2016年05月17日

●「カダフィーは国連で何を訴えたか」(EJ第4277号)

 36年ぶりの朝鮮労働党の党大会を盛大に開催した金正恩党委
員長は自らの国を「核保有国」として強く誇示しています。彼が
「核兵器は絶対手放さない」と考えている根拠は、米国が核保有
国には一度も戦争を仕掛けようとしないことです。
 金正恩氏が確信したのは、カダフィー大佐が米英両国の説得を
受け入れ、核兵器を放棄した後に殺されているという事実です。
だから「核兵器は絶対手放さない」というわけです。
 カダフィー大佐が殺害されたのは2011年8月23日のこと
であり、金正恩氏はその同じ年の12月17日に北朝鮮の最高指
導者の地位を継承しているのです。それだけに、カダフィー大佐
の突然の死は強く印象に残っているのだと思います。
 しかし、カダフィー大佐が殺されたのは、ぜんぜん別の理由に
よるものです。カダフィー大佐は、小国リビアの最高指導者にし
ておくのはもったいないほどのスケールの大きい政治家であり、
この世界を仕切る寡頭勢力にとっては、排除すべき、好ましから
ざる政治家の一人であったのです。
 したがって、早くからカダフィー大佐は、寡頭勢力によるプロ
パガンダで、「独裁者」とか「狂犬」とか「テロリスト」などの
イメージの悪いレッテルを貼られていたのです。これらのレッテ
ル貼りはカダフィー大佐によるリビアの善政を隠そうとする意図
があったものと思われます。彼には、どうしても残虐非道な独裁
者のイメージをかぶせておきたかったのです。
 カダフィー大佐は、2009年9月23日に初めて国連総会に
出席し、予定時間の15分を無視し、1時間30分に及ぶ大演説
をぶっているのです。この演説についてはその一部しか報道され
ていないので、「英考塾」というサイトから、その一部について
ご紹介します。
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◎国連の常任理事国について
 ・ある国には拒否権があり、別の国にはない。ある国には永久
  の席(常任理事国席)があり、別の国にはない。
 ・現在の常任理事国は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシ
  ア、中国。これらは皆、第2次世界大戦の戦勝国であり、北
  半球の国々である。地域が偏っている。
◎アフリカについて
 ・アフリカは植民地化され、不正をされた。彼らはアフリカを
  動物のように見なし、奴隷取引をした。
 ・ヨーロッパは、石油・野菜・食品・家畜と人間だけでなく、
  金・銀・銅・ダイヤモンド・鉄・ウランと、他の全ての価値
  ある鉱物を持ち去った。
 ・ヨーロッパではアフリカからの移民を問題にするが、移民を
  止めるためには、この富を返す決意がなければならない。彼
  らにはそれを追い求める権利がある。
◎イタリアとアメリカについて評価する
 ・イタリアは植民地化が間違っていたと認めた。イタリアは謝
  罪し、植民地時代を償っている(毎年2億5千万)。植民地
  化を決して繰り返さないように、それを罰すること、補償を
  支払わせることが必要である。
 ・アメリカのオバマ大統領は、声をあげて、核兵器廃絶を求め
  る。これは我々が拍手喝采することである。かつてのアメリ
  カは、リビアの子供たちに毒バラ(爆撃を意味する)を送っ
  たものだ。
◎国連が防ぐべきであったかつての戦争について
 ・朝鮮戦争では、もう少しで原子爆弾を使うところであった。
  スエズ運河戦争では、何千ものエジプト人が殺された。国連
  があったのに。ベトナム戦争の12日間で落とされた爆弾は
  第二次世界大戦4年間で使われた爆弾以上だった。300万
  人の犠牲者が出たと言われる。
 ・国連は、パナマで4000人の市民を殺し、独立国家の大統
  領を、犯人として連れ去り、刑務所にブチ込んだ。
◎ウイルスについて
 ・薬は無料であり、ワクチンは無料である。資本家の企業がワ
  クチンを売って金を儲けてはならない。そうでなければ、彼
  らはウイルスを生産し、ワクチンを高値で売るようになる。
  薬は無料で、売り物ではないと宣言しなければならない。
        ──「英考塾」より/ http://bit.ly/1X00O5M
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 カダフィー大佐の演説は型破りでしたが、本質を衝いており、
先進各国にとっては、耳の痛い内容であったことは確かです。と
くにアフリカについて訴えたかったことは次の3つです。
 カダフィー大佐は、欧米諸国が植民地のアフリカに対してやっ
たことの第1は「アフリカの分断」であるというのです。結束さ
せないためです。そして内輪もめの材料を探し、紛争を起こさせ
分断を強めるのです。
 第2は、アフリカの国民に教育をさせないことです。要するに
物事の本質を見抜く能力を持たせないようにすることです。要す
るにバカにしておくこと。カダフィー大佐は、だからリビア国民
に対する教育を強化したのです。
 第3は、欧米諸国は国の運営を独裁者に一本化させ、国を統治
させたことです。そして独裁者には望むものを何でも与えたので
す。その方がコントロールしやすいからです。
 カダフィー大佐が国連総会演説で、欧米諸国がアフリカに対し
て行ってきたことを痛烈に批判したのです。それに加えて、カダ
フィー大佐は次の3つのことをやろうとしたのです。
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  1.アフリカのための通信衛星の実現を提案したこと
  2.アフリカに3つの銀行を創設させようとしたこと
  3.アフリカ経済共同体構想を推進しようとしたこと
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/090]

≪画像および関連情報≫
 ●カダフィ大佐の国連演説にも一理ある/作家園田豪氏
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   国連総会におけるリビアのカダフィ大佐の演説は1時間半
  以上に及んだとか。その詳細は新聞などでは報じらぬので、
  報じられた部分に限ってコメントしよう。
   国連憲章には「各国は平等」と書かれているにもかかわら
  ず、実際は安全保障理事会常任理事国5カ国が支配している
  と非難し、国連憲章の冊子を投げ捨てたカダフィ大佐、その
  気持ちを理解するものは多いのではないだろうか。
   国連は世界のためにあるのではなく米国を始めとした安保
  理常任理事国が世界を支配するためにある、と言うのはほと
  んど正解である。常任理事国とは米国、英国、フランス、ロ
  シア、中国の第二次世界大戦の戦勝国で且つ核兵器の保有国
  だ。その五カ国の支配的地位を維持するために、安保理での
  拒否権というものを国連に取り入れ、核についてはほかの国
  が保有して力を持たぬようにとNPTという条約で縛ってい
  る。現実に、イスラエルのパレスチナへの非人道的暴力への
  非難は、人道的判断にも正義という観点にも関係なく米国に
  よって拒否される。また、チベットでどんなに虐殺がなされ
  てもその非難決議は中国によって拒否される。しかも中国は
  ある時は後進国だと言って二酸化炭素排出の規制を逃れよう
  とさえする。カダフィ大佐の怒りはもっともなことだ。しか
  し、国連の会場からは席を立つ者が多かった。米国の顔色を
  うかがわざるを得ない国が多いことを物語るように感じた。
                   http://bit.ly/1qd4X9x
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国連総会で演説するカダフィー大佐.jpg
国連総会で演説するカダフィー大佐
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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