2016年05月30日

●「ヒラリー・クリントンの重大疑惑」(EJ第4286号)

 2016年5月27日付、日本経済新聞の第7面に次の比較的
大きな記事が掲載されたのです。
─────────────────────────────
    メール問題、本選に暗雲/FBI、近く事情聴取
     ──「クリントン氏は違反」国務省報告──
─────────────────────────────
 しかし、この記事のなかには、クリントン氏は国務長官在籍時
代に自宅に設置したサーバーを通じて公務に私用メールを使って
いたと書いてあるだけで、何の目的で私用メールを使ったのかに
ついては何も触れていないのです。
 クリントン氏は、公務のすべてを私用メールで通したわけでは
なく、その一部において使っただけです。その一部というのは、
ベンガジ事件での現地とのやりとりです。公電が使えないから私
用メールを使わざるを得なかったのです。このことをなぜか日本
の新聞は書いていません。だから、多くの日本人は、私用メール
問題がなぜそれほど悪いことなのかわからないと思います。
 実は、2013年に米議会の調査委員会は、公聴会を開き、ク
リントン氏を喚問しています。このとき、共和党議員の執拗な質
問にクリントン氏はかなり感情的になり、そのイメージを大きく
落としています。
 2015年10月22日に米議会の調査委員会は、再び公聴会
を開き、クリントン氏を喚問しています。このときのクリントン
氏の対応について、米ニュージャージー州在住の作家兼ジャーナ
リスト冷泉彰彦氏は、「ヒラリーは共和党を蹴散らし、喚問に勝
利した」として、次のように伝えています。
─────────────────────────────
 何よりも成功していたのは、感情のコントロールを完璧に行っ
たことでしょう。相手が怒りを見せて追及をしてくると、反対に
微笑みを浮かべて相手の怒りを受け止める一方で、答弁に関して
はひたすら慎重かつ低姿勢で一切スキを見せなかったのです。
 その上で、ヒラリー氏は「今回のスチーブンス大使以下の死の
責任は自分にある」とハッキリ述べ、「自分はこの一件に関して
は、この場にいる全部の人間を合計したよりもずっと長い時間、
眠れない夜を過ごした」という言い方で、当事者意識を明確にし
つつパーソナルな責任感も表明したのです。これは効きました。
 もちろん、共和党の中にはまだまだ「アンチ・ヒラリー」は多
いわけですが、これで民主党支持層と中道層の相当な部分につい
ては、「メールサーバ疑惑」以来、彼女に抱かれていた疑念は解
消されたと見ていいでしょう。     http://bit.ly/1TMeb8J
─────────────────────────────
 冷泉彰彦氏のコメントは、民主党の意見を代弁しているように
思います。公聴会は11時間に及んだのですが、クリントン氏は
デモの原因はあくまで「イスラム批判ビデオ」にあるといい、真
相は何ひとつ明らかにしていないのです。
 その時点では、ベンガジ米領事館への襲撃は、事前に道路を封
鎖して逃げ道をふさぎ、13時間もかけて何波にもわたる攻撃を
繰り返すなど、明らかに訓練された軍隊の攻撃そのものであるこ
とがわかっていたにもかかわらず、クリントン氏はあくまでデモ
隊の攻撃であるといい張ったのです。
 この公聴会では真相が明らかになるどころか、かえって疑惑は
深まったといえます。それらの疑惑をピックアップします。
 公聴会では、なぜスティーブンス大使を治安がよくないベンガ
ジの領事館に行かせたのかとクリントン氏に糾しています。英国
は治安上の理由でベンガジ領事館を撤退していたからです。
 これに対してクリントン氏は、「それは大使の個人的判断であ
る」と突き放しています。さらになぜ十分時間があったのに領事
館に救援を出さなかったのかという質問に対してクリントン氏は
「それは国防総省やCIAのやることであって国務省の仕事では
ない」といい張ったのです。
 このクリントン氏のこのいい分は、大使ら4人を見殺しにした
責任を国防総省に転換しています。まるで現代版アラモの砦のよ
うです。それなら、スティーブンス大使の再三にわたる警備増強
の要請を国務省はなぜ却下したのでしょうか。これは明らかに当
時のクリントン国務長官の責任です。
 さらに、この公聴会でクリントン氏は、意外なことを口にして
いるのです。それは、次の発言です。
─────────────────────────────
 私は一度もスティーブンス大使とは直接メールのやり取りを
 していない。        ──ヒラリー・クリントン氏
─────────────────────────────
 これはどういう意味でしょうか。未確認情報ですが、あるサイ
トに次のような情報が出ています。
─────────────────────────────
 リビア大使館は2011年に7500通以上のメールを国務省
に送っていたが、2012年のメールは65通しかない。これは
メールがないのではなく、国務省がメールを隠蔽し発表していな
いと思われる。
 ヒラリーは一度もスティーブン大使とメール交信をしなかった
と主張している。その代りヒラリーは政府役員でないブルーメン
ソールをリビアに派遣し、600通以上のメール交信があった。
ブルーメンソールはオバマに批判的なので、オバマが彼の政府雇
用を拒否した。にも拘らずヒラリーは彼をリビアに派遣した。な
ぜスティーブン大使を使わずブルーメンソールを使ったのか説明
はなかった。             http://bit.ly/22r8mQ6
─────────────────────────────
 クリントン氏がスティーブンス大使ではなく、腹心のブルーメ
ンソールなる人物と私的アドレスで情報をやり取りしたのでしょ
うか。それにしてもリビアの時の政府を倒す計画にクリントン氏
が深く加担していたとすると、これは大変なスキャンダルになる
と思います。      ──[現代は陰謀論の時代/099]

≪画像および関連情報≫
 ●ベンガジ事件とヒラリー/私はあきらめない
  ───────────────────────────
   民主党は11時間にも及ぶ共和党のヒラリー・クリントン
  尋問を乗り切ったと勝利宣言していますが、ベンカジ事件の
  真相は解明されませんでした。アメリカ・リビア故スティー
  ブン大使が身の危険を感じ本国に警護を重ねて要請したにも
  かかわらず、警護してもらえなかった。さらに襲撃されたの
  ちに13時間も放置し救援隊も派遣しなかった。日本では考
  えられない行動です。
   PKOで日本が米国に警護を要請し、放置されれば自衛隊
  は戦闘状態に突入です。米国は自国利益優先で常に援護して
  もらえると考える方がおかしいでしょう。今回の大使殺害が
  下記のような憶測通りだとすれば大問題ですし、その為に私
  メールを使っていたとすれば、大統領の資質に関わってきま
  す。証拠が一つでも出てくればアウト。乗り切ったと早合点
  している場合ではないでしょう。
   クリントン氏は私用のメールアドレスを公務に使った問題
  などで支持率が下落していたが、先日行われた、11時間に
  も及んだ議会の公聴会で野党・共和党の追及を乗り切った。
   バージニア州アレクサンドリアで23日、形勢立て直しに
  むけた大事な演説に臨んだクリントン氏。聴衆を前に「私は
  いろいろと言われるけれど、あきらめる人間ではない」「オ
  バマ政権の3期目でも、夫の3期目でもない、私の1期目を
  勝ち取る」などと語った。     http://bit.ly/25miPOI
  ───────────────────────────

米議会の喚問に答えるクリントン氏/2015年10月22日.jpg
米議会の喚問に答えるクリントン氏/2015年10月22日
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。