トン候補がトランプ候補を大きくリードしています。しかし、当
然のことながら、支持率が大統領を決めるわけではないのです。
実際には、洲ごとに割り当てられている大統領選挙人538人の
過半数の270人を獲得した候補者が勝利者になります。538
という数は、上院議員と下院議員の数と同数とされています。
といっても上下両院議員の数は正確には535人ですが、上下
両院議員のいないワシントンD.C.に大統領選挙人を3人を割り
当てているので、538人になります。
仕組みとしては、有権者は大統領選挙人(以下、選挙人)を選
ぶ間接選挙のスタイルになっているのですが、実際には有権者は
各州ごとに共和党のトランプ氏か、民主党のクリントン氏かのど
ちらかを選ぶ直接選挙と変わらないのです。
どうしてこのような間接選挙のスタイルをとっているのかとい
うと、建国当時にできた制度が、現在まで引き継がれているから
です。当時は、全米で一斉に選挙をすることは困難であり、また
一般の有権者は政界の事情に疎い人も多く、誰が大統領に相応し
いかの判断は選挙人に任せた方がよいという考え方によって「選
挙人を選ぶ」というスタイルになったのです。
それにしてもトランプ氏は、クリントン氏に支持率でこれほど
の差をつけられているのに、なぜ、自殺行為ともいうべき暴言を
重ねるのでしょうか。
2016年8月3日の米3大ネットワーク(CBS、NBC、
ABC)の夜のニュースは、トランプ氏のわがままぶりに、トラ
ンプ陣営のポール・マナフォート選対最高責任者はお手上げの状
態になっていると報道し、ロサンゼルス・タイムスも、次のよう
なショッキングな記事を掲載しています。
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共和党指導者たちは、トランプ陣営のスタッフがトランプ氏を
コントロールできなくなっていることに苛立っている。トランプ
氏が突如、共和党大統領候補をやめてしまった場合の対処策につ
いてすら協議し始めているという。共和党指導部の幹部の一人は
万が一、トランプ氏が辞めた場合、その空席をどう埋めるかにつ
いて弁護士が法律面から研究調査していると語っている。
http://nkbp.jp/2bjoQG3
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最近メディアには、トランプ氏について、真偽はともかくいろ
いろ陰謀論めいた記事が頻出しています。わざと暴言を吐いて自
分を追い込み、途中で大統領選を降りてしまうのではないかとか
あれほどクリントン氏を罵倒しながら、実はクリントン氏とは話
がついているのではないかというような類の話です。
実はトランプ氏はオバマ政権がスタートした2009年までは
民主党員であり、クリントン一家とはとても親しかったのです。
その証拠に、トランプ氏は2005年に行われた現夫人のメラニ
ア氏との結婚式にクリントン夫妻を招待しているのです。
それでいて、予備選挙を戦っているとき、トランプ氏は、クリ
ントン氏のことを次のように罵倒しています。
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◎ヒラリー・クリントンは、アメリカの歴史上最悪の国務長官で
あった。──2015年7月8日、NBCニュースにおけるイ
ンタビューでの発言
◎彼女(ヒラリー)が今持っている唯一のカードは、「女性」の
カードである。他に何もない。率直に言って、もしヒラリーが
男性であれば、票の5%も得ることはできないと思う。今彼女
のために有利に働いているのは女性票だけだ。すばらしいこと
は女性はヒラリーのことを好きではないということだ。わかっ
たか。 ──2016年4月26日の記者会見での発言
──開高一希著
『アメリカはなぜトランプを選んだか』/文藝春秋
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こういう考え方とはまったく違う意見もあります。現在、トラ
ンプ氏の暴言にまゆをひそめているのは、いわゆる高学歴のイン
テリ層であり、これに対してトランプ氏を支持しているのは、米
国のミドルとは呼べない下層国民であるというのです。この層の
人々はトランプ氏の発言を熱烈に支持しており、これまでの彼の
数々の暴言も肯定的に受け入れているといいます。
実際に2016年2月23日、ネバダ洲での演説においてトラ
ンプ氏は次のように述べています。
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私は低学歴の人たちが好きだ。
I like people with lower educations.
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このトランプ氏の発言について副島隆彦氏は「これは極めつけ
の正直な言論である」と評価し、次のように述べています。実際
にこの発言をしたとき、党員集会に来ていた数千人の聴衆は、割
れんばかりの歓声と拍手を送ったといいます。
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自分たちの指導者になる者が、本気で、体を張って本音の言論
をやってみせると、大衆はそれに応える。それが「あなたを支持
するよ、応援するよ」ということだ。本場の大阪漫才(吉本興業
の難波花月劇場)でも、最高級の芸を極めた漫才師は、「あんた
らアホなお客がいてくれるからワシの漫才が冴えるんや」という
観客罵倒芸をやる。客はゲラゲラと笑う。
アメリカの大衆・庶民の感情の勘どころを、しつかりと自分の
アメリカ・テレビ出演漫才芸で40年間も(30歳の頃からもう
40年)みっちり自分の体で仕込んできたドナルド・トランプに
勝てる者はいない。 ──副島隆彦著
『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
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──[孤立主義化する米国/026]
≪画像および関連情報≫
●2016年8月13日のアーカイブ/柏の住人
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トランプは共和党全国大会で大統領候補の指名を受ければ
言動を変えるのではと思っていましたが、そうはならないよ
うです。人口比で見て白人男性だけの支持では大統領選には
勝てません。高濱氏の記事にありますように、トランプは単
なる人格障害か、クリントンを勝たすためにわざと共和党大
統領候補に立候補したのかもしれません。日高義樹氏に以前
聞いたところによれば、「米国で一番尊敬されるのは軍人」
とのことでした。トランプも当然そのことを知っている筈で
す。それでいて暴言を吐けば、どういう結果を齎すか分かっ
ていると思います。だから人格障害と言われる訳です。レー
ガンの再来を期待しましたが、レーガンのように他人の話を
よく聞く耳は持ち合わせていないようです。クリントンは大
統領に相応しくないと思っていましたので、トランプの方が
マシと思って期待していたのですが、今のままでは彼も大統
領になる資格はないでしょう。両人を大統領候補としてしか
選べない所に、米国民の不幸があります。
クリントンが勝てば、中国との不正な金を貰っていた経緯
から、中国に厳しい態度は取れないと思います。中国系米人
ノーマン・シューによる違法献金事件だけでなく、北野幸伯
氏のメルマガによればインドネシア華僑のリッポ・グループ
から違法献金を受け、ビルが大統領に選ばれたと書かれてい
ます。元記事は、伊藤貫氏の『中国の核が世界を制す』です
が。如何に悪辣な人間かが分かろうというもの。野心の為に
は手段を選ばず、汚い金塗れの人物です。
http://bit.ly/2bblRPC
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暴論続発のトランプ共和党候補