係する次の新刊書を上梓されています。
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副島隆彦著
『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
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本書の第1章は「トランプ大統領の誕生」となっており、次の
記述があります。ここで、副島隆彦氏は「トランプが次の米国大
統領になる」といい切っています。
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2016年5月3日、共和党のインディアナ州予備選でトラン
プが勝った。当日、競争者のテッド・クルーズ候補(テキサス州
上院議員)が選挙戦から撤退した。これで、トランプの勝ちが決
まった。
このあと5月12日にトランプは、アメリカの共和党の実力者
で下院議長のポール・ライアン(若い。46歳)と話をつけた。
これでトランプは共和党の大統領候補指名を確実にした。ポール
・ライアンと何を話したか。「私たちの間には今もいくつかの相
違点がある。しかし、大きいところでは意思一致(合意)」でき
た」と互いに承認し合った。これは「トランプ=ライアン・ステ
ートメント(宣言)」と呼ばれるべきものだ。共和党本部がトラ
ンプに折れたのだ。
どうやら、ここでドナルド・トランプが、次のアメリカ大統領
になる流れが生まれた。そして私は5月22日に「トランプが大
統領になる」と決断した。自分なりに10日間真剣に考え込んだ
あとでの結論だった。 ──副島隆彦著の前掲書より
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この本の第1刷は2016年7月10日であり、この段階で、
「トランプが次の米国の大統領になる」という予測(予言)を出
すのは、実に大胆であるといえます。
副島氏がいかなる根拠でそのように決断したかについては、本
書に詳しく書かれているのですが、そのなかでもっとも重要な意
味を持つのが、5月18日にトランプ氏がニューヨーク在住の元
米国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏を自ら訪問したことで
す。そのときのユーチューブの映像があるのでごらんください。
時間は約46秒です。
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◎トランプ大統領候補、キッシンジャー元国務長官と会談
http://bit.ly/2bj8AI4
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なぜ、キッシンジャー元国務長官に会うことが重要なのでしょ
うか。キッシンジャー氏は現在93歳ですが、今もなお外交官と
して現役なのです。かたちのうえだけとはいえ、シリア停戦が実
現したのは、キッシンジャー氏がモスクワにプーチン大統領を訪
ねて水面下で根回しして実現させたのです。
そういうわけで、キッシンジャー氏に会って外交面での教えを
受けるのは、共和党の大統領候補にとって避けられない通過儀礼
になっているともいわれます。
もうひとつ、トランプ氏がキッシンジャー氏に会ったのは、自
分の大統領としての資質に懐疑的な共和党の雰囲気を変え、共和
党の主流との関係を友好的にする目的もあるとみられます。それ
に、トランプ氏はその発言から、外交問題についてはネックがあ
り、3月2日には、外交の専門家が100名が連名で、「トラン
プ氏は大統領に相応しくない」として抗議声明を出しています。
キッシンジャー氏に会ったのは、そういう声明に応えるためでも
あるともいえるのです。
しかし、副島氏によると、トランプ氏がキッシンジャーに会っ
た真の狙いは、デイヴィッド・ロックフェラー氏(現在101歳
で健在)に何らかのわたりをつけるためであるというのです。副
島氏は次のように述べています。
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このデイヴイッド・ロックフェラーが、まさしく実質の世界
皇帝≠ナあり、ダビデ大王″である。そしてキッシンジャーは
その最高位の直臣である。キッシンジャーと同格の重臣は、ポー
ル・ボルカー(88歳。金融・経済問題の担当。80年代、レー
ガン政権のFRB議長を務めた)である。この事実を理解せず、
認めようとしない者は、事情通であれば日本にはもうあまりいな
いだろう。 ──副島隆彦著の前掲書より
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なぜ、大統領になるのに、デイヴイッド・ロックフェラーへの
接触が必要なのでしょうか。
ロックフェラーグループは、自らの事業のために大統領選には
深く関わっています。今回の大統領選ではジェフ・ブッシュ大統
領だけはどうしても阻止したかったのです。これについての副島
国家戦略研究所研究員の中田安彦氏のコメントです。
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私の独断だが、トランプ候補が成し遂げたのは、「ブッシュ王
朝の阻止」と「クリントン王朝への挑戦」だと思っている。ブッ
シュ前政権には対外拡張主義のネオコン派が幅を利かせた。反ト
ランプのネオコン派は、クリントンへの期待を述べ始めたところ
だ。しかし、反クリントン王朝というのはいまや共和党を団結さ
せる唯一のスローガンだ。アメリカは国王のいない共和国であっ
て世襲王朝ではない、というのが彼らの建前だ。そもそも、ネオ
コン派の外交政策の暴走がアメリカの衰退を早めた。これはオバ
マ大統領も示す認識だ。ネオコン派は米国の二大政党制の真ん中
に存在する「コウモリ」(党派性をはっきりさせない)のような
集団で、レーガン政権のソ連打倒の戦略を実施したものの、イラ
ク戦争でその知的傲慢さを露呈した。 http://bit.ly/2butHFr
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──[孤立主義化する米国/027]
≪画像および関連情報≫
●トランプ氏の日本嫌いはどこに起因するのか
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「不動産王」として売り出し中だったドナルド・トランプ
氏の政治的野心はこの頃芽生えたのかもしれない。1987
年、ニューヨーク・タイムズなど有力紙に、意見広告を載せ
て、政府を批判した。
▼「日本やサウジアラビアのような金持ちの同盟国に、防衛
負担をさせない外交政策は軟弱だ」。マスコミは、「未来の
キッシンジャー(元国務長官)にでもなるつもりか」と冷や
かしたものだ。今や国務長官どころか、米大統領選で共和党
候補指名を確実にしている。
▼意見広告の2年後、三菱地所が、ニューヨークの象徴でも
あるロックフェラーセンターを買収する。トランプ氏は日本
非難の急先鋒となった。「私の事務所に来た日本人が、いき
なり室内をカメラで撮り始めた。無礼を大目に見ていたらい
きなり切り出してきた。『アイ・ウオント・プロパティー!
アイ・ハブ・マネー!』(不動産が欲しい。お金はある)」
当時、得意にしていたジョークである。
▼先頃ネブラスカ州で開かれた政治集会では、日本の牛肉関
税にかみついた。日本が米国に輸出する自動車にも高関税を
かけるべきだと言うのだ。この主張も80年代から、まった
く変わらない。当初は、移民やイスラム教徒をめぐる暴言が
注目された。実は「日本たたき」の方がずっと、年季が入っ
ている。 http://bit.ly/2bjo7IT
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ヘンリー・キッシンジャー氏