2016年10月03日

●「5015作戦計画は実行できるか」(EJ第4372号)

 「5015作戦計画」の話を続けます。「コード50」は朝鮮
半島をあらわし、「コード15」は「排除」を意味します。排除
とは、具体的には強制的な排除、つまり、暗殺を含む排除を意味
しています。「核承認者の排除」という表現も使われています。
 これまで「コード15」は、ウサマ・ビン・ラディンやISの
ジハーディ・ジョン(聖戦士)に対し行われ、成功しています。
ジョンについては無人戦闘機が使われています。イラクのフセイ
ン大統領についても行われたのですが、これについては失敗し、
全面戦争になってしまったのです。
 このような国家による要人暗殺は、当然表に出ることはなく、
標的に知られぬように秘密裏に行われるのが普通です。しかし、
金正恩委員長について米国は、5015作戦の実施を公表してい
るのです。どのように公表されているかについて、9月27日発
行の「夕刊フジ」は、次のように報道しています。
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 驚かないでいただきたい。「中国が、米国の北朝鮮に対する先
制攻撃を認め、オバマ政権が作戦決行日のXデーの検討に入った
もようだ」という衝撃情報が浮上している。
 まず、中央日報(日本語版)は、20日、「中国が北朝鮮の核
施設を狙った米軍の軍事作戦を黙認する方針を決めた」と、中国
情勢に詳しい台湾有力誌の報道を引用するかたちで報じた。
 朝鮮日報(同)も24日、「北核実験・・米報道官が『先制軍
事行動』に言及」とのタイトルで、米ホワイトハウスのアーネス
ト報道官が22日(現地時間)のブリーフィングで、「一般論的
に、そして北朝鮮と特定することなく言いたい」と前置きしつつ
も、「作戦事案の一つである『先制軍事行動』は事前に論議しな
い」と語った、と答えた。 ──「米軍北先制軍事攻撃Xデー」
             9月27日発行/「夕刊フジ」より
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 9月2O日に開催された国連総会で演説した安倍首相は、時間
の大半を北朝鮮による核実験の非難に費やしています。そのとき
中国の李克強首相と米国のケリー国務長官が会談を行っているの
ですが、そのときからこの未確認情報が流出をはじめたのです。
おそらく米中で何らかの合意があったことは確かです。
 これに関連する動きがあります。それは、米司法省と財務省が
中国遼寧省丹東市の貿易会社「鴻祥実業発展有限公司」と4個人
を刑事訴追したことです。
 この会社は、北朝鮮の核兵器開発に関与し、国連安保理決議に
違反した疑いが持たれているのです。北朝鮮が8月に成功した潜
水艦発射ミサイル(SLBM)にも、中国の技術が流れたといわ
れています。中国はこのことを米国に指摘され、中国としては条
件付きで、米軍の軍事作戦を黙認せざるをえなくなったのではな
いかと思われます。
 これまでも北朝鮮が核実験やミサイル発射を行うたびに、国連
安保理決議で北朝鮮に対する制裁が何回も行われていますが、実
は「民生品はOK」という抜け穴があり、それを利用して中国は
国際社会から孤立した北朝鮮に多大な支援を行っているのです。
2012〜13年には、北朝鮮の貿易の4分の3以上を中国が占
めているのです。北朝鮮が中国からの支援を受け続ける限り、米
国による制裁は、たとえ同盟国の賛同があってもうまくいかない
公算が大きいのです。
 しかし、今回は米国から動かぬ証拠を突き付けられ、米国の北
朝鮮に対する5015軍事作戦を黙認せざるを得なくなったとみ
られます。
 これに呼応して韓国でも動きがあります。9月21日のことで
すが、韓国国会において、韓民求・国防部長官は5015作戦の
存在を認める発言をしています。
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 金正恩を除去するための特殊作戦部隊を運用する計画がある。
                  ──韓民求・国防部長官
─────────────────────────────
 このように、米韓両国ともに暗殺計画である5015作戦計画
を公開しているのです。これには次の2つの狙いがあります。
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  1.あえて北朝鮮に知らせて、暴発を思い止まらせる
  2.北朝鮮が先制攻撃をしてきても十分に対応できる
─────────────────────────────
 狙いの「1」は、あくまで北朝鮮の暴発を止めるための計画で
あり、北朝鮮が行動を改めれば、攻撃などはしたくないのです。
そのため事前に知らせて威嚇することによって、暴発させないよ
うにしようというわけです。
 狙いの「2」は、確かに北朝鮮は一連の核実験やミサイルの発
射を成功させていますが、米韓両国はまだそれを実戦配備できる
ところまでいっていないと判断しているのです。もちろん通常兵
器では反撃してくるでしょうが、核先制も核反撃もできないとみ
ています。しかし、もう少し北朝鮮に時間を与えると、核兵器の
実戦配備が進んでしまうでしょう。今がチャンスなのです。
 もし、5015作戦計画が実施されると、次のようなことが十
分起こりうるのです。
─────────────────────────────
 201X年某日深夜、ステルス型軍用ヘリコプター4機が北朝
鮮領空内に極秘で侵入した。数分後、平壌から××キロメーター
地点に15名で構成される韓国軍・特殊部隊メンバーが降り立っ
た。暗視スコープを装着し、アサルトライフルやサブマシンガン
で武装した一行は陸路、平壌を目指した。○韓×分、平壌市内の
主席宮近くの公邸を急襲、激しい銃撃戦が繰り広げられた。数十
分後に建物を制圧、寝室にいた最高指導者に銃口が向けられた。
            ────『週刊文春』/10月6日号
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/057]

≪画像および関連情報≫
 ●米軍も動き出した金正恩暗殺計画/2016年2月
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   アメリカが金正恩の暗殺に動きだしたという情報が、飛び
  交っている。北朝鮮が開発を進めるミサイルがアメリカの心
  臓部である東海岸に届く可能性が高まり、アメリカも無視で
  きなくなってきたからだ。
   米軍はすでに第1空輸特戦団や第75レンジャー連隊所属
  の特殊戦兵士を韓国入りさせている。イラク戦やアフガニス
  タン攻撃に投入され、要人を暗殺する「斬首作戦」を実行し
  てきた特殊部隊だ。海軍特殊部隊のネイビーシールズもすで
  に韓国で訓練を始めている。軍事誌「PANZER」の和泉
  貴志編集長はこう言う。
  「北朝鮮が1月に強行した4度目の核実験以降の米国の一連
  の動きは、国連の制裁決議に従わなければ、ミサイル発射場
  の東倉里を攻撃するという警告でした。なのに、北朝鮮がそ
  れに耳を貸さず、発射を断行したことで、米国も本腰を入れ
  ざるを得なくなった。極秘潜入を得意とする米空軍の特殊部
  隊支援機MC―130Jの投入は、プレッシャーになってい
  るはずです」韓国国防省は、半島有事を想定した米韓合同軍
  事演習「キー・リゾルブ」を3月7日〜4月30日に実施す
  ると発表。過去最大規模になるという。
                   http://bit.ly/2dEQtem
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5015作戦計画.jpg
5015作戦計画
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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