2016年04月19日

●「同じミスを繰り返す気象庁の重罪」(EJ第4261号)

 4月14日に発生した熊本地震は、18日現在、いまだに収束
していないどころか、かえって被害はどんどん拡大しています。
この地震の原因が自然地震であるのか、人工地震であるのかの論
議はひとまずおくとして、いまだに収束していない原因について
考えてみることにします。
 熊本地震による混乱の最大の原因は、政府と気象庁の対応にあ
るといえます。政府は、311のときの民主党政権の対応を意識
して、当初2千人規模であった自衛隊を10倍以上の2万5千人
規模に拡大し、食料90万食を17日中に被災地に届けると約束
するなど、その迅速対応を自画自賛していますが、当の被災地で
は、必要物資の不足が深刻さを増しています。政府は初期判断を
間違えており、すべてが空回りをしているに見えます。
 政府対応の遅れの何よりもの証拠は、18日午後9時現在、激
甚災害指定の閣議決定が行われていないことです。熊本県は地震
の起きた14日の時点で、激甚災害の早期指定を求めていたので
す。災害に対する対応が最悪といわれた菅政権ですら、東日本大
震災の翌日に激甚災害指定の閣議決定を下しています。
 どうやら官邸と熊本県は最初の時点から、ギクシャクしていた
ようです。地震の起きた14日に官邸が熊本県に対して行った指
示は、「全避難者を屋内に避難させよ」だったのです。テレビで
避難者が屋内ではなく、外に避難していたのを見て政府は「これ
はまずい」と考えたのでしょう。
 しかし、これに対して熊本県側は猛反発したのです。「避難場
所がなくて外に出ているのではなく、余震が怖いので、外に出て
いる」とし、現場の気持ちがまるでわかっていない官邸を批判し
たのです。もちろん今回は行政側の対応にも多くの問題はありま
すが、最初のうち官邸も、事態をかなり甘く見ていたといわざる
を得ないのです。
 もひとつ安倍政権は、防災に対して意識が低すぎるといわれて
も仕方がないのです。それは、防災担当相が国家公安委員長の兼
務であることです。現在、安倍政権で防災を担う大臣は、いずれ
も経験のない新人閣僚2人です。
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   丸川珠代内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)
   河野太郎内閣府特命担当大臣(防災)
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 丸川大臣と河野大臣──今回の熊本地震では、担当相であるの
にまるで影が薄いです。もっとも丸川大臣は、川内原発の停止問
題について、次の発言をしています。
─────────────────────────────
 川内原発の敷地内で観測された地震動が自動停止させる基準
 値を下回っており、現在のところ、原子力規制委員会は停止
 させる必要はないとしている。 ──丸川原子力防災担当相
─────────────────────────────
 しかし、熊本地震の震源地から相当離れている川内原発の敷地
内でも、震度4は頻発しており、丸川大臣の言葉には説得力がま
るでないといえます。失礼ながら、この人に任せておいて大丈夫
なのか不安になるばかりです。
 河野防災担当相は、記者会見もほとんどなく、防災担当相とし
て何をしているのかさっぱり見えてきません。もっとも河野大臣
は、防災担当相のほかに国家公安委員長、規制改革担当相、消費
者および食品安全担当相も兼務しており、新閣僚で経験もないし
防災担当相として何をしてよいかわからないはずです。安倍政権
の防災に関する意識はこの程度のものです。
 今回の熊本地震で一番醜態を曝したのは気象庁です。気象庁は
14日夜に熊本県益城町で発生したM6・5の地震を「本震」と
いったのです。そうすると、何も知らない国民は、その後余震は
続くが、余震は本震よりも震度は低いし、家に戻っても大丈夫と
判断したと思います。
 しかし、その気象庁の発表を信じて家に戻った人のかなりの人
が、16日未明に発生したM7・3の大地震による家の倒壊など
で亡くなっているのです。これは気象庁と行政に重大な責任があ
ると思います。
 そうすると、気象庁は16日未明の地震を「本震」とし、14
日の地震のことを「前震」といい換えたのです。いや、前震とい
う前に、「ふたご地震」や「群発地震」と言葉を使って説明した
うえでです。そして、次のように開き直ったのです。
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 ある地震が起きたとき、さらに大きな地震が起きるかどうかを
予測するのは難しい。データの残る1885年以降、M6・5程
度の地震が起きた後に、さらに大きな地震が発生した例は一度も
ない。              ──16日の気象庁の会見
─────────────────────────────
 しかし、これはおかしいです。東日本大震災において、3月9
日に宮城県で起きたM7・3の前震を本震としてとらえ、11日
のM9・0の本震と見誤った前科があるからです。つまり、同じ
ミスを連続して冒しているのです。「過去に一度もない」が聞い
てあきれます。
 M6・5とM7・3──わがかの差に見えますが、M7・3の
エネルギーの大きさは、阪神・淡路大震災と同じレベルであり、
M6・5の16倍に相当するのです。ちょっと間違ったというレ
ベルのミスではない深刻なミスです。
 毎日のように、元気象庁長官や地震学者がテレビに出て後ずけ
の解説をしていますが、視聴者の知りたいことは今後どうなるの
か、地震はいつ収まるのかというこれから先のことです。
 しかし、彼らは「今後のことはわからない」というばかりで、
答えようとしない。それでいて「予知できる」という人の意見を
封殺することはすこぶる熱心です。彼らに取って予知できるとい
う人は敵であり、潰しておかなければならないからです。
          ────[現代は陰謀論の時代/074]

≪画像および関連情報≫
 ●気象庁は同じミスを冒している/311の前兆地震
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   2011年3月11日の本震発生までの最後の2日間は、
  近付く速度がそれ以前の6倍になった。巨大地震の発生メカ
  ニズム解明に向けた手がかりとなりそうだ。22日から千葉
  市で始まる日本地球惑星科学連合大会で発表する。加藤助教
  は海側のプレート(岩板)が陸側に沈み込む境界で起きた本
  震までの一連の地震を解析した。その結果、宮城県沖の震源
  の北北東約50キロで2月16日にM5・5の地震が発生。
  その後、3月上旬にかけてM2〜4程度の約80回の地震が
  日本海溝と並行に南西方向へ進むように起きたことが分かっ
  た。さらに延長線上で3月9日にM7・3の地震が発生し、
  本震発生までの51時間に、約250回の地震が本震の震源
  に近付くように起きた。
   これらの地震の震源が移動する速さを算出したところ、判
  明しただけで3月9日までは1日1・6キロだったのに対し
  最後の51時間では同10キロと大幅に速まっていた。
   過去10年の宮城県沖の地震活動では一定方向に進む今回
  と同様な現象はみられず、加藤助教は「前兆かは断言できな
  いが、特異な活動であったことは間違いない」と話す。
   名古屋大の山岡耕春教授(地震学)は「本震に向けて地震
  活動が進んでいたことを見付けた価値ある成果だ。後から見
  れば玉突きするような前震を伴っていたと分かった地震は、
  内陸の活断層でもあった。現状ではまだ難しいが、応用して
  予測につなげたい」と話す。    http://bit.ly/1VxEdyI
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2人の防災担当大臣.jpg
2人の防災担当大臣
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

『311東日本大震災:前兆、2月からか 直前2日で250回』 毎日新聞 2011年5月21日15時03分 の記事によれば、 311東日本大震災には前兆としての余震が継続的に起きていたのであり、「自然地震」に他なりませんね。

「311は人工地震だ」と騒ぐ人々の科学的検証なき「勘繰り」「思い込み」「妄想」には辟易します。

Posted by できすとん at 2016年04月19日 08:32
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