れた参院予算委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が鳩山首相と
平野官房長官に対して朝鮮戦争について質問したのです。その模
様を産経フジニュースは次のように伝えています。
─────────────────────────────
鳩山由紀夫首相と平野博文官房長官は5日の参院予算委員会で
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)が、休戦状態にある朝鮮戦
争の再発に備え日本にある国連軍の指定基地であるのを知らない
という失態を演じた。普天間移設には国連軍の扱いも必要だが、
国連重視を唱える政権にもかかわらず、首相と平野氏の念頭には
なかったことになる。
質問したのは、陸上自衛隊のイラク先遣隊長だった「ひげの佐
藤」こと佐藤正久参院議員(自民)で「そこも分からずに移設を
うんぬんするのはおかしい」とあきれ顔だった。
日本には国連軍地位協定に基づき国連軍の軍人がいて司令部も
存在するが、平野氏は「国連軍の形でいるか分からないが、神奈
川県米軍キャンプ座間に、国連軍の旗を掲揚している」「正規の
国連軍は日本に駐留したことはない」と迷答弁。佐藤氏が「7ヶ
所あるうちの一つが普天間だと知っていたか」と質すと、首相は
「教えていただいたことに感謝する」と、初耳だと認めるしかな
かった。 ──2010年3月5日付、産経フジニュース
─────────────────────────────
はじめての政権奪取とはいえ鳩山元首相は、日本の総理がシビ
リアン・コントロールにおいて、有事には自衛隊の頂点に立つ最
高司令官であることを知らなかったのです。これについては次の
菅元首相も知らなかったといいます。誠にお粗末な話です。
「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」に基づ
いて、在日米軍施設と併設する形で「国連軍後方司令部」が横田
基地に置かれています。在日米軍基地のうち、次の7ヶ所が協定
に基づく国連軍施設に指定されているのです。
─────────────────────────────
1. キャンプ座間 5. 嘉手納飛行場
2.横須賀海軍基地 6. 普天間飛行場
3.佐世保海軍基地 7.ホワイトビーチ地区
4. 横田飛行場 (沖縄市うるま市)
─────────────────────────────
2014年現在の後方司令部の構成国は、米国、英国、フラン
ス、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、韓
国、トルコの9ヶ国です。
これは何を意味しているのかというと、朝鮮戦争に関しては、
ソ連(ロシア)、中国を除く「3人の世界の警察官体制」が今も
続いていることになります。
世界の警察官といわれる以上、世界平和と安全を守る責任があ
るはずです。そのために国連の常任理事国の地位が与えられてい
るのです。しかし、その常任理事国の一国であるソ連が、北朝鮮
をそそのかし、侵略戦争に踏み切らせたことは、明らかな国連憲
章の違反であるといえます。
その朝鮮戦争は現在も続いているのです。終わっていないので
す。それにもかかわらず、ソ連はロシアへの体制変換があったと
はいえ、そのまま常任理事国を引き継いでいます。なぜ、それが
認められたのでしょうか。
確かにロシアは、ソ連の構成国の中でも人口・軍事・経済的に
主要な位置にあったことと、ソ連が有していた国際的な条約や関
係を継承することを約束したことによって、国連は現在のロシア
をソ連の後継政権と認めたのです。しかし、北朝鮮問題について
ソ連のとった国連憲章違反については不問とされています。これ
はおかしな話です。国連憲章に違反した国が依然として常任理事
国を続けているからです。
もうひとつ安保理の常任理事国については疑問があります。そ
れは、5人の世界の警察官のうちの1つであるはずの中華民国が
なぜ中華人民共和国になったのかです。
これは「アルバニア決議」として採択された国連総会2758
号決議に関係するのです。この決議の提案国が、中華人民共和国
(現在の中国)の友好国であるアルバニアであるところから「ア
ルバニア決議」といわれるのです。正確には次のようにいわれて
います。1971年10月25日に採択された決議です。
─────────────────────────────
≪国連総会2758号決議≫
国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復
─────────────────────────────
これはどういう意味でしょうか。
この決議の名称にはおかしなことがあります。中華人民共和国
の建国は1949年であり、国連の設立後のことです。したがっ
て、中華人民共和国が国連の加盟国であったことはないのです。
したがって、「中華人民共和国の合法的権利の『回復』」という
のはおかしな表現です。加盟国でない中華人民共和国が権利を回
復するはずはなく、それをいうなら「合法的権利の『取得』」と
いうべきです。そこに何があったのでしょうか。
アルバニア決議の賛否については、添付ファイルにしてありま
すが、賛否の状況は正確には次の通りです。
─────────────────────────────
賛成(中共派) 76ヶ国/ソ連、英、仏、ヨーロッパなど
反対(台湾派) 35ヶ国/ 米、日、オーストラリアなど
棄権 17ヶ国
無投票 3ヶ国
─────────────────────────────
実は、現在でも、国連憲章には中華民国(台湾)が常任理事国
になっています。その事実は意外と知られていないのです。これ
については、明日のEJでさらに追及することにします。
──[孤立主義化する米国/012]
≪画像および関連情報≫
●「大陸と台湾」はOK、でも「中国と台湾」はノー
───────────────────────────
2011年6月中旬、筆者は、生まれて初めて台湾を訪れ
た。上海浦東空港を離陸し、2時間弱で台北桃園空港へと着
陸した。案外近いものだ。飛行機の座席から窓の外をのぞく
と、緑がいっぱい見えた。他の乗客たちと一緒に流れに乗っ
て、入国審査へと進んだ。日本を含めた他の国と同様、本国
人と外国人は別れて入国するルールとなっていた。本国人は
少なかった。列に並ぶこともなく、スムーズに審査を受け、
入国していく。そんな光景を筆者は羨ましくながめていた。
外国人は長い列に並ばなければならなかった。それだけ外国
からの訪問客が多いということであろう。筆者がよく入国す
る日本、中国、香港などもそうだ。台湾が特別なわけではな
い。外国人の入国には色々と手間がかかるものだ。
列に並びながら周りを見渡すと、中国からの訪問客が圧倒
的に多いことに気づいた。ほとんどが団体ツアー客だ。相変
わらず「大陸仕込み」の大声で隣の人と話をしたり、「列が
長すぎる」と愚痴をこぼしたりしている。列に割り込んでく
る男性も居た。一緒に並んでいた日本人や欧米人が、何とも
言えない不可解な表情で、その光景を眺めているのが印象的
だった。20分くらいは並びそうだ。読書をしながら辛抱強
く待とうと決断し、かばんから1冊の本を取り出した。と、
その矢先、隣の隣に並んでいた中国人観光客が突如大声で騒
ぎ出した。「中華民国って何だよ!ここは中華人民共和国台
湾省じゃないのか!」 http://nkbp.jp/2al77lt
───────────────────────────
アルバニア決議賛否状況