決まったのでしょうか。それは、共和党を含むトランプ陣営が対
抗相手であるヒラリー・クリントン氏の私的メール問題を手を替
え品を替え攻撃したからです。なぜなら、この私的メール問題が
リビア・ベンガジ事件に深く関わっているからです。
トランプ陣営と共和党本部は、トランプ氏の数々の暴言によっ
て不仲になっていたはずです。しかし、そのウラではきちんと連
携して動いていたと思われます。確かに共和党はFBIに対して
クリントン氏にFBIが行った7月2日の尋問資料(供述調書)
の全面公開を求めたり、クリントン氏を訴追しない方針を決めた
コーミーFBI長官を批判しています。
また、共和党は、選挙期間中にクリントン候補に対して行われ
るインテリジェント・ブリーフィングを実施しないよう要求した
りしているのです。インテリジェント・ブリーフィングとは、大
統領候補者に対して、国家情報長官室やCIAから行われる国家
機密の開示のことです。共和党としては、私的メールの内容いか
んによっては逮捕・訴追されるかもしれないクリントン氏に国家
機密を話すのは問題であるという考え方です。
逆に民主党としては、ロシアのプーチン大統領に親近感を示す
トランプ氏に国家機密を明かすことへの懸念を表明しています。
8月5日付、産経ニュースは、インテリジェント・ブリーフィン
グについて次のように述べています。
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【ワシントン=加納宏幸】米共和党の不動産王トランプ氏、民主
党のクリントン前国務長官が大統領候補として国家情報長官室や
中央情報局(CIA)から国際情勢の説明を受ける「インテリジ
ェンス・ブリーフィング」(情報説明)が近く始まる。テーマは
「イスラム国」(IS)やロシア情勢などだ。来年1月の就任後
すぐに米軍最高司令官を務めるための準備だが、両候補に機密情
報を伝えることへの慎重論も出ている。
オバマ大統領は4日の記者会見で、「(野党の)共和党であれ
候補になれば、大統領の職をゼロから始めることのないよう安全
保障に関する説明を受ける必要がある」と述べた。一方で情報機
関から受けた説明を外に漏らすことのないようクギを刺した。ト
ランプ氏が念頭にあるとみられる。
トランプ、クリントン両氏に対して情報説明を始めることには
民主、共和両党から、情報漏洩(ろうえい)を懸念する意見が出
ている。CIA長官を務めたパネッタ元国防長官ら民主党有力者
は、トランプ氏がロシア政府に対して、クリントン氏のメールを
ハッキングするよう求めた発言を問題視。リード上院院内総務は
情報機関に対し、「トランプ氏は危険人物なので、(機密情報に
ついて)何も言わず偽の情報説明をすればいい」と求めている。
──2016年8月5日付、産経ニュース
http://bit.ly/2fTUFIF
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上記の産経ニュースの記事のなかで「トランプ氏がロシア政府
に対して、クリントン氏のメールをハッキングするよう求めた発
言」はきわめて重要です。これは何らかの事情でトランプ陣営は
メールの内容の一部を把握しており、それに基づいてトランプ氏
は演説などで繰り返し発言しているとみられます。
トランプ氏は、FBIや司法当局がメールに重大な内容が書か
れていたとしても、国家機密ということで公開しないことが考え
られるので、ロシアに働きかけて、メールの内容を公開してくれ
と要請しているのです。ロシアには、ウィキリークスのジュリア
ン・アサンジ氏がいるからです。
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ロシアよ。私の演説を聞いていたら、ヒラリーが勝手に(証拠
隠滅)削除した3・3万通のメールを見つけ出してくれ。
──副島隆彦著/光文社刊
『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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しかし、クリントン氏を支持するオバマ政権では、これらの発
言は「暴言」として、問題視しないで無視しています。しかし、
クリントン氏の私的メール問題をフォローしていくと、単なる暴
言とはいえなくなってきているのです。
8月10日になってトランプ氏は、「IS/イスラム国」の創
設者はオバマ大統領であり、クリントン前国務長官は共同創設者
であるとするとんでもない発言を行っています。まさに暴言の類
いですが、これとても単なる暴言とはいえない真実味を帯びてい
るのです。
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米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が8月
11日のフロリダ州での集会で、過激派組織「イスラム国」(I
S)について「オバマ大統領に敬意を払っている。彼がISの創
設者だからだ。共同創設者は、ひねくれクリントンだ」と語る場
面があった。
トランプ氏は最近の世論調査で、民主党候補ヒラリー・クリン
トン前国務長官(68)に大きくリードを許している。トランプ
氏の発言はオバマ氏とクリントン氏の失策がISの台頭を招いた
と訴える趣旨とみられるが、再び暴言と受け止められ、物議を醸
す恐れもある。 ──2016年8月11日付、時事通信
──副島隆彦著/光文社刊
『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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「オバマ大統領とクリントン氏がイスラム国(IS)を創設し
た」というのは、いかにも根拠のない暴言のように聞こえますが
EJでも前回テーマで取り上げたように、そうとはいえないので
す。これはベンガジ事件と深い関係があり、クリントン氏の私的
メール問題とも無関係ではないのです。
──[孤立主義化する米国/087]
≪画像および関連情報≫
●ヒラリーが土壇場で大苦戦する「3つの理由」/東洋経済OL
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いよいよ、11月8日のアメリカ大統領選挙まであとわず
かとなった。10月分の雇用統計も発表され、民主党のヒラ
リー・クリントン候補を応援する主要メディアは、堅調な雇
用の数字はオバマ政権の成果であり、民主党の政策は正しか
ったと国民に訴えている。
ところが、そのヒラリーの勝利を前提にしていた米国の株
式市場は、S&P500が4日で9営業日連続の下落となっ
た。これは1980年以来初めての現象だ。これに対する一
般的な解説は、10月28日の金曜日、突如出たFBI(米
連邦捜査局)によるヒラリーのメール問題の再調査で、ヒラ
リーの勝利が「確定」から「不安」になったということであ
る。だが筆者にはその前から、大統領がどちらになっても株
はいったん下がることを織り込み始めていたように見える。
一例は、日本で恐怖指数といわれるVIX指数の先物の残高
と、それを対象とするETF(上場投資信託)・ETN(指
標連動証券)の派生商品の値動きに乖離が生じていたことで
ある。VIX先物の買いがどんどんたまっているのに、VI
XのETF・ETNの価格は、それほどは変動しなかった。
これは大地震の前、プレートへじわじわと圧力がかかるって
いるのに、限界を迎えるまで地上では危険を感じない状態に
似ている。 http://bit.ly/2fT5r3I
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次期米大統領ドナルド・トランプ氏


