17便は、親ロシア派のブークよによって撃墜されたものという
世論形成ができた時点での安保理による「マレーシア航空機撃墜
非難決議」に賛成するかどうかについて、米国とロシアは相当激
しい議論を展開したといいます。
しかし、旅客機撃墜を非難し、独立した国際調査を求めた決議
に米ロ双方とも最終的に合意したため、決議は全会一致で採択さ
れたのです。ロシアとしては、賛成しなければ、ますます疑われ
ることやウクライナの方が相当怪しいとする情報を多く掴んでお
り、十分反論できると考えたからです。
国連安保理決議の翌日の7月22日、ロシア空軍のマクシェフ
中将は記者会見を開き、MH17便の撃墜の直前にその近辺にウ
クライナ戦闘機とみられる2機が飛行していたことを発表したの
です。これについて、2014年7月22日付、ウォール・スト
リート・ジャーナル紙は、「ロシア、撃墜にウクライナ関与を示
唆/マレーシア機」のタイトルで次のように報道しています。
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テレビで放送されたロシア国防省による記者会見の内容は、親
ロシア派が航空機を撃墜したとする西側やウクライナの主張とは
食い違う。(中略)
モスクワで記者会見したロシア空軍のマクシェフ中将は、27
日の航空機撃墜で誰がミサイルを発射したかに言及することは控
えた。またミサイル軌道を示す画像やレーダー・衛星関連の証拠
も提示しなかった。
だがマクシェフ中将は、ロシアのレーダーが航空機の墜落直前
にその近辺に2機目の航空機を発見し、これがウクライナの戦闘
機であった可能性が大きいと述べた。レーダー記録に基づくとさ
れる画像を示しながら、撃墜前の同地域で民間機4機とウクライ
ナ戦闘機1機をレーダーが捉えていたと説明した。
会見では、ウクライナが事件前にミサイル一式を同地域に移動
した可能性にも言及し、ミサイル移動を示すとする衛星画像数枚
を公開した。 http://on.wsj.com/1qGqx5D
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このことを裏付ける他の情報もあります。ロシアのカルトポロ
フ大尉は、MH17便の3キロから5キロのところを追尾するよ
うにウクライナの軍用機が飛行しており、その軍用機には対空ミ
サイルが搭載されており、それは12キロ範囲内を標的とするこ
とができるとしています。
なぜ、ウクライナの軍用機がMH17便と同じ時間に、同じ高
度で、MH17便の航路に沿って飛行していたのでしょうか。ロ
シアはウクライナ政府に対し、このことについて説明を求めまし
たが、その返答はなかったといいます。
もうひとつ証言があります。BBCのレポーターがマレーシア
機墜落の目撃者数人にインタビューをしたとき、次の発言があっ
たことです。
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・もうひとつ飛行機がいた。軍用機で、マレーシア機のとなりに
いた。皆それを見ている。
・軍用機がマレーシア機の直下を飛んでいるのを見た。民間機の
真下を飛行していたのだ。 http://bit.ly/1MPcB0Y
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これら一連の証言はロシア側の主張を完全に裏付けています。
しかしこのBBCの取材ビデオは、ウェブサイトにアップロード
されたのですが、なぜかその直後に削除されています。何があっ
たのでしょうか。
MH17便撃墜事件で注目すべきは米国の態度です。事件直後
の17日から、国連決議の21日までの米国の態度の変化につい
て分析します。
17日の事件直後、米国は「このような事態になったのはロシ
アのせいである」という声明を出しています。そして、18日に
は、今度はオバマ大統領が次の発言をしています。つまり17日
の発言の根拠を示したのです。
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マレーシア航空17便を撃墜したのは、地対空ミサイルであ
り、それは親ロシア派の支配地域から発射されている。
──オバマ大統領
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ロシアや親ロシア派が撃墜したとはいっていませんが、この発
言は誰が聞いてもロシアが犯人だと断定しています。それだけ自
信に溢れた発言であるといえます。
20日になると、今度はケリー国務長官がオバマ大統領の発言
を補強し、次のように発言したのです。
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ロシアは親ロシア派に対し、武器を提供している。これには
膨大な証拠がある。 ──ケリー国務長官
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MH17便はSA11地対空ミサイルで撃墜されたといわれて
いますが、ケリー国務長官はその武器を親ロシア派に提供したの
はロシアであり、その多くの証拠を米国は握っていると述べてい
ます。20日のロイター電は、これに関して次のように報道して
います。
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ケリー長官は、米当局が、ロシア製SA11地対空ミサイルの
親ロシア分離派勢力への移送に関する会話を傍受したほか、ロケ
ットが少なくとも1発なくなっているミサイル発射装置がロシア
に戻るのを撮影した動画を確認したと指摘。「ロシアが武器供与
に関与したことを示す膨大な量の証拠がある」とCBSの番組で
述べた。 http://bit.ly/1Ij8hZ9
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──[航空機事故の謎を探る/046]
≪画像および関連情報≫
●MH17便にウクライナ軍機2機が追尾
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米政府高官は、マレーシア機が撃墜された時に別の航空機
が存在したとのロシア政府の主張について、「必死の」プロ
パガンダだとして切り捨てた。米高官は自らの主張を裏付け
る証拠を示していないものの、ウクライナの戦闘機は墜落時
に地上にあったとする同国の21日の発表に言及。さらに、
マレーシア機が飛行していた3万フィート(約9100メー
トル)の高度ではウクライナの戦闘機は飛行できないと述べ
た。「ロシア政府には比類のないプロパガンダマシンがある
ことをこうした陰謀説は示している」とある高官は述べた。
マクシェフ中将は、ロシアは衛星画像やレーダーのデータ
を含むすべての情報を欧州当局に提示する用意があると述べ
た。ロシア国防省はまた、マレーシア機の墜落時に米国の衛
星を近隣で発見したと主張、米国に当時の衛星画像を公開す
るよう要請したことを明らかにした。米国はこの主張につい
て直ちにコメントすることは控えた。
http://on.wsj.com/1qGqx5D
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ロシアを非難するケリー国務長官


