2016年11月10日

●「大統領選勝敗に影響/メール問題」(EJ第4398号)

 現在、米国大統領選挙の開票が続いています。開票直後からト
ランプ氏がクリントン氏をリードし、12時20分に、ニューヨ
ーク・タイムズ紙は「80%の確率でトランプ氏勝利」と報道し
たのです。
 そしてそれから10分後に「オハイオ州でトランプ氏勝利」の
ニュースが流れたのです。「オハイオ州を制する者は大統領選を
制す」といわれており、これでトランプ氏の勝利の可能性は、か
なり高くなったといえます。
 さらに、午後1時になって、大票田のフロリダ州でトランプ氏
の勝利が伝えられると、トランプ氏のリードはさらに広がり、も
はやクリントン氏の逆転は困難な情勢になっています。選挙結果
は午後遅くなって判明しますが、大統領選については明日のEJ
で取り上げることにします。
 クリントン氏の票が意外に伸び悩んでいるのは、やはり投票日
直前の10月28日、FBIのコミー長官によるメール問題再捜
査の発表にあると思われます。なぜなら、それまではどの調査で
もクリントン氏が優勢であったからです。
 しかし、11月6日になって、コミー長官は「メール問題でク
リントンを訴追せず」と発表したのです。FBIに一体何があっ
たのでしょうか。
─────────────────────────────
 10月28日 ⇒ クリントン氏のメール問題の再捜査発表
 11月 6日 ⇒ メール問題でクリントン氏を訴追しない
─────────────────────────────
 実は、FBIが再捜査を発表する前のことですが、トランプ陣
営では次のような噂が広がっていたのです。
─────────────────────────────
 10月の終わりに「大きな爆弾」が炸裂し、クリントン陣営
 が吹っ飛ぶだろう。          ──トランプ陣営
─────────────────────────────
 そして実際に10月28日に、FBIのコミー長官はメール問
題の捜査再開を発表したのです。まさに「大きな爆弾」の炸裂そ
のものです。まさか、FBIの捜査の情報が事前に漏れていたこ
とはないと思いますが、その疑いは濃厚です。コミー長官は元共
和党員であることも疑われている要因ですが、コミー氏は既に党
からは距離を置いており、真面目な人でもあるので、そんなこと
をする人ではないという人が多いのも事実です。
 コミー長官もクリントン氏の新しいメールが見つかって、捜査
を再開すべきかどうか相当悩んだはずです。選挙前であるからと
いって、再捜査をしないで後から問題が発生した場合、それこそ
大問題になります。
 そこでコミー長官は、メール問題の再捜査の決断について、米
議会に対して、次のような書簡を送ったのです。
─────────────────────────────
 私は以前行われた議会の委員会で、クリントン元国務長官の個
人メール・サーバーの私的な使用問題に関してFBIの捜査が終
了したという証言をしました。
 しかし、最近、事態に進展があり、私は過去の証言を補足する
ために本書簡を書いております。FBIは本件とは無関係な事件
の捜査過程で、本件に関連すると思われる電子メールの存在を知
るに至りました。昨日、私は捜査チームからその旨の説明を受け
たことを皆様にご連絡するために本書簡を書いています。
 私は捜査官によって新たに発見された電子メールの中に機密情
報が含まれているかどうか、また、本件にとってこれらの電子メ
ールが重要であるかどうかを判断するために、FBIが適切な捜
査を行えるよう適切な措置を講ずべきだということに同意しまし
た。FBIはこの資料が重要であるかどうか判断することはでき
ませんし、私にはこうした追加捜査を完了するのにどれだけの時
間が掛かるか予想もできませんが、私は過去において議会で行っ
た証言に照らし合わせて、FBIが現在行っている事柄に関して
諸委員会に新しい情報を提供することは重要だと信じています。
                   http://bit.ly/2eTbx0e
─────────────────────────────
 これに対し、民主党のハリー・リード上院院内総務は30日、
「法律に違反している可能性がある」として、FBIコミー長官
を激しく非難しています。また、オバマ大統領も、1日、ラジオ
のナウディスニュースとのインタビューで、「捜査はほのめかし
や不十分な情報、漏出情報に基づいて行うのではなく、具体的な
決定に沿って行うという原則があるはずだ」と語ったということ
は既に述べた通りです。
 こういう非難を受けたためか、コミー長官は、6日になって、
米議会に再び書簡を送り、米大統領選の民主党候補ヒラリー・ク
リントン氏による国務長官時代の私的な電子メール使用について
犯罪に相当しないという結論に変更はないと伝えたのです。これ
についてブルームバークは、次のように報道しています。
─────────────────────────────
 クリントン氏の私的メール使用と関係する可能性がある新たな
メールを調査していると10月28日に議会に伝えて以降、問題
のメールについて「FBIの調査チームが24時間体制で調査し
てきた」とコミー長官は説明。「その過程でクリントン氏が国務
長官時代に受信・送信した全てのやりとりを調べた結果、われわ
れが7月に示したクリントン前国務長官に関する結論は変わらな
かった」とコメントした。       http://bit.ly/2eMUi0s
─────────────────────────────
 要するに、FBIとしては、オバマ大統領や米議会から批判を
受けたので、新しいとされるメールをすべて調査した結果、犯罪
性なしと判断したというのです。60万通といわれるメールです
が、多くは既に調査したメールと重複しており、新しいメールは
数千通であったとFBIは発表しています。
            ──[孤立主義化する米国/083]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン氏よりトランプ氏の肩を持ったFBI長官
  ───────────────────────────
   米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントンの陣営は、
  投開票まで11日となったタイミングで「メール疑惑」に関
  連するかもしれない新たなメールの発見と捜査の再開を発表
  したジェームズ・コミーFBI長官について「あからさま」
  「開いた口が塞がらない」と、ダブルスタンダードを批判し
  た。コミーは一方で、ロシアが米共和党候補ドナルド・トラ
  ンプを支援する目的で米大統領選に介入していることの公表
  には反対していたからだ。
   米ケーブルテレビCNBCやニュースサイトのハフィント
  ン・ポストは、匿名の元FBI高官の証言を入手。それによ
  るとコミーは、ロシアが選挙に介入していることを公式に批
  判するには「大統領選投票日に近過ぎる」と言って反対した
  という。コミーは大統領選挙への影響だけでなく、法執行機
  関が自らの立場を利用して、選挙に影響を与えることを禁じ
  たハッチ法に抵触する可能性があると懸念していた。
   10月7日、米国土安全保障省長官と国家情報長官は、ロ
  シアのサイバー攻撃を断定した内容の共同声明を発表した。
  「米政府の情報機関は、最近米国人や政治組織がハッカー攻
  撃を受けてメールが流出したのはロシア政府の指示によるも
  のだと確信しており、一連の情報収集の目的はアメリカの選
  挙に干渉することだ」。コミーは声明の内容には同意したも
  のの、公表は遅らせようとしたという。声明にもFBIの名
  前は含まれなかった。       http://bit.ly/2f6XoNr
  ───────────────────────────

コミ―FBI長官.jpg
コミ―FBI長官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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