2016年10月11日

●「女性蔑視的発言でトランプ氏苦境」(EJ第4377号)

 米大統領選をめぐって大変なことが起きています。この原稿は
10月9日に執筆していますが、本日の夜、米国では、民主党大
統領候補ヒラリー・クリントン氏と共和党大統領候補ドナルド・
トランプ氏による第2回目のテレビ討論が行われます。日本時間
は10月10日の午前10時からとなります。したがって、この
原稿は第2回テレビ討論の結果を見ないで書いていることをお断
りしておきます。
 10月7日のことです。米ワシントンポスト紙がある動画を公
開したのです。その動画とはゴシップ番組「アクセス・ハリウッ
ド」が10年前に偶然収録したものです。同番組に出演していた
トランプ氏の待機中の会話をマイクが拾い、記録されたのです。
 問題はその内容です。それは、ドナルド・トランプ氏がいかに
女性を思い通りにできるかを淫らで攻撃的な言葉で自慢している
会話です。なお、このニュースに関しては在ニューヨークの東洋
経済特約記者であるピーター・エニス氏の記事(東洋経済オンラ
イン)をベースに書いています。
 その動画の会話は、あまりにも卑猥であり、文章でご紹介する
には差し支えがあるので、次の動画をご覧ください。(英文)
─────────────────────────────
    「アクセスハリウッド」の問題の動画/52秒
               http://bit.ly/2dZ7fVv
─────────────────────────────
 この動画の反響はすさまじいものだったのです。あっという間
に全米に広がり、テレビのニュースでは米南東部に大きな被害を
もたらしているハリケーン「マシュー」よりも、その扱いは大き
かったといいます。
 共和党本部は大混乱になったのです。これをめぐって、トラン
プ氏と共和党本部役員との電話会議は、8日の早朝まで延々と続
いたといわれます。
 これに関して共和党の関係者は、次々に次のような深刻なコメ
ントを出しています。
─────────────────────────────
◎CNBC政治コメンテーター/ジョン・ハーヴッド氏
  全国の共和党役員らは絶望している。トランプ氏が共和党大
 統領候補であることは変えられないため、共和党は負けるだろ
 う。上院下院ともに民主党員が多数になるかもしれないという
 現状を涙ながらに飲み込んでいる。
◎テッド・クルーズ氏のスポークスマン/リック・タイラー氏
  これでもうトランプ氏が当選することはないだろう。この国
 のリーダーとなる人物としては、トランプ氏はモラルに欠け過
 ぎている。
─────────────────────────────
 現在、下院議長を務めるポール・ライアン氏も、この報道を受
けて次のようにコメントしています。そして予定していたウィス
コンシン下院議員選挙区へのトランプ氏の同行を拒否し、副大統
領候補のマイク・ペンス氏が出席することになっています。
─────────────────────────────
  気分が悪くなる。この状況を深刻に受け止めることを望む
                 ──ポール・ライアン氏
─────────────────────────────
 トランプ氏を大統領候補から下ろすべきであるとの国民の声も
高まってきています。候補者を副大統領候補のマイク・ペンス氏
に差し替える案も出ていますが、今となって候補を差し替えるこ
とは法的に不可能になっています。そのマイク・ペンス氏でさえ
も今回の件については怒り心頭に発しているといいます。
 しかし、当のトランプ氏はこうした国民の怒りにまともに応え
ようとしていないのです。トランプ氏はこの10年前の発言に関
して次のコメントを出し、お詫びの動画を公開しています。しか
し、反省の姿勢は動画でも一向にみられないのです。
─────────────────────────────
 私の発言で怒らせてしまったかもしれない人たちに対して謝
 罪する。           ──ドナルド・トランプ氏
         「お詫び動画」/ http://bit.ly/2dOBa5l
─────────────────────────────
 トランプ氏は、謝罪はしているものの、一向にめげておらず、
この映像流出を「大統領選への注意をそらすもの」と呼び、クリ
ントン候補の夫ビル・クリントン元大統領の過去の不倫問題につ
いて「このことについては今後数日のうちにもっと語る。9日の
討論会で会おう」と述べ、米ミズーリ州セントルイスで行われる
2回目のテレビ討論会で取り上げることを示唆しています。
 この問題は、共和党にとってはきわめて深刻です。そもそもト
ランプ氏が大統領候補に選ばれること自体が問題なのです。その
深刻さについてピーター・エニス氏は次のように伝えています。
─────────────────────────────
 保守的で宗教心の強いユタ州では特にトランプ氏に反対する動
きが顕著だ。現在のユタ州の州知事であるゲーリー・ハーバート
氏はトランプ氏への支援を取り下げ、同様に影響力のあるマイク
・リー上院議員、ジェイソン・チェイフェッツ下院議員も後に続
いた。ユタ州だけに限らず、全国各地の共和党員が今、大混乱の
中にいる。特に11月の上院選挙での再選がかかっている共和党
の上院議員にとって重要だ。この中にはジョン・マケイン氏(2
008年共和党代表大統領候補)も含まれ、マケイン氏はトラン
プ氏の問題発言に対し、「許しがたいことだ」とコメントしてい
る。その中でも連邦議会で最も有力な共和党の女性議員とされる
ニューハンプシャー州から選出されたケリー・エイヨット上院議
員に対する影響はかなり大きく、再選挙に出馬することすらでき
なくなってしまう危険と現在隣り合わせであるという。
                   http://bit.ly/2dOHcCV
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/062]

≪画像および関連情報≫
 ●わいせつ会話、トランプ氏痛手/朝日新聞デジタル
  ───────────────────────────
   米大統領選は投開票日まで残り1ヶ月となった。ここに来
  て共和党候補トランプ氏(70)は、過去のわいせつな会話
  を暴露されて党内から支持撤回の動きが出るなど支持率を落
  としている。9日(日本時間10日午前)には、民主党候補
  のクリントン氏(68)との2回目のテレビ討論会がある。
  逆風の中、トランプ氏がどう巻き返すのかが注目される。
   米紙ワシントン・ポストが7日に報じたのは、トランプ氏
  が2005年、テレビ番組の収録に向かうバス内で、既婚女
  性と性的関係を持とうとしたことを説明する会話だ。胸に付
  けたマイクで録音したとみられる音声を、バス外からの映像
  とともに公開した。
   「スターになれば、何でもできる」「私は自動的に美しい
  ものに引きつけられ、キスを始めた。磁石のように。もはや
  待てなかった」などと下品な性的表現で自慢げに語った。ト
  ランプ氏は声明で「気分を害する人がいたら謝罪する」と釈
  明した。同氏はこれまでもミスコン優勝者を「ミス子豚」と
  侮蔑するなど、女性蔑視との批判を受けていた。
   共和党に影響力を持つライアン下院議長は同日、「発言に
  うんざりしている」と声明を出し、8日に予定していた初め
  てのトランプ氏の集会への参加を急きょ取りやめた。同党の
  チェイフェッツ下院議員もインタビューで「もはや道義的に
  大統領として承認できない」と支持撤回を表明。「致命傷」
  になりかねない状況に陥っている。 http://bit.ly/2e16DyM
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トランプ氏の「お詫びビデオ」.jpg
トランプ氏の「お詫びビデオ」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回の時勢に付和雷同した評論は、このブログの首尾一貫した評論姿勢としては、ふさわしくありませんね。

この前までは、副島氏の著書を引用しながら、「トランプ候補の必勝」を論じておきながら、今度は、「候補者として選ばれたこと自体が問題なのです」というのは、解せません。

「私的メール利用による謀略活動と、財団絡みの巨額汚職があろうと、ヒラリーが勝利するでしょう」という優れた論理展開と分析力を貫いて欲しかった。

予測の当たらない相場師と同じ「言い訳」は、聴きあきましたよ。


Posted by ケストラー at 2016年10月11日 14:08
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