2016年02月04日

●「福島第一原発事故を予告する作品」(EJ第4210号)

 東日本大震災を予告していると思われるのは、黒澤明監督作品
日米合作映画『夢』──1990年公開の映画です。といっても
「黒澤映画にそんなのあったっけ?」と首を傾げる人も多いので
はないかとと思います。
 この映画は、黒澤監督が見た夢を映像化した8つの話からなる
オムニバス映画で、それぞれのエピソードの始まりには、夏目漱
石の『夢十夜』と同じように、「こんな夢をみた」という言葉か
ら話が展開されるのです。
 問題の話は第6話の「赤富士」です。このストーリーは、寺尾
聰が演じる主人公が「何があったんですか!?」と逃げ惑う大勢の
群衆をかきわけていくシーンから始まるのです。少し長いですが
シナリオからその部分を再現します。
─────────────────────────────
  「何があった?」「何があったのですか」
  「噴火したのか、富士山が」
  「大変だ」
  「もっと大変だよ─?」
  「あんた知らないのー?」
  「発電所が爆発したんだよー。原子力の」
  「あの発電所の原子炉は6つある」
  「それがみんな、次から次へと爆発を起こしてるんだ」
  「狭い日本だ」
  「逃げ場所はないよ」
  「そんなことは分かっているよ」
  「逃げたって広がる」
  「でもねえ、逃げなきゃしょうがない」
  「ほかにどうしょうもないじゃないか」
  「これまでだよ」
  「でも、どうしたんだろ?」
  「あの大勢の人たちはどこへ行ったんだ?」
  「みんなどこへ逃げたんだ?」
  「みんなこの海の底さ」
  「あれはイルカだよ」
  「イルカも逃げているのさ」
  「イルカはいいねえ」
  「泳げるからねえ」
  「ふっ、どっちみち同じことさ」
  「放射能に追いつかれるのは時間の問題だよ」
  「来たよ」
  「あの赤いのはプルトニウム239」
  「あれを吸い込むと1千万分の1ミリグラムでも癌になる」
  「黄色いのはストロンチウム90」
  「あれが身体の中にはいると、骨髄に溜まり白血病になる」
  「紫色のはセシウム137」
  「生殖腺に集まり、遺伝子が突然変異を起こす」
  「つまりどんな子供が生まれるか分からない」
  「しかしまったく人間はアホだ」
  ・・・・・       ──泉パウロ著/ヒカルランド刊
       『本当かデマか「人工地震説の根拠」衝撃検証』
─────────────────────────────
 このセリフのなかで最も注目すべきは次の2つのセリフです。
偶然の一致かもしれませんが、311を予告しているともとれる
のです。
─────────────────────────────
◎「発電所が爆発したんだょー。原子力の」
 「あの発電所の原子炉は6つある」
 「それがみんな、次から次へと爆発を起こしてるんだ」
◎「あの大勢の人たちはどこへ行ったんだ?」
 「みんなどこへ逃げたんだ?」
 「みんなこの海の底さ」
─────────────────────────────
 第1のセリフです。
 「あの発電所の原子炉は6つある」の部分です。なぜなら、日
本では、原子炉が6基ある原発は、福島第一原発しかなく、この
セリフは福島第一原発を指していることは明らかだからです。
 福島第一原発の当初の計画では、8基建設する予定だったので
すが、2011年3月の爆発事故の影響で、同年5月に計画を中
止することが発表されています。ちなみに、福島第一原発の第1
号機から第6号機は、すべてが1970年代に稼働しているので
この映画が公開された1990年には全機が稼働しており、セリ
フに矛盾はないのです。
 第2のセリフです。
 「みんなどこへ逃げたんだ?」「みんなこの海の底さ」──こ
れは92%が海の底にのまれた東日本大震災の津波被害をあらわ
しているともとれます。
 この映画『夢/赤富士』の制作ノートに次の記載があります。
─────────────────────────────
 猿は火を使わない。火は自分達の手に負えない事を知ってい
 るからだ。ところが、人間は核を使い出した。それが、自分
 達の手に負えないとは考えないらしい。火山の爆発が手に負
 えないのは、わかっているのに、原子力発電所の爆発なら、
 なんとかなると思ってるのは、・・・どうかと思うね。高い
 木に登って、自分のまたがっている木の枝を一生懸命切って
 いる阿呆に似ているね。人間は間違いばかり起こしているの
 に、これだけは絶対間違いは起きないなんて、どうして云え
 るんだろう。               ──黒澤 明
─────────────────────────────
 黒澤監督もこの映画の公開後ちょうど21年後に、まるでこの
映画のシナリオを地で行くような悲惨な事故が起きるとは、想像
していなかったと思います。─[現代は陰謀論の時代/023]

≪画像および関連情報≫
 ●夢というモチーフを借りた、黒澤明監督の私小説的作品
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   オムニバス形式というよりも、自らの見た「夢」をモチー
  フにして短編八作品を自身の歴史として紡いでいった作品集
  であり、後期の黒澤監督らしい審美的な映像美で満たされた
  作品に仕上がっています。ただ単に八本の短編を羅列しただ
  けではなく、自身の幼少期の思い出から青壮年期の葛藤、そ
  して老境での達観までを描いています。
   同じような「夢」や「妄想」を描いた映画としては、フェ
  リーニ監督の『81/2』があり、あの作品では追い詰めら
  れていくフェリーニ監督の自伝のような作品となっています
  が、この作品では、「夢」が黒澤監督の老境での落着いた回
  顧録として我々に提示されています。掛かりすぎる経費のた
  めに、惜しくも撮影されなかった幻の残り三作品である『飛
  ぶ』、『阿修羅』、そして最終話となるはずだった世界平和
  の話である『素晴らしい夢』が映像化されていれば、完全な
  「夢」が完成していたはずなのでそれがとても残念です。物
  語のあらすじを聞くだけでも、ビルの間で綱渡りをした後に
  天使とともに夜空を駆ける『飛ぶ』、京都の阿修羅像や仏像
  たちが動き回るという『阿修羅』、そしていろいろな人種の
  人たちを世界各国の街で、何千人も集めて撮影しようとして
  いたという『素晴らしい夢』をぜひ劇場で観たかった思いが
  今でも強くあります。       http://bit.ly/20lztid
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黒澤明監督作品/『夢─赤富士』より.jpg
黒澤明監督作品/『夢─赤富士』より
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
予知夢って、確実にありますから。

人工地震の根拠や証拠にはなりません。
Posted by Masa at 2016年02月04日 07:31
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