2016年06月16日

●「ロシア空爆でイスラム国は壊滅か」(EJ第4299号)

 米国はイラクをどのようにしようとしているのでしょうか。
 米軍がイスラム国と戦うフリをして、イスラム国を支援してい
るのではないかという強い疑念がイラク政府にはあり、イランに
頼ろうとしているように見えます。
 イラクには、シーア派、スンニ派、クルド人の3つの勢力があ
ります。現在のイラク政府はシーア派主導の政府です。米国には
軍事支援を正式な国というか政府にしかできないという法律上の
決まりがあります。
 つまり、イラクの3勢力にそれぞれ兵器や資金を支援する場合
支援はイラク政府にしかできないので、イラク政府に渡して、分
配してもらうことになります。しかし、これら3派はそれぞれ仲
が悪いので、イラク政府は、米国にもらった兵器や資金をスンニ
派やクルド人には渡さないのです。これは当然のことであるとい
えます。敵に回る可能性の高い勢力に兵器などを渡せば、敵に塩
を送ることになるからです。
 そこで米国はシーア派、スンニ派、クルド人の3勢力を「国」
とみなして、それぞれに軍事支援ができるよう検討しているので
す。しかし、これについては、イラク政府やシーア派民兵団が猛
反発しいるといわれます。
 なぜなら、このイラク3分割案──シーア派、スンニ派、クル
ド人は、イスラエルが熱望している構想です。それぞれの勢力に
兵器や資金が渡ると、もともと仲が悪いので、内戦が激しくなる
ことが考えられます。それは、イスラエルにとって大変都合が良
いことなのです。この作戦は次のように呼ばれています。
─────────────────────────────
       3分割によるイラク弱体化・内戦化
─────────────────────────────
 正式に国と認められている勢力にしか軍事支援できないという
米国の法律では、リビアのベンガジでの反政府勢力への兵器供与
などは明らかに違法になります。もし、ヒラリー・クリントン氏
がこれに関わっていたとすると、明らかに法を冒していることに
なります。しかし、米国はシリアにおいても反政府勢力を支援し
ているので、これも違法になります。
 問題は、米国のイスラム国に対する対応です。表面的には、イ
スラム国は米国にとって敵対勢力です。何人もの米兵が殺されて
います。そのため、米国をはじめとする有志連合の各国は、空爆
を繰り返しています。
 しかし、有志連合各国は空爆はしているものの、とくに米国の
場合、出撃はしても、約半分は攻撃しないで戻ってきているので
す。米国が本気でやっているとはとても思えないのです。だから
イスラム国は依然として生き残っています。
 「空爆などいくらやっても、地上軍が出ないとイスラム国は潰
せない」ということがよくいわれます。しかし、戦地には最前線
には出ないものの、地上軍の支援のため、相当の数の米軍が軍事
顧問団として出陣しているのです。
 とくにイラク政府軍は相当の勢力になっています。その軍隊に
最新鋭の兵器と弾薬を与え、それを世界一の戦闘組織である米軍
が実戦指導をしているのですから、弱いはずがないのです。それ
に有志連合各国の空爆が加わるのです。それでもイスラム国に勝
てないとは奇怪な話です。
 しかし、イスラム国は現在、明らかに弱体化しつつあります。
どうして弱体化したのでしょうか。
 それは、ロシアのイスラム国への空爆がきっかけになったので
す。なぜなら、ロシアは米国などの空爆と違って、凄まじい空爆
を繰り広げたからです。2015年9月28日のことです。
 「マネーボイス」というサイトでは、その模様について次のよ
うに書いています。
─────────────────────────────
 ロシア軍参謀本部によると、今回の空爆で「イスラム国」はパ
ニックに陥っており、すでに600人の戦闘員が攻撃を避け、ヨ
ーロッパに逃れたとしている。
 また、「イスラム国」のほか、「アル・ヌスラ戦線」「ジェイ
シュ・アル・ヤルムーク」のなどのテロ組織の戦闘員3000人
以上が、シリア政府軍の攻撃とロシア空軍の空爆を恐れて、シリ
アからヨルダンへ逃げたと伝えられている。
 さらに、10月7日にはカスピ海からロシア海軍の4つの艦艇
から26発の巡航ミサイルがシリアに向けて発射され、ロシア空
軍のみならず海軍も「イスラム国」撃滅の作戦に参加した。
 ちなみに巡航ミサイルはイランとイラク上空を通過してシリア
に着弾するため、両国の空域上空を飛ぶ許可が必要となる。イラ
ンとイラクはロシアにこの許可を与えていた。
                   http://bit.ly/1UyxgHL
─────────────────────────────
 このロシアの空爆に関して米国は困惑しています。米軍の空爆
と比較してあまりにも大きな差が出ているからです。ロシアの爆
撃について、米国は次のようにロシアを批判しています。
─────────────────────────────
 ロシアの空爆は「イスラム国」の拠点を外しており、アメリカ
が支援しているイスラム原理主義ではない反政府勢力の「自由シ
リア軍」や、多くの民間人が犠牲になっている。
                   http://bit.ly/1UtXW0p
─────────────────────────────
 しかし、きわめてこの反論は不可解です。ここでいう「自由シ
リア軍」は、米国が支援しているとされていますが、既に実態は
なく、ほとんどはイスラム国に寝返り、現在は組織としては存在
していないといっても過言ではないのです。
 これらの米国のウソや矛盾をロシアのイスラム国への本気の空
爆が暴いたというかたちになっています。それほどロシアの空爆
は、すさまじいものであったのです。
            ──[現代は陰謀論の時代/112]

≪画像および関連情報≫
 ●ロシアのシリア空爆/BBCニュースジャパン
  ───────────────────────────
   国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、
  2015年12月23日、9月末からのロシアによるシリア
  空爆で少なくとも市民200人が死亡したという報告書を発
  表した。目撃者や支援団体の証言にもとづく内容という。
   アムネスティ・インターナショナルは報告書で、ロシアが
  シリア空爆を開始した9月30日から11月29日の間にロ
  シアの空爆を合計25回以上受けた5ヶ所について「遠隔か
  ら調査」したところ、「国際人道法の尊重が著しく欠落して
  いる」ことが示唆されたと指摘している。
   アムネスティによると、ホムス、ハマ、イドリブ、ラタキ
  ア、アレッポの各地で「爆撃とその後の状況を目撃した16
  人から、電話やインターネットで、聞き取り調査した」とい
  う。調査した中には医師や人権活動家も含まれる。さらに、
  空爆に関連する「音声や動画を入手・調査し」、「兵器専門
  家の助言を得て」報告書をまとめたと説明している。
   ロシア政府は繰り返し、そうした批判は「情報戦」の一環
  だとして、民間人に被害は出していないと主張している。ま
  たシリア空爆は、アサド大統領の要請を受けてのものだと説
  明している。一方で、反政府勢力や欧米諸国からは、過激派
  勢力「イスラム国」(IS)ではなくむしろ反政府勢力を標
  的にしていると批判されている。  http://bbc.in/22q3DPZ
  ───────────────────────────

ロシアによるイスラム国空爆.jpg
ロシアによるイスラム国空爆
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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