2016年11月09日

●「なぜメール問題捜査を再開したか」(EJ第4397号)

 今朝のEJが届く時点では、米大統領選の結果は出ていないと
思います。この原稿は6日の午後に書いており、その時点では、
大統領選の結果を見通すことは困難です。しかし、今日中にはど
ちらかに決着がつくことは確かです。
 もし、ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏を破り、次期大統
領に決定したとしても、FBIの捜査は確実に進展すると思われ
ます。ここで重要なのは、FBIのコミー長官が10月28日に
なって、なぜクリントン氏のメール問題を再捜査すると宣言した
かということです。FBIのコミー長官は、7月にメール問題に
ついて次のように述べて、訴追しないことを明言しています。
─────────────────────────────
  情報の扱いが極めて不注意だったが、訴追の必要はない
                 ──FBIコミー長官
─────────────────────────────
 このようにして、いったん捜査を終了したはずのメール問題を
コミーFBI長官は、大統領選の投票日直前になって捜査再開を
表明したのです。それが大統領選に何らかの影響を与えることは
十分承知のうえでの表明と思われます。
 オバマ米大統領は、コミーFBI長官のこのメール問題再捜査
表明に対して、次のように批判したのです。大統領がFBI長官
を批判するのは極めて異例なことです。
─────────────────────────────
 私たちには、結果についてほのめかしたり、不完全な情報に基
づいて捜査をしたりしないとの原則がある。 ──オバマ大統領
                   http://bit.ly/2fdgVfg
─────────────────────────────
 ところで、FBIはどのようにして、クリントン氏の新しい私
用メールを入手したのでしょうか。
 アンソニー・ウィーナーという元下院議員がいます。FBIは
このウィーナー元議員がわいせつなメールを未成年者に送りつけ
た容疑で議員のノートPCを押収したのです。この捜査自体はク
リントン氏には何の関係もないのです。
 押収したノートPCには、65万通に及ぶ電子メールが含まれ
ていたのですが、その多くは、ウィーナー元議員の別居中の妻で
クリントン氏側近のフーマ・アベディン氏のアカウントに属する
ものだったのです。
 フーマ・アベディン氏とは何者でしょうか。副島隆彦氏の本に
アベディン氏についての紹介があるので引用します。
─────────────────────────────
 ヒラリーの選挙戦を指揮しているのが、フーマ・アベディンと
いう女性だ。ヒラリーの側近中の側近である。このアベディンが
ヒラリーの選対副本部長だ。選対本部長はクリントン政権で首席
補佐官を務めたジョン・ボデスタである。
 このアベディンは両親がパキスタン人でイスラム教徒だ。アメ
リカ生まれだが、両親の仕事の関係でパキスタンに行って育って
18歳でアメリカに戻ってきた。彼女の母と兄がムスリム同胞団
に関係している。
 アべディンはヒラリーがファーストレディであった時から補佐
官を務めていた。また、ヒラリーが国務長官を務めていた時期の
ほぼすべての期間に補佐官だった。以上は古村治彦氏の情報であ
る。ヒラリーはこのアべディンを「2人目の娘」と呼んでいる。
しかし本当はヒラリーの愛人だとも噂されている。
                      ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 そもそもなぜメール問題がそれほど重要なのでしょうか。
 これは、ヒラリー・クリントン氏が国務長官の時代のリビアの
ベンガジ襲撃事件に深く関係するのです。これを理解するには、
リビアのカダフィ大佐という指導者が、どのような政治家であり
何をやったか、何をやろうとしていたかということについて知る
必要があります。
 このことについてEJでは、「現代は陰謀論の時代」のテーマ
のときに書いています。このテーマでは、いろいろなものを取り
上げましたが、リビア問題は次の部分で述べています。
─────────────────────────────
    ◎「現代は陰謀論の時代」
    2016年5月16日付、EJ第4276号
              http://bit.ly/27pt5HJ
        〜5月31日付、EJ第4287号
              http://bit.ly/1RGI98p
─────────────────────────────
 ここで考えてみるべきことがあります。冒頭でも述べたように
コミーFBI長官は、なぜあえて批判されることを覚悟してまで
一度「訴追せず」と判断したクリントン氏のメール問題を再捜査
すると宣言したかということです。
 もし、これが原因でクリントン氏が選挙戦に破れ、大統領にな
れなかったとし、もしメール問題が後で訴追に値しないというこ
とにでもなったら、コミー長官はどのようにして責任をとるので
しょうか。そういう意味でこれは、コミー長官にとって、きわめ
てリスクの高い決断であるといえます。
 しかし、新しく発見したメールにクリントン氏に関して犯罪に
値する問題があり、訴追するような事態になったら、どうなるで
しょうか。この場合、選挙の直前だからといって、再捜査を先延
ばしにしたら、コミー長官はもっと厳しく非難されることになる
のではないでしょうか。
 コミー長官は、そのあたりのことを考慮して再捜査に踏み切っ
たものと考えられます。それは、新しく発見されたクリントン氏
のメールは犯罪性が高いという確信を長官自身がもったからこそ
再捜査を宣言したのではないかという考え方です。
            ──[孤立主義化する米国/082]

≪画像および関連情報≫
 ●「隠れ支持者」はトランプ氏の秘密兵器になるか
  ───────────────────────────
   【11月5日AFP】8日に投票日を迎える米大統領選で
  共和党候補のドナルド・トランプ氏に投票すると公にするの
  を控えている「隠れた」支持者はどれほどいるだろうか。
   民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官との大接戦
  が予想される中、こうした「隠れ支持者」がトランプ氏の秘
  密兵器となり、結果を左右するかもしれない。
   ホワイトハウス前で取材に応じた退役軍人のトーマス・ハ
  ドソンさんは、期日前投票でトランプ氏に票を投じたことを
  気が進まない様子で認めた。いつもは共和党候補に投票する
  ことを「とても誇りに」感じているが、今回は「良心の呵責
  (かしゃく)」があると語った。
   重要なのはトランプ氏の隠れ支持者が、英国民投票が欧州
  連合離脱という結果に終わったのと同じような衝撃の選挙結
  果をもたらすことができるのかということだ。政治学者らは
  こうした予想外の選挙結果を「ブラッドリー効果」と呼ぶ。
  1982年のカリフォルニア知事選で、世論調査では大きく
  リードしていた黒人のトム・ブラッドリー元ロサンゼルス市
  長が敗れたことに由来する。有権者の多くは人種差別だと批
  判されることを恐れて、ライバルの白人候補に投票すると認
  めたがらなかったとみられている。 http://bit.ly/2fQbw1j
  ───────────────────────────

フーマ・アベディン/ヒラリーの側近.jpg
フーマ・アベディン/ヒラリーの側近
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
RDF Site Summary