日の昼頃までに、次期米国大統領がトランプ氏かクリントン氏か
が決まります。
選挙の終盤の10月28日、FBIによるクリントン氏の私用
メール再捜査の決定によって、トランプ氏が支持率で猛烈に追い
上げ、これまで一定のリードを保ってきたクリントン氏を急追し
ている──メディアはそのように報道しています。
米国はメディアによって支持率の数字が大きく異なるので、そ
ういう世論調査を平均したRCP(リアル・クリア・ポリティク
ス)の最新調査と10月30日の支持率を比較してみます。
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最新調査 10月30日
ドナルド・トランプ ・・ 44.8% 41.6%
ヒラリー・クリントン ・・◎46.6% ◎45.0%
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これを見ると、いずれもクリントン氏が勝っていますが、10
月末には3・4ポイントあったトランプ氏との差が、最新調査で
は1・8ポイントに縮小しています。それでもまだクリントン氏
が優勢であることは変わっていないのです。
ただ支持率の差が1ポイントになってくると、どちらが勝って
も不思議ではないのです。2012年の大統領選挙で、ロムニー
氏に1ポイント差で負けていたオバマ氏が、得票率51・1%で
勝利しています。1ポイント差は誤差の範囲内です。
しかし、選挙人の獲得予測に関して、6日の日本経済新聞は次
のように報道しています。
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クリントン氏が支持率で10ポイント超離した際は、選挙人の
獲得予測も、全米51州・地区の選挙人(538人)の過半数を
超える270人を超えた。
直近は、クリントン氏が216人に下方修正され、トランプ氏
は164人に追い上げる。4日発表の米CNNテレビの獲得予想
ではトランプ氏は200人の大台に乗せた。
──2016年11月6日付、日本経済新聞
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米国の大統領選挙では、どんなことがあっても共和党ないし民
主党が勝つと決まっている州があります。そのような州では、事
実上選挙戦は行われないのです。したがって選挙は、支持率が競
り合っている「激戦州」で主として行われるのです。
現在激戦が続いているのは、次の8つの州であり、その勝敗に
よって結果が決まると考えられます。()は選挙人の数です。
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≪トランプ氏がリードしている州≫
1.ニューハンプシャー州(4人)
・クリントン氏を「1・6ポイントリード」
2.オハイオ州(18人)
・クリントン氏を「3・3ポイントリード」
3.アイオワ州(6人)
・クリントン氏を「2・4ポイントリード」
4.ネバダ州(6人)
・クリントン氏を「2・0ポイントリード」
≪クリントン氏がリードしている州≫
5.ペンシルベニア州(20人)
・トランプ氏を「2・6ポイントリード」
6.フロリダ州(29人)
・トランプ氏を「1・2ポイントリード」
7.コロラド州(9人)
・トランプ氏を「3・0ポイントリード」
≪支持が拮抗している州≫
8.ノースカロライナ州(15人)
・両者拮抗
──2016年11月6日付、日本経済新聞
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1ポイントのリードは逆転もあり得ると考えると、現在、トラ
ンプ氏がリードしているニューハンプシャー州、クリントン氏が
リードしているフロリダ州、両者が拮抗しているノースカロライ
ナ州の勝敗が重要なカギを握ります。
激戦州8州からこれら3州を外して、他の5州で2ポイント以
上リードしている候補が勝利するとすれば、その選挙人の獲得数
は次のようになります。
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トランプ30人VSクリントン29人
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既にクリントン氏は選挙人を「216人」固めているといわれ
ます。したがって、もしクリントン氏がトランプ氏を2ポイント
以上離している州──ペンシルベニア州、コロラド州の2州で勝
つとすると、245人になります。過半数の270人まで、あと
25人足りない状況です。したがって、クリントン氏が現在トラ
ンプ氏を1・2ポイント差でリードしているフロリダ州で勝てば
大統領選を制することができます。
しかし、トランプ氏が既に獲得している選挙人は164人であ
り、2ポイント以上リードしている洲を全て取っても、「194
人」で200人に届かず、フロリダ州でクリントン氏を逆転した
としても「223人」、270人に47人に足りない状況です。
拮抗しているノースカロナイナ州を取っても「238人」、それ
でも270人に38人足りない状況です。
このように考えると、支持率調査や選挙人獲得予測の状況では
トランプ氏が追い上げたとしても、なおかつクリントン氏優勢の
状況は変わらないのです。しかし、トランプ氏には「隠れトラン
プ派」がおり、最終版で姿を現すといわれています。結果は予断
を許さない状況です。 ──[孤立主義化する米国/081]
≪画像および関連情報≫
●米大統領選/市場の勝者と敗者を予想/投票日サプライズ
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現代の米国史上、最も異例の大統領選が最終盤を迎える中
世界の金融市場は現状維持という結果に賭けている。民主党
の次期大統領の行動を共和党支配の新議会が引き続き制約す
るというものだ。
だが、米連邦捜査局(FBI)が民主党候補ヒラリー・ク
リントン前国務長官の私用メール問題の再捜査を開始したと
の発表を含め、10月中の一連のサプライズを踏まえると、
11月8日の大統領・議会選投票日に生じ得るさらなるサプ
ライズへの投資家の準備は不十分かもしれない。
エバーコアISIのアナリストは10月30日付のリポー
トで、クリントン氏の私用メール問題をめぐる論争の再燃が
「大統領選に根本的な変化をもたらす公算は小さい」との分
析を示した。最も大きなショックとなるのは共和党候補ドナ
ルド・トランプ氏の勝利か、クリントン氏と民主党の大勝だ
ろう。これらいずれの展開になっても、6月の英国民投票で
の欧州連合(EU)離脱選択の場合と同様、投資家はリスク
が高い株式や新興市場資産から逃避し、最も安全とされる政
府債やドル、円に駆け込む可能性がある。一方で、両候補と
も歳出拡大と減税を推進したい意向で、それは株価に強材料
債券相場には弱材料となる。 http://bit.ly/2eAPttz
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トランプかクリントンか/米大統領選


