一丸となってその正式候補者
を応援し、盛り上げる大会のはずです。しかし、今回は両大会と
もきわめて異常な状況に陥っていたのです。
 共和党全国大会については、本来であれば、党の長老や大統領
経験者が出席し、党の正式候補者であるドナルド・トランプ氏を
党の支持者に紹介し、その健闘を讃えるとともに、本選に向けて
激励するべきですが、そのようになっていないのです。
 なぜなら、党の重鎮や大統領経験者はほとんど大会を欠席し、
そのため、トランプ陣営としては、4日間のスケジュールが埋ま
らず、1日目からトランプ氏本人が登場し、家族などをフル動員
して、家族が応援演説をやっています。
 2日目からは、既に述べたように、クリスティーニュージャー
ジー知事が登壇し、トランプ氏を支持すると表明し、対抗相手で
あるヒラリー・クリントン氏の模擬裁判を実施したのです。彼は
ヒラリー氏の罪状を読み上げ、ひとつずつ「彼女は有罪か」と会
場に問いかけると、会場からは「ギルティー!(有罪だ)」の大
合唱が起こっているのです。そして、「ヒラリーを逮捕、投獄せ
よ!」と声を揃えるのです。異常そのものです。
 この状況を日本のメディアは取材しているはずですが、大会1
日目は伝えたものの、2日目以降は一切伝えていないのです。ど
うしてでしょうか。日本のメディアもクリントン氏に不利な情報
は伝えたくないのでしょうか。これについて、副島隆彦氏は、自
著の「まえがき」の冒頭で、次のように書いています。
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 いったい、超大国アメリカの政治に何が起きているのか。なぜ
ヒラリーは逮捕され、裁判で有罪判決を受け、刑務所に入らなけ
ればならないのか。その理由を日本国向けに書く人がいない。だ
から私が詳しく書く。
 アメリカの共和党の党大会(7月19日)で、7千人の党員が
集まった大会会場で、「ロック・ハー・アップ」──「ヒラリー
を逮捕せよ、投獄せよ」の激しい怒号の大合唱が沸き起こった。
(添付ファイル)の大会会場の様子の写真のとおりである。とこ
ろが不思議なことに日本ではこういう真実が少しも広まらない。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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 この共和党全国大会と負けず劣らず異様だったのは民主党全国
大会も同じです。民主党大会では、共和党の大会と違って、表面
上は、オバマ大統領が応援に駆け付け、党の重鎮も出席し、通常
の大会運営が行われたのですが、実際は開催前からてんやわんや
だったのです。
 というのは、民主党全国大会の4日前の7月22日のことです
が、とんでもないものが内部告発サイトのウィキリークスに公開
されたのです。それは民主党の全国大会(DNC/デモクラット
・ナショナル・コミティ)のサーバーがハッキングされ、デビー
・ワッサーマンシュルツ委員長のメールが大量に公開されたので
す。副島氏によると、民主党全国委員会のトップは、日本でいえ
ば、自民党の幹事長に相当する大物だということです。
 問題は、そのメールの中身です。それは、大統領選の予備選に
おいて、党の全国委員会のメンバーが、予備選で、好調な同じ民
主党の候補者であるサンダーズ氏の評判をいかに下げるか、どの
ように対抗するかについて指示したり、どのように選挙運動を妨
害するかについて指導したりする内容だったのです。
 当然のことですが、これにサンダーズ支持派は怒り狂ったので
す。この反発を受けて、全国大会前日の7月24日、ワッサーマ
ン・シュルツ全国委員長は、大会閉幕と同時に辞任すると表明し
たのです。
 そのようにして、25日から行われた民主党全国大会の様子に
ついて、副島隆彦氏は次のように書いています。
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 そして民主党大会が開かれた4日間にもヒラリー非難の激しい
嵐が続いた。ヒラリーがやってきたことは犯罪だ、という怒りが
まじめな民主党員の活動家たちの中に広がっていった。「代議員
35人が、ウォーク・アウト(大会場から抗議の退場)をした」
と報じられたが、実際にはそんな少数ではなくて、300人以上
いた。3千人の代議員のうちの300人だ。
 彼らは、このあと会場の外のプレス・テントの前に座り込んで
「真実を世界中に報道してください」と要請した。しかしメディ
アは知らん顔だ。やがて、大会を警備する警備員たちに排除され
た。彼ら、ヒラリー反対派は「ヒラリー・フォー・プリズン(ヒ
ラリーを刑務所へ)」の看板(プラカード)を掲げて行進した。
                ──副島隆彦著の前掲書より
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 何のことはない。共和党全国大会も民主党全国大会も両方とも
ヒラリー・クリントン氏を非難しているのです。共和党の場合は
まだわかるとしても、民主党全国大会までクリントン氏を非難す
るのはきわめて異常なことです。それにしてもロシアは、なぜ、
ハッキングしたのでしょうか。
            ──[孤立主義化する米国/097]

≪画像および関連情報≫
 ●「民主党はサンダースを勝たせたくなかった」
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   7月25日から4日間の日程で始まる、アメリカ民主党全
  国大会。ところが、開幕の前日から波乱が起きた。党全国委
  員長のデビー・ワッサーマンシュルツ氏が「党大会が終わっ
  た後に委員長を辞任する」と発表したのだ。
   引き金になったのは、22日に発表された内部告発サイト
  「ウィキリークス」の告発だ。同サイトは、民主党全国委員
  会の幹部の間で交わされた1万9252通にも上るEメール
  を公開。民主党予備選挙で、ヒラリー氏がサンダース氏に勝
  つよう働きかけていたことを明らかにした。
   例えば、委員会の最高財務責任者である、ブラッド・マー
  シャル氏は、サンダース氏が「無神論者」であることを理由
  に同氏に不利な選挙戦を仕掛けようとしたと思われるEメー
  ルを送っている。メールでは人物の名前は書かれていないが
  サンダース氏だとみられている。マーシャル氏自身は「メー
  ルはサンダース氏について触れたものではない」と疑惑を否
  定している。
  民主党がサンダース氏を、支援しない態度をとっていること
  を、党全国委員長のワッサーマンシュルツ氏は、何カ月前か
  らも批判されていた。同氏は11月の大統領選までは委員長
  の座に留まると主張していたが、今回のウィキリークスのE
  メール公開により、辞任を避けられなくなった。
                  http://huff.to/2gs7Qjf
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 ●写真出典/副島隆彦著の前掲書より

共和党全国大会/2016.jpg
共和党全国大会/2016
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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