2016年09月08日

●「米民主党の予備選/CとSの接戦」(EJ第4357号)

 ここまで共和党を中心に述べてきましたが、民主党の予備選の
勝敗についても見て行くことにします。予備選の行われる洲の順
位は共和党のそれとは若干異なりますが、2016年2月1日の
アイオワ洲から、3月26日のワシントン州までの35洲の勝敗
を次に示します。
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  C/アイオア          C/ルイジアナ
  S/ニューハンプシャー     S/ネブラスカ
  C/ネバダ           S/メイン
  C/サウスカロライナ      S/ミシガン
  C/アラバマ          C/ミシシッピ
  C/サモア           C/北マリアナ諸島
  C/アーカンソー        C/フロリダ
  S/コロラド          C/イリノイ
  C/ジョージア         C/ミズーリ
  C/マサチューセッツ      C/ノースカロライナ
  S/ミネソタ          C/オハイオ
  S/オクラホマ         C/アリゾナ
  C/テネシー          S/アイダホ
  C/テキサス          S/ユタ
  S/バーモント         S/アラスカ
  C/バージニア         S/ハワイ
  S/アブロード         S/ワシントン
  S/カンザス  勝利者:C=クリントン/S=サンダーズ
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 この35洲でクリントン候補が勝利した洲は20洲、サンダー
ズ候補は15洲であり、クリントン氏の抜群の知名度を考えると
サンダーズ氏は大善戦であったということができます。クリント
ン氏の勝率は57・1%です。もっとも獲得代議員の数では、ク
リントン氏は圧倒的な数を獲得していますが、それは選挙制度の
仕組みによるもので、各州の真の民意を必ずしも反映したもので
はないといえます。
 ところで、バーニー・サンダーズ氏とは何者でしょうか。なぜ
ここまでクリントン氏が善戦できたのでしょうか。
 サンダーズ氏について知るには、ブッシュ政権の第2期に起き
た「ハワード・ディーン旋風」について知る必要があります。今
回の予備選でサンダーズ氏を支えた左派の水脈がディーン旋風と
深い関わりがあるからです。
 クリントン政権も2期目になると、議会で共和党が躍進し、民
主党が劣勢になります。これによって民主党のリベラルな政策が
実現困難になり、共和党の新自由主義的政策が幅をきかすように
なります。そのような情勢で迎えた2004年の大統領選挙で、
ディーン旋風は起きたのです
 ハワード・ディーン氏は、奇しくもバーニー・サンダーズと同
じ、バーモント洲出身の議員です。バーモント州の下院議員から
バーモント州知事を務め、意を決して2004年の大統領選挙に
出馬します。
 バーモント州の知事に過ぎないディーン氏は無名であり、はじ
めは泡沫候補扱いにされます。しかし、ブッシュ政権のイラクへ
の関わりに懐疑的な姿勢を示し、イラク戦争に反対することを宣
言すると、反戦候補としてにわかに注目を集め、2003年秋ま
でに各種世論調査でトップに立ち、民主党の最有力大統領候補と
して注目を浴びるようになったのです。
 9・11以後、米国の大勢が「イラク戦争やむなし」という風
潮に傾くなかにあって、彼はインターネットを駆使して戦争反対
を強く訴えたのです。そして共和党寄りの政策に傾く当時の民主
党主流派を「本来の民主党はどこに行ったのか」と正面切って批
判し、多くの若者の支持を得ます。そのとき彼が掲げたスローガ
ンは次の通りです。
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  We are the democratic wing of the democratic party.
           我こそが民主党のなかの民主党である
                  ──会田弘継著/左右社
  『トランプ現象とアメリカ保守思想/崩れ落ちる理想国家』
─────────────────────────────
 当時選挙にインターネットを使って政策を訴えることは、あま
り行われておらず、ディーン氏の選挙戦術は新鮮なものに映り、
多くの若者の支持を獲得するにいたるのです。
 しかし、予備選ではなぜか支持があまり広がらず、途中で失速
してしまったのですが、そのネットによる草の根選挙運動を支え
たグループは生き残り、次の大統領であるオバマ氏の選挙運動を
支えるにいたるのです。
 バーニー・サンダーズ氏について学習院女子大学長の石澤靖治
氏は、実際に予備選が始まる前に次のような予測をしています。
そして実際に予測の通り、サンダース氏はニューハンプシャー洲
の予備選に勝利するのです。
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 衆目の一致する「正統派」の候補者を現時点で脅かしているの
が、民主党ではバーニー・サンダース上院議員、共和党では実業
家のドナルド・トランプ氏である。両人が異色であるというのは
次のような点からである。サンダース氏は無所属だが、上院で民
主党の会派に所属している。無所属であることも珍しいが、それ
以上に目立つのは資本主義の大本山のアメリカにあって、同氏は
自分自身を「社会主義者だ」と明言している点である。そんな極
端さから最初は泡沫候補とみられていたが、最近行われた世論調
査の一つには、最初に予備選挙が行われるニューハンプシャー州
で本命のクリントン氏に肩を並べるものも出てきた。
                   http://bit.ly/2caWxgo
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            ──[孤立主義化する米国/042]

≪画像および関連情報≫
 ●ニューハンプシャー州はどうなるか/2016年予備選
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   予備選の結果はどうなっても衝撃的な結果になるだろう。
  ニューハンプシャー州の有権者の4割近くは、まだ投票する
  候補者を決めていないという。それ以上に、彼らは州の「ブ
  ランド」、つまり予備選の結果が、彼らの予想もしない行動
  で大きく左右されるということを十分わかっている。有権者
  の行動は、今回も予測できないだろう。
   しかし2月9日夜の前に、ニューハンプシャー州の予備選
  と今後のことについて、すでにわかっていることがいくつか
  ある。民主党のヒラリー・クリントン陣営は、アイオワ州以
  上の大量のスタッフをニューハンプシャー州に送り込んでい
  る。州のほぼ全域で猛攻をかけていて、バーニー・サンダー
  スの陣営も驚くほどだ。その大攻勢は、これからのクリント
  ン氏の戦いを象徴するものだ。指名争いはおそらく、資金潤
  沢なサンダース氏との長く苦しい戦いとなる。
   クリントン氏はおそらく、大勢の「特別代議員」に頼るだ
  ろう。いや、確実に頼らざるをえなくなる。特別代議員は多
  くが党の要職にあり、予備選や党員集会の結果に縛られず、
  7月の全国党大会で投票する権利を持つ。バラク・オバマ氏
  にあと僅かのところで敗れた2008年にもクリントン氏は
  そうしようとしたが、「アフリカ系初の2大政党の大統領候
  補」へ大きな追い風を受けていたオバマ氏に、真っ向から挑
  んでも勝算はなかった。今回、クリントン氏にためらいはな
  いだろう。           http://huff.to/2ce2nfd
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2004年大統領選を戦うディーン氏.jpg
2004年大統領選を戦うディーン氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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